昨夜の地震で思い出したことなど
昨日の「和歌ログ」を更新した直後に強い地震に見舞われ、収まってから「この和歌をアップロードした直後に、震度 5弱の地震が起きてちょっと焦った」なんて「追記」を書いている。「ちょっと焦った」程度で済んだのは妙に「地震慣れ」してしまっているためで、あまりいいこととも思えない。
ここ茨城県南西部は、一時は「地震の巣」と言われたほどよく揺れる地域で、その頃からの慣れのせいで震度 4 程度なら落ちついてやり過ごせるし、昨日の「震度 5弱」も十分に許容範囲だ。しかし 10年前の東日本大震災ぐらいの揺れ(この辺りは震度 6弱)だと、さすがにかなり恐ろしく感じた。
この時のことは 2011年 3月 11日付「和歌ログ」に写真入りで、下のように詳しく書いている。
それで今回は、既に半世紀以上も前のこととなった 1964年の新潟地震の時の話をしてみたいと思う。それに関しては 2007年 3月 15日付「私の木造校舎体験」という記事でこんな風に書いている。
私は小学校から高校まで、ずっと今にも崩れ落ちそうな木造校舎で学んだ。小学校は築 60年という、本当に、いつ天井が落ちて来ても不思議じゃない建物だった。実際、どの天井も微妙な弧を描いていて、柱から離れた真ん中ほど下に垂れ下がっていた。
(中略)
そんな校舎だから、小学校 6年の時の新潟地震で倒壊しなかったのが不思議なほどである。それでも揺れている最中は、天井板の隙間から 60年の歴史ある埃がもうもうと舞い落ちてきて、地獄絵図のような有様を現出した。
ただ、この記事では敢えて触れなかった事実が一つある。それは昼過ぎの地震発生時、悪童だった私(自分自身の名誉のために書き添えておくが、学業成績の方は常に断然トップだった)は、廊下に立たされていたということだ。
給食時に悪童どもがワイワイ賑やかなのはいつものことだったが、その日は担任の女性教師が給食時に席を外していたので、いつも以上に賑やかだったようだ。それを他の教師に指摘されたらしい彼女はとても腹を立て、5時間目の最初に「給食の時に騒いでいた子は、廊下に立っていなさい!」と言い放った。
十分に身に覚えのあった私は、迷うことなくすぐに「はぁい」と応じ、自らスタスタ歩いて廊下に出た。悪童ではあったが、同時に馬鹿正直と言っていいほど素直な子でもあったのである。
ところが、一緒に騒いでいたほかの 10人近くの同級生は皆シラを切り、誰一人として後に続いてこない。結局廊下で手持ち無沙汰に立つことになったのは、私一人だけだった。
「はぁ?」の後にクエスチョン・マークがさらに 3つぐらい付きそうな感覚で、「何だよ、お前ら、意気地がねえなあ!」と言いたくなったのを覚えている。
そして問題の新潟地震が発生したのは、私が廊下に立った 4〜5分後だった。教室の中で教師が「みんな、机の下に隠れなさい!」と叫ぶのが聞こえたが、廊下にいる私には隠れる机がない。揺れに振り回されて廊下の窓枠にしがみついた後、やっとの思いで教室に飛び込み、空いていた机の下に潜り込んだ。
今にも崩れ落ちそうなおんぼろ木造校舎のこととて、まさに生きた心地がせず、かなりの恐怖体験として記憶に焼き付いている。しかも廊下で立ったまま揺れに翻弄される経験なんてしたのは私だけだったのだから、その衝撃は同級生たちよりずっとシリアスだったと思う。
この時、私は子供心にかなり忸怩たる思いにとらわれていた。何しろ「お前だけを悪者にはしない」とか言って一緒に廊下に立つような義侠心のある正直者は、クラスに一人もいなかったのだから。
私が「他人を信じすぎちゃいけない。人は自分の行為の責任をとりたがらず、さらに平気で友を見捨てるものだ」と学んだのは、まさにこの日だったと思う。地震の恐怖と相まって、かなり強烈なまでの「学習体験」だった。
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コメント
壮絶なご経験…。
アタクシも、中3のときに…。
地震やそれなりの緊急事態ではありませんでしたが、「なんや、お前らそんなもんか。」って経験があり、それ以来「へそ曲がり道」へ没入し始めたとは思います。
投稿: 乙痴庵 | 2021年10月11日 18:23
しかし、映像内のアナウンサーさんの姿勢には、魂を感じました。
投稿: 乙痴庵 | 2021年10月11日 18:25
乙痴庵 さん:
>「なんや、お前らそんなもんか。」って経験
こうした類いの経験というのは、かなり堪えてしまいますよね。まさに「へそ曲がり道」への入り口です。
投稿: tak | 2021年10月11日 18:46