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2021年10月27日

日本語を読めない日本人って、ザラにいるから

下の画像は、東洋経済の 2018年 12月 26日付 "衝撃!「日本語が読めない日本人」は案外いる" という記事の冒頭だ。"AI に仕事を奪われる、中学生以下の大人たち" というサブタイトル付きである。

211027

なんでまた、こんな 3年近く前の記事を持ち出したのかというと、私の今月 23日付「人は案外、字を読まない(ましてや英語だとなおさら)」という記事との関連でググられてしまったからだ。

この記事は、次のように始まる。

次の2つの文が表す内容は、「同じ」でしょうか、「異なる」でしょうか。

「幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた」

「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた」

当然、「異なる」が正解です。しかし全国の中学生857人の正答率は、なんと57%。「2択問題」の正答率は当てずっぽうでも50%になることを考えれば、驚異的な低さと言えます。

私としてはこんなのを読んだら、2番目の文の後半に至った瞬間に「おいおい勘弁してくれよ。主語が違っちゃってるだろ!」となるのがフツーと思ってしまうが、何と、全国の中学生のほとんど 2人に 1人はフツーじゃないらしい。いやはや、困ったことだよね。

この記事の 4ページ目の "偏差値と「読めなさ」の強い関連性" という項目では、「生徒の学力を向上させるには、数学の問題を解いたり、歴史上の出来事や年表を暗記したり、化学式や数学の公式を暗記したりするだけではなく、教科書を読む力を高めることも重要である可能性」が示されている。

そういえば私は 2013年 4月 8日付の「学校の授業は、セレモニーのようなもの」で、「小学校の授業というものをまじめに受けたことがない」と書いている。年度初めに教科書が配られるとすぐに読み終えてほとんど理解してしまうので、授業はまどろっこしい「後追い」に過ぎず、退屈でたまらなかったのだ。

この「読むと同時に理解する」というのは、小学生の私にとっては当たり前すぎることだったのだが、後々になって、必ずしも当たり前というわけじゃないと気付いた。同じ文字情報に接しても、それがさっと頭に入るやつと、全然入らないやつがいるという事実を、何度も目の当たりにしたからである。

これ、もっと根本的なレベルで言うと、「文字さえあれば自動的に読んで理解しちゃう」やつと、「文字があってもまともに読めないままスルーしちゃう」やつがいるってことだ。

私は上述の今月 23日付の記事で、「日本語だと読んでも、英語だと完全スルー」という層が多いということを言っているのだが、現実はもっと厳しくて、「日本語でも、うやむやのうちにスルー」という層が結構多いようなのである。

ということは、「ここにちゃんと書いてあるのに、何でわかんないんだよ!」なんて言ってキレたりしちゃいけないってことだ。「書いてあるのにわからない人」に求められたら、ちゃんと彼らの身になって、「あっ、そうだったのか!」と納得してもらえるように、上手に説明しなきゃいけない。

それはある意味、インテリの義務だとまで思う。難しいことを難しい言い回しで述べるのは比較的楽だが、そこから一歩進んで、やさしい言い回しや馴染みやすい譬え話でも説明できるようになることが、人類愛というものだろう。そのあたり、なにぶん

Yoroshiku4

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コメント

分かり易く書かないといけませんね。
「遊泳禁止」と掲示してあってもただの記号としか見えない人もいるので、

「ここで泳ぐと500m沖合の海底で見つかることがよくあります。どうしても泳ぎたい人は腕に名前と連絡先電話番号を前もって書いておいてください」

なぜ「禁止」なのかを書かないと効果は薄い。

一向に減らない駅での歩きスマホも「歩きスマホ禁止」でなく、

「歩きスマホが原因で人を死に至らしめた場合は一億円の賠償金が発生することもあります。それでも歩きスマホやりますか?」

「禁止」だけでは意味の通じない人が世にはわんさかいます。

投稿: ハマッコー | 2021年10月27日 23:14

正直なところ、RSTとやらの宣伝広告記事にしか見えないので眉に唾つけてから読んだほうがいいでしょうね。
RSTの公式サイトによると50分のテストで11分野を判定するそうで、まさか各ジャンル2,3問程度で判定しているはずはないでしょうから、「あてずっぽうでも50%なのに」というより「ほぼ当てずっぽうで回答せざるを得ない時間設定になっている」と考えるべきでしょう。

冒頭の例にしても、読めていないというより、多少の誤字があってもスルーして意味を取ることができるエラー訂正機能が正常に働いた結果だと考えたほうがいいように思います。
少し前に流行った「どでうす? ちんゃと よゃちめう でしょ?」のコピペみたいなものですね。

投稿: 柘榴 | 2021年10月28日 04:25

ハマッコー さん:

「遊泳禁止」や「歩きスマホ禁止」を読まない人は、それより長い文を読まないでしょうけど、でも、それが話題になれば意識に入るでしょうから、一定の効果はあると思います (^o^)

確かに、「禁止」だけでは意味の通じない人って、多いですね。

投稿: tak | 2021年10月28日 15:03

柘榴 さん:

>正直なところ、RSTとやらの宣伝広告記事にしか見えないので眉に唾つけてから読んだほうがいいでしょうね。

私も、記事の 2ページ目以後はテキトーに読みました (^o^)

>少し前に流行った「どでうす? ちんゃと よゃちめう でしょ?」のコピペみたいなものですね。

それでも、それなりに読みの深さの差というのは出ちゃうものなんですけどね 。

投稿: tak | 2021年10月28日 15:11

>それでも、それなりに読みの深さの差というのは出ちゃうものなんですけどね 。
であればなおさら、こんな50分耐久早押しクイズを読解力と紐付けるべきではないと思います。算盤フラッシュ暗算の訓練になら、いいのかもしれませんけどね。

投稿: 柘榴 | 2021年10月29日 05:14

柘榴 さん:

えぇと、「50分耐久早押しクイズ」をことさらに関連付けているわけではなくて、話の糸口みたいなものですね。

無責任に聞こえたらゴメンナサイですが、この際、クイズからは離れましょう。

私としても、この類いのクイズはあんまり好きじゃないので ^^;)

投稿: tak | 2021年10月29日 12:26

すみません、脳系疑似科学とその信者によるバッシングの直撃を喰らった世代なもので、この手の話題にはついつい熱くなってしまいます^^;
たいへん失礼をしました m(__)m

投稿: 柘榴 | 2021年10月30日 03:43

柘榴 さん:

「あれ、脳系疑似科学」って、どんなんだっけ?」と思って、いろいろ思い出そうとしましたが、私の場合、このことにはあまり深入りしないで済んでいたようですね。

ただ、ちょっと関連するかもという感じの記事としては、

水は、話しかければおいしくなる (2008年 5月 6日付)
https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2008/05/post_5388.html

「過去」 はソリッドなものか?(2006年 2月 27日付)
https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2006/02/sato.html

の 2本が見つかりました。

ただ、いずれも「雰囲気の問題」的な話で、ゴリゴリの脳疑似科学信者から見ると、「許せん!」とばかりに、ツッコミどころ満載の記事です (^o^)

私にとっては、疑似脳科学ブームの直後に起きた、あの「東日本大震災」の体験が強烈すぎて、それどころではなくなったような気がします ^^;)

投稿: tak | 2021年10月30日 12:19

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