「シリカ水」を巡るさらなる冒険
昨日の ”「シリカ水」と「ケイ素」を巡る冒険” という記事では「シリカ水」と称される飲料水について、ごくやんわりとクサしておいた。要するに「雰囲気のモノ」でしかないようだということである。
「シリカ水」関連のサイトを開くと判で押したように「シリカの補給は体にとって大切」みたいなことが書いてある。そしてシリカを十分に摂ると「健康維持にいい」とか「美容にもいい」などなど、ずいぶん良さそうな話なのだ。
ところが、具体的にどんな効能があるのかというと、「髪がきれいになった」とか「爪がきれいになった」とか「疲れにくくなった」みたいなことしかない。ほとんど「印象論」で、「雰囲気のモノ」という領域から出ないのである。
で、コトを荒立てすぎるのもどうかという気がして、昨日の段階ではスルーしいていたのだが、今日はやっぱり思い直して書いておくことにする。何かというと、昨日も紹介した Wikipedia の「シリカ」のページにある、「人体中のシリカ」という項目の、以下の記述である(参照)。
人体においてシリカはほとんど吸収されず、肝臓や腎臓への蓄積もほとんど行われない。水が付加したオルトケイ酸が血中に約1μg/mlの割合で吸収されるが、タンパク質とは反応せず、大部分が尿中に排泄される。
つまり、「シリカ水なんて、いくら飲んでも体内に吸収されずに排泄されるだけじゃん!」ということだ。
たった一つのサイトの記述だけで決めつけるのもナンだと思い、いろいろと検索してみたのだが、「シリカ」に関するページというのはほとんどが「シリカ水」商品を展開する当事者のもので、他には、わずかに「一般社団法人 日本珪素医科学学会(JMSIS)」というのが見当たるだけだ。
この JMSIS のサイトに行ってみると、その中の「珪素とは」というページに「イモ類や海藻類、精白していない穀類などに多く含まれ、食物繊維はその大部分が珪素食物繊維」と書いてある。食物繊維は腸内環境を整えるが、最後には吸収されずに排出されるというのが常識だよね。
しかしこのページには「水溶性珪素(天然水溶性珪素と同じプロセスで生産)」という項目もあって、いわゆる「シリカ水」についても言及されているような気にはさせる。ただ、実際に行って読んでみればわかると思うが、未整理のことがいろいろごちゃごちゃと書いてあるだけで、結局要領を得ない。
要するに、権威ある学会みたいな顔をしながら「煙に巻くためのページ」みたいで、「アヤシいよね」という印象は拭えない。
ちなみに「ケイ素サプリメント徹底比較・ランキング・価各表」(「価各表」って何だ?と言いたくなるが)というサイトがあって、そこの "消費者注意⑤「各商品を推奨する任意団体の実態」" というページには、次のように書かれている。
2016年には、健康補助の飲料として売られていた「水素水」がその宣伝や商法について強く非難されました。この水素水商法を仕掛けていた学会の一つに「日本酵素・水素医療美容学会」がありましたが、その「日本酵素・水素医療美容学会」の理事長が、実はこの「日本珪素医科学学会」の理事を務めています。(中略)
・日本珪素医科学学会 http://jmsis.jp/
濃縮液ケイ素サプリメントの大元商品のumo(製造元:APAコーポレーション)を販売するために作られた学会と言われているそうです。
というわけで「シリカ水」というのは、以前にもてはやされたものの、すぐにその「アヤシさ」がバレてぱったりと消えてしまった「水素水」の二番煎じみたいなものらしいとわかる。何しろその効能みたいなことを謳っているのは、商品を販売している当事者と、その関連団体だけだし。
昨日の記事のコメント欄で らむね さんが「こんどはこんなエセ科学ですか。毎度毎度懲りないなあと思いますが、毎度毎度騙される人がいて、毎度毎度儲かるんでしょうね(笑)」と書きつつ、「水素水」にも言及しておられるが、やっぱり「関係大あり」だったわけだ。
| 固定リンク
「世間話」カテゴリの記事
- 日本全国のコンビニ勢力図が、ちょっと意外(2025.04.23)
- 北関東のオバサン・グループって、ひときわうるさい(2025.04.12)
- ダイソーの「紛失防止タグ」というもの(2025.04.07)
- カプセルホテルと缶コーヒーは 45年前の大阪万博から(2025.04.05)
- あおり運転されたら、すぐに停まって先に行かせてしまう(2025.02.14)
コメント