2021年の新語(英語版)と、"NFT" という言葉
IT 系ニュースサイトのスラドに、Collins Language Lovers が "THE COLLINS WORD OF THE YEAR 2021" (Collns の選んだ 2021年の言葉)を発表したというニュースがあり(参照)、それによると、トップは "NFT" (Non-Fungible Token)なのだそうだ。
恥ずかしながら、私は "NFT" という略称も "fungible" という単語も知らなかった。とりあえず ”fungible" をネット辞書で調べると、形容詞として「物品の、または商品の」、名詞として「代替可能物」と出てくる(参照)。
"Fungible" って、原形は "funge" かなあと思ってついでに調べると、古英語の「真菌類」と出てきて(参照)、それ以外には見つからない。どうやら手に負えそうにないので、ここで諦める。
スラドでは "NFT" について、 こんなふうに説明している。
Collins Dictionary では略語として「アートワークやコレクターズアイテムの所有者を示すためにブロックチェイン上に記録されたユニークなデジタル証明書」、名詞として 「NFT によりその所有権が記録された資産」と定義している。
だいぶ解きほぐされたが、今イチしっくりこない。もっと端的にわかりやすい説明はないのかといろいろググってみたところ、Coincheck というサイトの「【図解でわかる】NFTとは?最新の活用例と将来性、税金について」というページに、こんな図が見つかった。
糸口としてこれほどわかりやすい図はなかろう。そしてこの図の後に、次のような説明がある。
NFT(Non-Fungible Token)とは主にイーサリアム(ETH)のブロックチェーン上で構築できる代替不可能なトークンのことです。この NFT の技術がゲーム分野や不動産分野で活用され、革命を起こそうとしています。
ふむふむ、「イーサリアム」(ETH)という仮想通貨において代替不可能性(「これと言ったら、これしかないのよ!」ってこと)を示すために使われる技術と、その発展形態というところまではわかった。とりあえあずここで収めておくことにしよう。
これ以上に深く理解したところで、個人的にはあんまり用があるとも思われないしね。もっとも Collins がトップに挙げているほどだから、もしかしたら既に広範囲に使われていて、知らないうちに恩恵に浴したりしているのかもしれないが。
続く言葉として次のようなものが挙げられているが、"NFT" と比べたら、少なくとも字面を見れば何のことだか想像が付くだけありがたい。(最後の ”cheugy" という単語は初めて知ったけど)
- metaverse (名詞): メタバース
- crypto (名詞、口語): 暗号通貨 cryptocurrency の短縮形
- double-vaxxed (形容詞、口語) : ある疾病に対するワクチンを2回接種した
- hybrid working (名詞) : 自宅とオフィスなど複数の異なる環境で交互に仕事をすること
- pingdemic (名詞、口語) : (COVID-19) 接触通知アプリにより広範囲の人々に送られる通知
- climate anxiety (名詞) : 気候変動への懸念により苦痛を感じている状態
- neopronoun (名詞) : 最近作られた代名詞、特に「xe」「ze」「ve」などジェンダーの明示を避けるよう作られたもの
- Regencycore (名詞) : テレビドラマ「ブリジャートン家」でみられる英摂政時代 (1811~1820) の上流階級の衣服をイメージした服装
- cheugy (形容詞、スラング) : 以前はかっこいい・ファッショナブルだと考えられていたが、今はそうではなくなっているもの
ちなみに下から 2番目の "regencycore" というのは、こんなような ファッション・トレンド。かなり薄めた形としては、パフスリーブがちょっと流行ったりしてるよね。
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コメント
NFTってあれじゃないですかね、簡単に複製可能なデジタルデータであるはずのデジタル絵画が、唯一のものだと証明されることで実際の絵画と同じようにちゃんとした金額がついて取引されているっていう。
投稿: らむね | 2021年11月29日 19:07
らむね さん:
どうもそんなようなことのようですね。ちゃんとした金額どころか、腰を抜かすような金額まであるようで。
くわばらくわばら。
投稿: tak | 2021年11月30日 07:02
デジタルデータを唯一のものと証明するというよりは、同一のものをいくらでも複製可能で、理論上は誰もが所有できるデジタルデータについて「所有権」を設定できるか、という「隻手の音」みたいな話ですね。
誰でも入手できる絵は取引できない(取引しても意味がない)けど、絵の「所有権」が唯一無二であれば取引可能になる、と。
「これ、私の」「え、私も同じモノ持っているよ」「でも本当に『持っている』のは私だけ」みたいな。
発想としては面白いんですが、あっというまに投資/投機の対象になってしまうところが何だかなぁという感じです。
投稿: 山辺響 | 2021年11月30日 09:37
山辺響 さん:
>発想としては面白いんですが、あっというまに投資/投機の対象になってしまうところが何だかなぁという感じです。
まさに問題はそこなんでしょうね。
あんまり深入りしたくない世界という気がします。
投稿: tak | 2021年11月30日 17:44