テレビでの差別発言に対する日米の差
HUFFPOST が「大谷翔平選手に差別発言をした解説者が、無期限の出演停止に。バイアストレーニングを受けると発表」と伝えている。デトロイト・タイガース解説者のジャック・モリス氏が大谷翔平選手についてのコメントで、アジア系のアクセントを真似た件での対応だ。
これ、HUFFPODT US版の記事の翻訳で、元記事の見出しは ”Detroit Tigers Suspend Announcer Jack Morris For Racist On-Air Joke“ というもの。「デトロイト・タイガースが人種差別的な放送上のジョークにより、アナウンサーのジャック・モリスを停職に」と訳せる。
アジア系のアクセントをことさらに真似て "very very careful" (とてもとても気をつけて)と発言したことが問題になったものだ。Twitter で聞くことができる(参照)が、たしかにアジア系の発音と言い方を揶揄しているように聞こえる。
HUFFPOST はこれについて次のように伝えている。
発言はすぐに問題視され、モリス氏は9回に大谷選手に打順が回ってきた際に「もし私の発言が誰かを不快にさせたのであれば、心から謝罪します。特にアジア系コミュニティの皆さんに対し、大谷翔平選手のピッチングや、彼に気をつけたほうがいいと言ったことをお詫びします」と謝意を示した。
これにより、ジャック・モリスは放送途中で降板し、バイアストレーニング(偏見などを修正するためのトレーニング)を受けることになった。
一方、張本勲は 8月 8日の TBS のニュースショーで、女子ボクシングについて「こんな競技が好きな人がいるのか」「嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合って・・・」などとと発言した。(下の画像をクリックすると、別画面で動画が見られる)
これに関して彼は自身で直接には謝罪せず、1週間後の番組で担当女子アナに謝らせた上で、「今回は言い方を間違えて、反省してます。以後気をつけます」と言ったのみ(参照)。 これは典型的な non-apology (謝らない謝罪)で、遠回しに「俺は悪くない」と言っているに等しい(参照)。
TBS は本来ならば、彼を全面的に出演停止にし、性差別的な考えを改めるためのバイアストレーニングを課すぐらいの対応を取らなければならないだろう。しかしそんなことには全然なっていないようだ。
差別発言に関する日米の対応の差は、かくまでに大きい。
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コメント
「言葉が足らず」
いえいえ。
言葉が過ぎたことを、そもそも認識していない。
投稿: 乙痴庵 | 2021年8月20日 21:59
乙痴庵 さん:
そもそも、頭の中が化石っぽいですね。
女子は野球でなく、ソフトボールってことなのも、あの世界にはこの人のような頭の中身の人が多いからなんだと思ってしまいます。
「野球は男のもので、女子はソフトボールなら許す」ってなことなんじゃなかろうかと。
投稿: tak | 2021年8月20日 22:26
思想矯正収容所ですか。さすがアメリカは進んでますね。
投稿: 柘榴 | 2021年8月20日 23:24
柘榴 さん:
「思想矯正収容所」とは、大袈裟すぎる言い方だと思いますよ。
バイアス(bias)とは、本来、不均衡とか斜めとかいう意味で、今回のような場合には「偏見」と訳すのがいいと思います。
というわけで、「偏り」を正すためのトレーニングってなことですね。
あるいは、「思想矯正」ではなく、比喩的な意味合いで「姿勢矯正」みたいな言い方だったら、案外言えてるかもしれません。
投稿: tak | 2021年8月20日 23:49