オミクロン株と北京オリンピック
AFP BB News が 11月 30日付で "中国、オミクロン株は北京五輪での「挑戦」に” と伝えている。中国外務省の趙立堅(Zhao Lijian)報道官は「感染防止と抑制における挑戦となることは間違いない」と述べた上で、「南アフリカが速やかに情報提供したことに感謝する」としている。
ところが、このコメントは自らへのブーメラン効果も持ってしまったようだ。同じ AFP BB News の 11月 28日付が、米国の南アフリカの情報透明性への賞賛を伝えており、これは「新型コロナ流行初期の中国の対応への当て付け」的な意味を含んでいるとされるためだ(参照)。
米国は国務省声明で、アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官が「特に、オミクロン株を迅速に特定した南アフリカの科学者と、その情報を共有した南ア政府の透明性を称賛した」とし、世界はこれを模範とすべきだと述べている。
現在のコロナ禍は 2019年末の中国武漢での「原因不明の肺炎クラスター」に端を発しているとされ、この時の中国の対応は、どうみても透明性があったとは思われない。もし中国がこの件についての情報公開を積極的に進めていれば、現在の状況は違っていたかもしれない。
下は AFP が今年 2月 9日付で報じた「WHO による新型コロナウイルスによる感染症の起源調査」という記事に添えられた図解である。これを見ても、中国が WHO の調査に協力的だったとは到底思えない。
ということは、「南アフリカの速やかな対応に感謝する」という中国のコメントには、「そういうあんたの国のそもそもの対応は、感謝するにはほど遠かったけどね」という批判が返ってきても仕方がないというほかない。
中国がこうしたブーメラン効果を度外視しても南アフリカへの謝意を表明したのは、来年 2月 4日の開幕が予定されている北京オリンピックを何が何でも成功裏に実施したいという、強い意図をもっているからだろう。国家的威信にはこだわりたがる国だからね。
ただ、今年の東京オリンピックにもかなり批判的だった(参照 1、参照 2、参照 3)私としては、北京オリンピックに関しては、最低でも「外交的ボイコット」すべきだと思っている(参照)。
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コメント
アスリート魂を思えば、その大会で良い成績を残していただきたいと思います。
ただ、あの大陸国へ行くってこと自体、なんだかリスクの方が高い気がして…。
変なモノ連れてくるなよ…。
(あくまで個人の思考及び感想であり、クレームは受けつけません。)
投稿: 乙痴庵 | 2021年12月 3日 23:09
美人アスリートが政府高官から〇〇を要求されて、それを外に漏らしたら〇〇される可能性もありますし(泣)
投稿: らむね | 2021年12月 4日 09:50
乙痴庵 さん:
もう、オリンピックでの活躍は諦めて、その他の国際大会(世界選手権とか)に集中するとかを考えた方がいいかも ^^;)
オリンピックって、だんだん価値が落ちていくと思います。
投稿: tak | 2021年12月 4日 10:10
らむね さん:
なにしろあそこ、わけのわからない国ですからね。
投稿: tak | 2021年12月 4日 10:11