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2021年11月 6日

"Cut House"(切られ家)と "Cut In"(割込床屋)

下の画像は 2019年 5月 1日付の記事である。「マツエク」(どうやら「まつげエクステンション」の省略形らしい)という言葉とともに、"CUT HOUSE" という店名にも驚いてしまっている。

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美容業界には "Cut House" (直訳すれば「切られた家」!)という表現のお好きな人が多いようで、ちょっとググってみただけで、東京周辺にも"CUT HOUSE ぱれっと" "Cut House Mini" "Cut House Nagashima" など、枚挙にいとまがない。

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そうかと思うと、最近は理髪店分野で "Cut in" という店名が増えているのが、気にかかってしまっている。

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店側としては「ヘア・カット」ということから関連付けているつもりなんだろうが、私なんか "cut in" という言葉からは「割り込む」とか「人の話をさえぎる」とかいう意味しか思い浮かばず、こうした看板を見ると、どうもむず痒い思いがしてしまう。

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最近ようやく、"Cut in" の ”in" というのは、もしかして "inn" (「小さな宿」)のつもりの勘違い表記じゃあるまいかという気がしてきた。まともな英語でも "Cafe and Inn" (カフェ付きの小さな宿)みたいな店はあるから、気持ちとしてはわからないでもない。

"Cut in" ではなく "cut inn" のつもりならば「切られた小宿」ということで、”cut house" (切られた家)と同列の発想として片付けることができる。まあ、いずれにしてもむず痒さが消えることはないのだが。

ファッションとか美容、理容の世界で使われる英語は、どうにも「雰囲気のもの」でしかない言葉が多いのだよね。そんなわけで、「切られ家」と「割込床屋」は今後も減りそうにない気がする。

 

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言葉」カテゴリの記事

コメント

bar ber shop も気になりますね。
私が通ってる店は、○○理容室という名称でとても座りがよい。職人がきっちり仕事をしてますよという雰囲気が感じられます。
雰囲気のものというなら○○理容室の勝ちだと個人的には思います。
50年前には、"Cut House" なんて皆無だったと記憶してます。
いつ頃から Cut … が広まったんでしょうか。

投稿: ハマッコー | 2021年11月 6日 15:14

ハマッコー さん:

>bar ber shop も気になりますね。

これ、案外よく見かけますね。この業界の人たちって、辞書引くなんてことは念頭にないんでしょうね。

>雰囲気のものというなら○○理容室の勝ちだと個人的には思います。

私も断然そう思いますが、当の理容師さんの多くが、「切られた家」とか「割り込み」の方をカッコよく思ってしまうんでしょうね。

妙な英語の店は妙な価値感の人が経営してるんでしょうから、避ける方が賢明だと思われます。

投稿: tak | 2021年11月 6日 19:45

私などはカットインと言われるとバスケットボールの「ドリブルで敵陣に素早く切り込む技術」を思い浮かべますね。これは本来の意味に近いようです(アメリカ人が言ってるんだから当たり前か(笑))。
前に書いたかもしれないですが、ペットショップの「I like dog.」の方が深刻かつ笑えます。

投稿: らむね | 2021年11月 7日 12:56

らむね さん

バスケットボールでの「カットイン」は、まさに本来の意味ですね。

ペットショップではヤバいですね。

I like chicken なら OK ですけど。

投稿: tak | 2021年11月 7日 18:03

「美容師 Cut in!」って ローマの休日の 日本語字幕にあった気がするのですが。(たしか 船上ダンスパーティーの隠し撮り写真を グレゴリーペックと カメラマンが確認するシーン)

投稿: Sam.Y | 2021年11月 8日 19:54

Sam.Y さん:

「美容師 Cut in!」という字幕スーパーというのでは、何がなんだかわかりません。

少なくとも「船上ダンスパーティーの隠し撮り写真を グレゴリーペックと カメラマンが確認」しながら、「美容師は英語で "cut in" だよね」という意味合いで言っていたのだとは考えられません。

「ここで美容師が割り込んだね」というような意味合いだったのだとすれば、なんとか理解できますが。もしそうだったとしても、日本語スーパーでは別の表現になるでしょうね。

というわけで、詳細で正確な情報が望まれるところです。

投稿: tak | 2021年11月 8日 20:03

横から失礼します。
youtubeでローマの休日を検索すると以下の動画がありました。
https://www.youtube.com/watch?v=jMhiANPJlmk
(違法動画かもしれませんが6年も放置されてるのでよくわかりません)
これの23分5秒あたりから、写真のタイトルとして「barber cut in」と聞こえるシーンがあり、字幕では「はさみ美容師」と表示されます。恥ずかしながら映画を通してみたことは無く前後の文脈も分からないのですが、何かの皮肉で言っているようにも見えます。この英語はどういった意味なんでしょうか。

投稿: らむね | 2021年11月 9日 11:50

稚拙な書き方すみません。
--自分が見たものを 他人も見ているつもりになってますね。--

記憶しているシーンとしては まさに美容師が王女のダンス相手として、まさに割り込んだところの写真をチェックしながら(特ダネ狙いの記者なので)写真にタイトルをつけているところ、、でむさくるしい男が二人で写真を見ながら「美容師カットイン」 「わっはっは」といった感じ。 なので「うまいこと字幕を付けるなぁ」と感心していたのですが。
もともとなんですね。
というわけで 「Cut inとは言わない」とは離れてしまった話題でした。

投稿: Sam.Y | 2021年11月 9日 16:45

いま 動画を見てみました。 確かに字幕は意味不明な「はさみ美容師」ですね。 とすると 記憶違いで吹き替えだったのか。 それより悲しいことに ウケてませんねというか滑ってますねこれ。(わっはっは じゃないじゃん) 「ボディーガードがボディーブロー喰らった」と似たようなレベルでしたね。 残念

投稿: Sam.Y | 2021年11月 9日 17:03

Sam.Y さん:
らむね さん:

『ローマの休日』は遠い昔に私も見たのですが、この部分は記憶に残っていませんでした。それでも、らむねさんの動画紹介のおかげで、疑問が晴れました。

問題のセリフは、王女と理容師がダンスに興じている写真のキャプションとして "Barber cuts in" がいいというものですね。("cut" に、三人称単数現在の "s" が付いてます)

このビデオの初めの方を見るとわかるのですが、まずグレゴリー・ペックとオードリー・ヘップバーンが楽しく踊っていて、ちょっと一息入れたところで、王女の髪をカットした理髪師が現れ、王女を横取りして自分がダンスの相手をしまっているのです。

"Cut in" という言葉には、話を遮って横から割り込むという意味のほかに、ダンスに割り込むという意味があって、これもよく使われるようです。(その次あたりに、バスケット・ボールが来るかも)

その時の写真なので、まさに「美容師、(ダンスに)割り込む!」という意味になります。キャプションはちょっと前の話でも現在形になることが多いので、"cuts in" となります。

さらに、王女の髪をカットした美容師なので、"cut" は掛詞的なシャレにもなっているというのがポイントでしょう。

というわけで、字幕の「はさみ美容師」というのは、苦し紛れにつけちゃったみたいで、これでは意味不明ですね。

以上、一件落着。

投稿: tak | 2021年11月 9日 17:59

疑問氷解です!(^^)!

投稿: らむね | 2021年11月 9日 18:29

らむね さん:
Sam.Y さん:

積み残しが発生しなくてよかったです。

それにしても、Sam.Y は、映画の細かいところまでよくご覧になってて。素晴らしいですね。

投稿: tak | 2021年11月10日 07:59

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