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2021年9月10日

「夜明け前が一番暗い」は嘘だが、一番寒いとは言える

「夜明け前が一番暗い」という言葉があるが、色々調べてみると、これ、どうやら英国の格言のようだ。元のフレーズは "The darkest hour is just before dawn" で、直訳すれば「最も暗い時間は夜明け直前」と、話の筋が逆になる。

これ、「辛いことの後には必ずいいことがやってくる」みたいな意味合いで結構よく使われるフレーズで、これをタイトルとする曲を、米国の Emmylou Harris が歌っている。ただ、こうしたメタファー的な意味で使うならいいが、文字通り「最も暗いのが夜明け前」かと言えば、決してそうじゃないよね。

夜中からずっと起きていたことのある人なら皆知ってることだが、世の中というのは日の出の前から白々と明るくなって、実際に日が昇ってくるのは、そのかなり後だ。真っ暗な中で突然のように朝日が顔を出し、それを境として劇的にパッと明るくなるなんてわけがないじゃないか。

いや、もしかしたら、世間で言うところの「夜明け」とは「日の出」の時ではなく、この「白々と明るくなる頃」を指すのかもしれないという疑問ももちあがる。そう受け取らなければあまりにも実感からかけ離れすぎる。

しかしそうだとしても、この「白々と明るくなる頃」の前の「一番暗い時」というのは、はたしていつのことなのか。明るくなり始める直前の瞬間を、非連続的に「一番暗い」と表現できるとは思われない。つまり「夜明け前が一番暗い」というのは、観念上の産物でしかないと考えるほかないのである。

ただ、世の中が一番寒くなるのは、たいてい夜明け前だ。夏の間は薄いタオルケット 1枚で寝て、実際にはそれさえ蹴飛ばして何もかけない状態で一晩過ごしても全然寒くなかったが、最近はそれだけだと、夜明け前に寒さで目を覚ます。

そしてその頃には既に白々と明るくなっているので、そのまま起き出してしまったりする。太陽の明るさだけは早めに届いても、その熱によって世界が温まるまでには、ちょっとした時間差が必要なのだと実感する。

というわけで、「辛いことの後には必ずいいことがやってくる」ということをメタファーで語るにしても、「夜明け前が一番寒い」という方が、よほど実感があると思うんだがなあ。

 

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