サラリーマンと「社畜」
"品川駅の広告「今日の仕事は、楽しみですか。」に批判殺到 → 1日で取り下げ、掲載元が謝罪" というニュースには、「ははぁ、そうですか」という感想しか抱かなかったが、ITmedia ビジネス ONLINE に、それについての解説のような記事が載っている。
"「今日の仕事は、楽しみですか」になぜイラっとしたのか 「仕事が苦痛」な日本人の病" というタイトルの、窪田順生氏による記事である。「日本人の病」というだけあり、例によって「日本人論」みたいな趣になっている。
その内容はリンク先に飛んで読めばわかるが、煎じ詰めて言うと、日本人は仕事に関して「人は金のためだけに働いているわけではない」という精神的な思い入れがありすぎるのが問題なのだという。それは「カルト宗教のような独自の信仰」とまで化しているのだそうだ。
なるほど、そう言われてみればそんな気もしないでもないが、私は個人的には、会社勤め時代は「給料のため」と割り切っていたから、そんな「カルト宗教」にハマったことは一度もない。金のための仕事で関わる案件が、たまたまおもしろいものであれば、それは「儲けもの」という感覚だった。
不思議なもので、そうした意識でいると、そりゃあ「仕事が楽しくてたまらない」というわけではないが、ことさらなまでに「苦痛」というほどには感じなくて済む。それは独立事業主となった今でも基本的に変わらない。とくに最近は、イヤな仕事は受けないという贅沢の味も覚えたし。
ちなみに品川駅のこのコンコースは、人呼んで「社畜回廊」ということになっているのだそうだ(参照)。ちょっとスゴい言い方だね。
さらに「ちなみに」という言葉で続けることになるが、加藤公一(はむかず)さんという方が、次のように tweet している (参照)。
ふと気になって「社畜」って英訳するとどうなるんだろう、livestock salarymanかな?と思ってググってみたら、Wikipediaの説明によるとsalarymanだけでほぼ社畜の意味だった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Salaryman
どれどれと思ってリンク先に飛ぶと、こんな風な書き出しだ。
The term salaryman (サラリーマン, sararīman) refers to any salaried worker. In Japanese popular culture, this is embodied by a white-collar worker who shows overriding loyalty and commitment to the corporation within which he is employed.
【和訳】
サラリーマンという言葉はすべての月給をもらう労働者のことを指す。日本で広く行き渡った文化においては、自分が雇用されている企業に過度の忠誠心と献身を示すホワイトカラー労働者によって顕現されている。
これ、日本人によって多少自虐的に書かれているような気がするが、つい「なるほどね」と納得してしまいそうだ。
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コメント
身も蓋もない言い方をしてしまえば、corporate slaveですね…。salarymanは和製英語なのかな?
投稿: 山辺響 | 2021年10月14日 15:39
山辺響 さん:
どうやら和製英語から発して、日本独特の存在を表す言葉として認知されつつあるというところなんでしょうかね。
"Sake" (日本酒)みたいに定着しなくていいから・・・なんて思ったりして。
投稿: tak | 2021年10月14日 21:06
わたしだったらアンサイクロペディアにこう書きます。
salaryman
スーツを着てネクタイを締め、髪は黒髪で七三分け、眼鏡をかけている。ことあるごとに懐から四角い紙きれを取り出し、常に腰を45度前方に折り曲げていて、どんなときも笑顔であるがなぜか楽しんでいるようには感じられない。まれに英語を話すがその発音は舌足らずな幼児のようである。
生息地:日本
投稿: らむね | 2021年10月15日 09:28
らむね さん:
なるほど、かなり言えてますね (^o^)
ちなみに、ことあるごとに取り出す「四角い紙切れ」というのは、最近はとんと使ったことがないなあ (^o^)
投稿: tak | 2021年10月15日 13:32
社畜ねぇ。
差し詰め「家族の普通の生活を維持するために労働と家事を並立させて」いるアタクシなんぞは、家畜でしょうねぇ。
投稿: 乙痴庵 | 2021年10月15日 17:14
乙痴庵 さん:
広辞苑の「家畜」の項目に、そうした意味をプラスしなければいけませんね (^o^)
投稿: tak | 2021年10月15日 19:15
「社畜」ですかぁ。
なんだか 「非国民」 と同程度にこの世に存在しないもののような気がします。
投稿: Sam.Y | 2021年10月18日 20:45
Sam.Y さん:
他人を「非国民!」と罵る人がいるように、同僚を「社畜」と哀れむ人もいるってことなんでしょうね。
要するに「印象」というか、「雰囲気」というか。
(またしても「雰囲気論」が出てきてしまいましたが ^^;)
投稿: tak | 2021年10月19日 08:18