葬式の場でネクタイのディンプルは NG だって?
Togetter で "エリートも知らない大人のマナー 「葬儀に出る際のネクタイのディンプルは NG」はホント?" というのが話題になっている。しゃく|笏本達宏さんという ネクタイ作りのプロが、「葬儀や謝罪の時にディンプルは NG です」と tweet したのが発端らしい。
この tweet、全文はこんなようなものだったようだ。
実は、エリートと呼ばれる人の中にもこれを知らない人が多いのですが、ネクタイは「ディンプル」という「くぼみ」をつくって結べばオシャレさが増します。でも葬儀や謝罪の時にディンプルは NG です。なぜならその場に必要なのはオシャレさではないからです。学校では教えてくれない、大人のマナーです。
ところがこれに対する反応として、Brarin/ぶらりん という人が挙げた tweet には、次のようにある(参照)。
ほんと?と思って調べてみたけど、
・ 昭和天皇の大喪儀や30年式年祭での現在の上皇陛下
・ ダイアナ姫葬儀でのチャールズ皇太子
・ ブッシュ元大統領の国葬でのトランプ、オバマ、クリントン
それぞれディンプルを気にしている様子はない。
確かに、上述のページに掲げられた写真を見る限り、現在の上皇陛下も、チャールズ皇太子も、トランプ、オバマ、クリントンも、葬儀参列の際にすべてネクタイにディンプルを作っておられる。「葬儀や謝罪の時にディンプルは NG」なんていう「大人のマナー」は、誰も気にしている様子がない。
そもそも しゃく|笏本達宏 氏の主張する「ディンプルは NG」ということの根拠は、端的に言えば次のような三段論法だ。
- ネクタイは「ディンプル」をつくって結べばオシャレさが増す。
- 葬儀や謝罪の時にディンプルは NG。
- その場に必要なのはオシャレさではないから。
これをそのまま受け取ってしまえば、「葬儀や謝罪の場ではオシャレしちゃいけない。ダサダサの礼服などを着て参列すべし」ってなことになってしまうだろう。これはもう「なんだかなあ」と言いたくなってしまうよね。
あるいはちょっと深読みして、「礼服自体はしっかりオシャレしてもいい。ネクタイにディンプルさえ作らなければ、そのエクスキューズになるから」ってことなのかもしれない。それにしてもやっぱり、「なんだかなあ」感は薄まらない。ディンプルが言い訳のタネだなんてね。
この記事にはいろいろな反応が寄せられているが、ネガティブなものが多数派だ。早く言ってしまえば tweet した本人も冒頭で言っている「エリートと呼ばれる人の中にもこれを知らない人が多いのですが・・・」というのがキモだろう。
多くの人が知らないままで何のこともなく済んでいる類のことは、決して「マナー」なんかじゃないよね。むしろ、ことさら声高に主張すること自体が馬鹿馬鹿しいというほどのことだ。
私の場合は、ネクタイなんてよほどフォーマルな場でもなければ締めることがないし、ディンプルなんてその時々でできちゃったりできなかったりする。そもそも 4年半前の記事で書いているように「プレーン・ノット」しかできないし(参照)、個人的にはどうでもいいことなんだよね。
以上、おしまい。
| 固定リンク
「ファッション・アクセサリ」カテゴリの記事
- 高級ブランドの「ホーボーバッグ」を巡る冒険(2024.12.16)
- ビジネスホテルのズボンプレッサーとヘアドライヤー(2024.12.08)
- 袖口の広い「オジサン半袖シャツ」が、まだまだ健在(2024.07.08)
- 夏はビジネスの場でも涼しげな格好をしたいもの(2024.07.02)
- 桂由美さん 追悼(2024.05.01)
コメント
典型的な「謎マナー」ですね。
こういう、誰も知らないマナー(矛盾)があると喧伝しなければ彼ら(マナー講師とかいう連中)は仕事を失うので主張するわけです。
他にも「自分の名刺が大きいと失礼なので切り取る」「偉い人に徳利で日本酒を注ぐときは、注ぎ口を使ってはならない」などがあります(笑)
投稿: らむね | 2021年9月16日 20:42
らむね さん:
>こういう、誰も知らないマナー(矛盾)があると喧伝しなければ彼ら(マナー講師とかいう連中)は仕事を失うので主張するわけです。
へえ、こういうの、世の中では「謎マナー」と言うんですね。初めて知りました。
ググってみたら、出てくるわ、出てくるわ。日本って「謎マナー大国」なんですね。すごいなあ!
投稿: tak | 2021年9月17日 09:20