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2021年11月24日

「飲みニケーション」じゃ残業手当が付かないしね

共同通信が 11月 23日付で「飲みニケーション支持急落」というニュースを伝えている。日本生命保険が実施したインターネット上の調査で、「飲みニケーションが不要だと答えた人は全体の 62%で、内訳は『不要』が 37%、『どちらかといえば不要』が 25%だった」ということのようだ。

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この記事を解釈する上でキモになるのは、この調査がインターネット上で行われたということだ。

今のご時世でも「飲みニケーションは必要」と考えるような旧世代的価値感のオッサンの多くは、インターネット調査なんかに反応しない。一方、進んで回答したのは新世代的価値感の人間が多かっただろうから、「飲みニケーション支持派」に不利な結果になったのは当然だ。

それでも個人的な印象としては、「飲みニケーションは不要」との回答が 62%でしかなかったというのは低すぎる。しかもこの「62%」というのは、「どちらかと言えば不要」という「なまくら回答」の 25%を含むというじゃないか。

本来この種の調査は「要/不要のどちらと考えるか」を問うているはずなのに、敢えて「どちらかと言えば〜」なんていう回りくどい選択肢を設けていること自体が、いかにも「日本のサラリーマン社会」的である。この社会の「なまくら風土」はまだまだ根強い。

むしろ注目すべきなのは、「不要と考える理由」だろう。「気を使う」が37%、「仕事の延長と感じる」が30%を占めたというのは、かなり率直な反応と見るべきだ。

「飲みニケーション」という妙な「サラリーマン用語」の意味するところは、「延長業務」に他ならない。飲み代が「経費」で落とせるのだから、業務でなくて何だというのだ。若手が自腹を切ることは稀なのだろうが、本来なら「残業手当」まで欲しいところである。

本当に友人たちと楽しい時間を過ごしたくて一緒に酒を飲むなら、自腹を切ってでも飲む。しかしいくら「タダ酒」とはいえ、仕事の延長として楽しくもない酒に付き合わされるのは、苦痛でしかない。

「その苦痛に耐えることがサラリーマンとしての人生修行」なんて言う人もいる。しかし実は、そうした人にとっての「飲みニケーション」は「苦痛」ではなく「楽しみ」(だからこそやりたがる)なのだから、自分の楽しみのしわ寄せを部下に強いることを、勝手な言い草で正当化しているだけだ。

このご時世、会社帰りに上司に酒に付き合わされる機会が減ったのは、コロナ禍の数少ないプラス効果だったんじゃなかろうか。

今回の調査結果を見る限り、「この風潮が継続してもらいたい」と思っているサラリーマンの数は、「飲みニケーション復活」を願う層の ほぼ 2倍近い。調査に十分に反映されなかった旧世代的価値感をもつオッサンは、口惜しかったらインターネット調査にもっと積極的に反応すればよかったのだ。

会社帰りにどうしても仲間と飲みたい少数派は、他を巻き込まずに同士だけで集まって飲むべきだろう。しかも自腹でね。「業務」じゃなくて「楽しみ」なんだから。

 

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世間話」カテゴリの記事

コメント

以前勤めていた会社の上司と、新人時代(ったってアタクシ当時40近くのオッサンですけどね)会社帰りに上司の住まいまで約5km、コンビニエンスなどで酒買って、飲みながら歩いて帰ってました。
今日の仕事で気づいたこと、会社の考え方、未発表の情報など「飲みながらミーティング」でしたねぇ。
ガッツリ仕事の延長ですが、かなり有益な時間だったと思ってます。

今では「歩行飲酒」が目の敵になっちゃっているので、もうできませんなぁ。

投稿: 乙痴庵 | 2021年11月24日 18:23

乙痴庵 さん:

そういう形の「飲みながらミーティング」というか、「飲みながら、歩きながらミーティング」なら、「いいかも!」と思ってしまいました。

缶ビールを包装紙なんかで隠して飲むとか、「歩行飲酒隠し」をするのも手ですね (^o^)

投稿: tak | 2021年11月24日 19:30

宴会で醜態を晒す人をたくさん見てきたので、あらゆる宴会を拒否してきました。料理も殆ど手を付けないし、酒をほとんど飲まない私にとっては会費も無駄でした。

「飲みニケーション」不要と考える人が増えてきたのはいい傾向です。「コミュニケイション」は会議の場でやればいいのです。言いたいこと、訊きたいことは会議の場で済ませばいいのですよ。

投稿: ハマッコー | 2021年11月25日 11:19

ハマッコー さん:

私も最近では、「肉を食わない、酒はビール 1〜2杯程度」の人なので、たまに出る「宴会の会費」は、ほとんど「御奉納」みたいなものです ^^;)

>「コミュニケイション」は会議の場でやればいいのです。言いたいこと、訊きたいことは会議の場で済ませばいいのですよ。

まさにその通りです。

ただ、世の中には「会議で建て前、飲み会で本音」なんてマジに考えている人もいるので、本当に厄介です。サラリーマン社会の「裏表文化」の根源ですね。

投稿: tak | 2021年11月25日 13:00

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