« 街に人もクルマも増えている | トップページ | 「団塊の世代の尻尾」を巡る冒険 »

2021年10月25日

老後の資金なんて、元々ないのが当たり前になる

『老後の資金がありません』という映画が、公開前からやたら話題になっているが、原作は垣谷美雨という人による小説で、中公文庫で読めるらしい(参照)。

211025

小説の主人公はこれから老後を迎える 53歳の後藤篤子という女性で、これを映画では天海祐希が演じているようだ。53歳といっても、原作が世に出たのは 2015年で、この年の人口ピラミッドをみると、こんな具合だ(参照)。

2110252

この頃の 50代といえば、団塊の世代と団塊の世代ジュニアのほぼ中間ですぼまっている部分で、同世代人口の比較的少ない年齢層とわかる。上下の圧倒的な数の世代に挟まれて、しわ寄せを食いやすい存在だ。

老後の資金に限らず、いろいろな面で気苦労が多くなってしまう。映画では草笛光子の演じる義母の振る舞いに困惑し通しになるらしいが、まあ、そんなような宿命にある世代なのかもしれない。

いずれにしても、「人口ピラミッド」なんて言われているが、実際の形は下に行くほどつぼまっていて、今の 10代の幅なんて団塊の世代の半分強しかない。近所を歩いても「じいさんばあさん」ばかり目立つわけである。というわけで、2020年の人口ピラミッドは、2015年の時点でこんな具合に予測されていた。

2110253

現在の数少ない高校生以下の世代は、上に巨大な重石を二段重ねで乗っけられているようなものだ。今は「団塊の世代ジュニア」が現役バリバリで世の中を支えているからまだいいが、あと 20〜30年したら、人口ピラミッドが「人口逆ピラミッド」なんて言われてしまいそうだ。

これじゃあ、若い世代が老人の生活を支えろと言ってもムリなわけで、それぞれが「老後の資金」を蓄えておくしかない。ところが日本人の多くは現在の生活に精一杯で、貯金なんてしている余裕がないという。「老後の資金がありません」なんて、当たり前のことになる。

私としても来年は 70歳だというのに、何だかんだと言いながら細々と仕事を続けている。まあ、個人事業主で気に入った仕事しかしないというわがままを通してるからいいが。

しばらくは元気で働いて、時が来たら後の世代に迷惑をかけないようにポックリと逝ってしまうのが一番いいのかも知れないね。取りあえず、それまではあっけらかんと生きていくことにしよう。

 

|

« 街に人もクルマも増えている | トップページ | 「団塊の世代の尻尾」を巡る冒険 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

>しばらくは元気で働いて、時が来たら後の世代に迷惑をかけないようにポックリと逝ってしまうのが一番いいのかも知れないね。
簡易生命表によれば、70歳男性の平均余命は15.96年です。
しかし、70歳男性の5人に1人は95歳まで生きることになります。
(2.2%は100歳まで!!)

>取りあえず、それまではあっけらかんと生きていくことにしよう。
そろそろ長生きリスクに備えたほうが良いと思いますよ。
ただし、1.7%は一年以内にお迎えが来ますから、ほどほどに!

投稿: McC | 2021年10月25日 10:58

McC さん:

>簡易生命表によれば、70歳男性の平均余命は15.96年です。
>しかし、70歳男性の5人に1人は95歳まで生きることになります。
>(2.2%は100歳まで!!)

うひゃあ、そりゃ大変だ! 「長生きリスク」とは言い得て妙ですね。

不摂生してリスクを軽減しようかな (^o^)

投稿: tak | 2021年10月25日 15:07

>不摂生してリスクを軽減しようかな (^o^)
でも不摂生の結果、ボケたり、寝たきりになることもあります。
それが70歳or100歳では、お迎えが来るまでの期間に相当の差があるでしょう。
ピンピンコロリを目指すならば、
出来る限り節制して長寿を目指すべきと思います。

投稿: McC | 2021年10月25日 20:19

教育現場では人口ピラミッドを「ピラミッド型」「釣り鐘型」「つぼ型」と区分します。「人口ピラミッド」という概念が流布された当時はほぼピラミッド型しかなかったのでしょうね。おもいきり自然界的に捉えれば確かに真です(突然30歳が増えたりしない)。

現在の日本は、2回のベビーブームで凸凹しているとはいえ、つぼ型です。出生率が低く、長寿になり、平均寿命のやや下に人口のピークが来ます。逆に言えば長期にわたって安定した社会ということです。これが覆るにはWW2並の影響力が必要ですが、果たしてそれが幸せなことかというと微妙なところです。

投稿: らむね | 2021年10月25日 21:07

McC さん:

>ピンピンコロリを目指すならば、
>出来る限り節制して長寿を目指すべきと思います。

なるほどね。

私って、結局長く生きるしかないのかもしれないと、覚悟を決めておく方がよさそうですね ^^;)

どうも一般的な価値感が変わってきたようで、長生きすればおめでたいってわけじゃなくなっていると感じます。

投稿: tak | 2021年10月26日 00:17

らむね さん:

>出生率が低く、長寿になり、平均寿命のやや下に人口のピークが来ます。逆に言えば長期にわたって安定した社会ということです。

これって、歴史的にはこれまであまりなかった現象なんでしょうね。

これから、想像も付かなかった大きな何かが発生するかもしれないなんて、そういう覚悟も必要だったりして。

投稿: tak | 2021年10月26日 00:20

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 街に人もクルマも増えている | トップページ | 「団塊の世代の尻尾」を巡る冒険 »