「シリカゲル」は「尻陰る」じゃないことを巡る冒険
ずっと気になっていることに、乾燥剤「シリカゲル」の発音がある。「ゲ」の音をちゃんとした濁音じゃなく、軽く鼻濁音で発音する人が多いので、「尻陰る」みたいに聞こえてしまうのだよ。まるでお猿の赤いお尻が青くなってしまったみたいな印象である。
よく見かける乾燥剤入りの小袋には、横文字で "SILICA GEL" という表示のものもちゃんとある。これをカタカナで分かち書きすれば「シリカ・ゲル」になるのが一目瞭然で、鼻濁音にはなりようがない。
しかし実際には「シリカゲル」という一続きの表示が圧倒的に多いので、鼻濁音が蔓延しているわけだ。ちなみに私の妻と 3人の娘も、しっかりと「尻陰る」式発音である。
試しに「シリカゲル 尻陰る」の 2語で検索すると、ものすごい数のページがヒットする。中には「尻嗅げる」なんてバージョンを掲げる人もいる(参照)から、世の中、本当に油断がならない。
それどころか、逆に乾燥を防ぐには「シリテラス」というものが効くなんて話まで出てくる(参照)。この既出がなかったら、来年のエイプリルフールに使いたかったぐらいの秀逸ネタだ。
こんなことになったのは、"silica" と ”gel” が一繋がりのカタカナ表記のほかに、そもそも ”gel” をいい加減なドイツ語風に読んだからということもある。ただ、ドイツ語 ”gel" の本来の読みは「ゲール」に近いらしいが、ウェブ上で聞く限りは「ギエル」と聞こえるんだがなあ(参照)。
”Gel” は英語なら「ジェル」になるから、初めから英語読みで「シリカジェル」ということにしていたら、「尻陰る」にはならずに済んだだろう。しかし小袋入りの乾燥剤はどうみても、いわゆる「ジェル状」からほど遠い粒々だし、化学物質はドイツ語風の方がもっともらしいってこともあるのだろうね。
ところで、「シリカ」というのは、「シリコン(ケイ素:Si)」の酸化物で、別名「二酸化ケイ素(SiO2」と言うらしい(参照)。じゃあ、「シリコンバレー」って、「ケイ素盆地」ってことだったのだね。そんなこんなで、半導体の主原料となる「シリコン」と「シリカゲル」の関係が初めて理解できた。
私のような極端な文系って、放っといたらこのあたりの知識がサル並みである。
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コメント
シリカゲールだったら小林製薬の商品名みたいですね(笑)
効果は・・・おならの臭い消し?
投稿: らむね | 2021年12月 6日 10:10
らむね さん:
座布団 3枚! (^o^)
投稿: tak | 2021年12月 6日 13:45
「柳生尻陰流」でも始めちゃいますか?
投稿: 乙痴庵 | 2021年12月 7日 12:14
乙痴庵 さん:
わはは(^o^)
座布団 5枚!
投稿: tak | 2021年12月 7日 14:01