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2021年10月12日

夫婦別姓反対派の「みんな一緒」志向

ふゆひー さんが、「かつあげ」という穏やかではないハンドル・ネームの方の tweet を取り上げ、 "バカだね。「自分たちではなく、他の夫婦が別姓にすることで、あなたに不利益はありますか?」という質問なのに" とレスしておいでだ(参照)。

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一体どういうことなのかと元スレを辿ると、そもそもは「大人の小学校」を運営する田村淳の、「自分達ではなく、他の夫婦が別姓にすることで、あなたに不利益がありますか?」という tweet への回答(というつもりらしきもの)に対するレスのようなのである。

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で、その答えというのがこんなものだ。

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なるほど、質問の意味をまるで理解せず、「世間一般の話」を強引に「我が家」と置き換えて反対している。私が最初に見た時点でなんと 1,001件もの「いいね」が付いていた。

さらに、「かつあげ」氏はこの質問に答えるためにわざわざこんなようなイラストを描いたのだろうかとも驚いたが、おそらく一度描いたものをいろいろなケースで使い回しているのだろうね。この場合は「見当外れ」というほかないが。

というわけで、この「かつあげ」氏は自分が夫婦別姓にする気は毛頭ないのだろうが、ほかの夫婦が別姓にして、その結果表札が 5枚になったりするのを見るだけでもイヤということのようなのだ。

その家の孫が「我が家っていったい何家なの?」と戸惑うに違いないと勝手に想像し、それによって生じる「ムカつき感」が「自分の不利益」とまで感じてしまうのだろう。ずいぶん律儀なことである。

そんなわけで、夫婦別姓反対派というのは「みんな一緒」でないと気が済まないという志向性が強いようだと察してしまった。多分これ、考え過ぎじゃないだろうと思う。

今さら言うまでもないが、夫婦別姓というのは「夫婦別姓を原則にしよう」という主張じゃなく、「別姓もあっていい」と言っているだけなのである。それに対して「みんな一緒」志向によって反対しているのだから、私には「余計なお世話」としか思えない。

「みんな一緒」の価値感を強制されるのは、私としては息苦しいとしか感じられないんだがなあ。そもそも自分の家を「〇〇家」と認識できなければ「不利益」が生じるなんてことはないしね。

どうしても「〇〇家」と名乗って認識したければ、その主旨による「系図」みたいなものを私的に作ればいい。明治以前の庶民の苗字感覚って、そうしたものだったらしいし。

私なんぞは逆に、「系図作ってみたら、いろいろな苗字の先祖がいて楽しい」なんて感じてしまうだろうというタイプである。

【10月 13日 追記】

上図の「我が家っていったい何家なの?」と言っている石田直人君は、どうしても「〇〇家」と認識したいのなら、とりあえず「石田家」ということにすればいいだけの話じゃないかと思う。自分が「石田姓」を名乗っていることでもあるし、迷うことは何もない。

父系の流れにこだわりたがるから戸惑うのであって、その気になれば母系の方にいくらでも辿れるし、それによる「不利益」なんて何も生じない。(別に「利益」もないが)

 

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比較文化・フォークロア」カテゴリの記事

コメント

個人的には選べないより選べる方がいいので反対する理由はないのでは?って思ってたんですが。
この話題を見る機会が政治的な何かになりすぎてしまって、心情的には反対派になってしまいました
(´・ω・`)

投稿: ひろゆき王子 | 2021年10月12日 21:34

こういうの、腹が立ってきますねえ。ちょっと調べて突っ込んでみます。

1;3世代同居という、日本に5.9%しかない世帯を取り上げていること。
さらにイラストでは孫が社会人のように見えます。成人した孫を含む3世代家族など、さらに少ないでしょう。

2;夫婦別姓が取り入れられたとしても、すべての夫婦が別姓を選択するわけではありません。仮に3割だとしても、別姓選択が2代続く確率は9%です。

1・2より、この図のようになる可能性は現代社会において0.5%(200軒に1軒)程度です。

3;さらに、現在いる夫婦が突然別姓になることもありません。いま結婚する30歳前後の夫婦に子ができ孫ができ成人するまで50年かかります。つまりこのかつあげなる人物が予想する世帯は、50年後にならないと発生しません。そのころには3世代同居家族はさらに減っているでしょう。

以上のことから、仮にこの人物の懸念を正当なものと捉えたとしても、そうなる可能性は50年も後に数百軒に1軒の家がそうなるというだけです。それをあたかも日本中の家の表札に3つも4つもの苗字が入り乱れるかのように示す、悪質なミスリードだと思います。

投稿: らむね | 2021年10月12日 22:49

日本が夫婦同姓を制度化したのは明治時代で、それはファミリーネームを持つ欧米に合わせて作ったもの。第一日本では公式に姓を名乗れたのは人口の一割程度だった。私的に姓を名乗っていた階層の人たちの家族の女性にも武家階級にも、女性に姓があったのだろうか?時代劇でも女性が名乗る時は何某の娘とか妻と名乗っている。我が家の旧い墓は面には何某の妻の墓と書いてあり、側面に俗名何と書いていた。学校教育が始まってから、女性も姓で呼ばれ出したというのが真相ではないかと私は勝手に思っている。
私の従兄弟なんかは5人兄弟姉妹で一人だけ姓が違っていて、兄貴に橋の下で拾ってきたと揶揄われていたが、祖母の家の姓を小さい時から名乗っていただけで今でも仲良しだ。
反対する人はなにを日本の伝統と考えているのかわからない。
他人が何をしても良いではないか。
ただ、私は男の孫には我が家の姓を継いで貰いたいという願望はある。

投稿: basara10 | 2021年10月13日 07:45

ひろゆき王子 さん:

うぅむ、恐縮ながら、おっしゃりたい真意がよく伝わって来ません。

投稿: tak | 2021年10月13日 08:56

らむね さん:

とても客観的な調べによるコメント、ありがとうございます。

>悪質なミスリードだと思います。

確かにその通りですね。

投稿: tak | 2021年10月13日 08:58

basara10 さん:

確かに、すべての日本人が公式に苗字を名乗り始めて、「家」とか「家系」とかを問題にし始めたのは明治になってからですね。

ただ、それ以前から、かなりテキトーな慣習だったとは思いますが、多くの日本人は苗字を名乗ってはいたようです。ただ、公式的なものではなく、「どこそこの誰それ」みたいな言い方がちょっと形を変えて定着しただけみたいなものだったようですが。

「太閤様」なんて、木下 → 羽柴 → 豊臣 と、時々の都合で変わってしまってますしね。

かくいう私なんぞも、実家の祖父母(かなり前に逝去していますが)とは、2008年 9月 25日付の「祖父母が 3人ずついる私」という記事で書いたように、血はつながっていません。

https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2008/09/post_8041.html

祖父母は「代々神道の家の、どうでもいい分家」みたいなもので、正式なお墓もありませんでした。今は父が新たに作った墓に眠っています。

そして母は養女で、そこに父が婿養子に入ったというもので、昔はこんなのはザラにありました。さらに、私自身は娘が 3人で男の子がおらず、その上、3人の娘は揃って結婚する気も子どもを産む気もないようです。

そんなわけで、私の家系は子供たちの代で終わりになると思われますが、だからといって「それが何か?」ってな感じで、養子だのなんだので無理矢理に存続させようという気もありません。

投稿: tak | 2021年10月13日 09:27

>「世間一般の話」を強引に「我が家」と置き換えて反対している。
異議あり。
おっしゃる通り、「世間一般の夫婦」が別姓にしても、「自分の不利益」にはなりません。
しかし、我が家は子々孫々夫婦同姓でありたいと願う人にとって、
我が子が、我が孫が、「夫婦別姓を選択し得る状態」は好ましくない。
彼らにとって、「別姓ゼロ」を揺るがす改正は、「自分の不利益」なのです。


>最初に見た時点でなんと 1,001件もの「いいね」が付いていた。
単に、「我が家は未来永劫、夫婦同姓」という意思表示だと思います。

投稿: McC | 2021年10月13日 11:09

McC さん:

>しかし、我が家は子々孫々夫婦同姓でありたいと願う人にとって、

自分がそう思うことは自由ですが、「我が子」「我が孫」はそうじゃない可能性があります。

たとえ自分の子孫が夫婦別姓婚を望んだとしてもそれを不可能にしてしまう、つまり、「自分の不利益」を、自分が死んでからも未来永劫生じさせないために、子々孫々を現在の自分の価値感で縛るというのは、いかがなものでしょうか?

投稿: tak | 2021年10月13日 11:20

takさんの 10.13追記によせて。
"石田礼子さんの父親が石田太郎さんで、その母親(直人さんの曽祖母)が「石田よね」さん" とすれば由緒正しき石田家ですね。(父系 母系半々にしてみました。)
ついでに 田中一郎さんには 「男」表記になってもらって、、(笑)。
なんていう図をどなたか絵心のある方が書いて教えてあげれば「何家」問題は解決ですね。)

「未来永劫夫婦同姓」願望はどうしましょうかねぇ。 「いえいえ私は未来永劫夫婦別姓」願望という人に登場いただきましょうか。 どちらも「個人の感想です」ということで、。

投稿: Sam.Y | 2021年10月18日 20:36

Sam.Y さん:

>"石田礼子さんの父親が石田太郎さんで、その母親(直人さんの曽祖母)が「石田よね」さん" とすれば由緒正しき石田家ですね。(父系 母系半々にしてみました。)

「由緒」ということの力点をどこに置くかですね。男系主義者にしてみれば、「いや、全然由緒正しくない!」ということになるかもしれません。

「そんな由緒は、メシの種にもならん」と言ってしまえばいいだけですが。

>どちらも「個人の感想です」ということで

夫婦で同姓にするか、別姓にするかは、個々の夫婦の考え方で決めればいいことなので、まさに「個人の感想」ですね。

ただ、夫婦別姓に反対する人は、「そんなことを許したら、将来、ウチの家系がメチャクチャになる可能性がある」なんてことまで心配しているんでしょうね。

これも「メシの種」とは関係ないですが、「関係大あり」という幻想をもっている人もいるのでしょう。

ただ、その頃には、自分のメシの種の心配はする必要ないはずなので、「取り越し苦労」と言っていいんでしょうけどね。

そうか、夫婦別姓反対論者は、「取り越し苦労」しているのか (^o^)

投稿: tak | 2021年10月19日 08:15

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