紙の国語辞典から言葉が消えても
FNN プライムオンラインの【国語辞典から “消える言葉” コギャル、着メロ、MD…新たに追加は「チル」や「ぴえん」 掲載の基準は?】という記事が注目を集めているらしい。私としては、国語辞典から「コギャル」という言葉が消えることより、これまで載っていたということの方がむしろ驚きなのだが。
このニュースはフジテレビの「イット」という番組で 12月 6日に放送されたものらしいのだが、この中でジャーナリストの柳澤秀夫氏は次のようにコメントしている。
僕はこの「消える」っていう表現があんまり好きじゃないかな。言葉っていうのは、時代の足跡・レガシーだと思うんですよ。それを消しちゃいけないと思う。もしどうしても消すのだったら、消した言葉の辞書を作ってほしいと思いますね。これはしっかり残していかないといけないと思います。
私も「言葉フェチ」的なところがあるので(こちらを 見たらおわかりだろう)、この気持ちはよくわかる。とくにジャーナリストはテンポラルな言葉にもある種の愛着をもつことがあるだろうから、残念に思うのはなおさらだろう。
ただ、辞書に何でもかんでも残したら、分厚くなってしょうがない。ことに今回報道されたのは『三省堂国語辞典』という小型のものだから、ある程度の取捨選択をしなければならない。
さらに今の時代は、その気になればいくらでもインターネットで調べられるから、紙の辞書の重要性は昔ほどではない。実際、私のデスクサイドには辞書といえば、『例解 古語辞典』と『携帯 新漢和中辞典』(どちらも三省堂)の 2冊しかない。古語と漢字だけは、紙の辞書の方が使いやすい気がするのでね。
フツーに言葉を調べる時は iPhone にインストールしてあるアプリの『大辞林』と『ウィズダム英和・和英辞典 2』を使う。この方がずっと手軽だし、さらに新語・流行語の類いは、気軽にググってネット上での生きた使い方を見る方が、辞書的な素っ気ない説明よりずっと感覚的につかめたりする。
つまり、国語辞典から言葉が消えたとしてもインターネットの世界にはちゃんと残るってことだ。あまり余計な心配はしなくていいと思っている。
【同日 追記】
Web 上にも『Weblio 古語辞典』という無料の検索サービスがあるのを発見した。ただしちょっと覗いてみた感じでは、やっぱり紙の辞書の方がしっくりくる。古語辞典なのに表示が横書きというのが、ちょっとね。
【同日 再追記】
乙痴庵 さんのコメントへのレスを書いていて気付いたのだが、私のデスクサイドには、『例解 古語辞典』と『携帯 新漢和中辞典』の他に、『くずし字解読辞典』(近藤出版社)というのもあるのを書き忘れていた。
リンク先に表示されているのは 1979年発行の「普及版」で 1,180円だが、私のは 1977年発行の「増補版」で、「定価 1,600円」と表示されている。そうか、2年我慢すればちょっとだけ安く買えていたのか。しかし、あの時は我慢できなかったからなあ。
これ、あまり「辞典」とは意識していなかったが、書名にそうあるのだから、辞典なのだね。
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コメント
辞書といえば、「辞書を通読する人」の記事が面白かったです。冒頭から、「斯く言うぼくも、国語辞典、漢和辞典を家に5、60冊ほどしか持っていないが、さすがに通読したものはない。」というのが飛ばしています。5~6冊なら分かりますが…。
https://dailyportalz.jp/kiji/reading-dictionary
すごく面白いんですが、真似しようとは思いません…。
投稿: 山辺響 | 2021年12月12日 10:11
漢字の書き順を調べようと思って、息子が小学生の頃使っていた漢字辞典(小学生向けの書き順付き)使ってます。
今では動画?GIF?で書き順を示してくれるサイトもありますが、なんだか紙をペラペラすること、身についてますねぇ。
投稿: 乙痴庵 | 2021年12月12日 13:23
山辺響 さん:
こりゃまた、面白いですね。
個人的には語源の辞典と、数え方の辞典というのに惹かれてしまいました。自分で買って通読するかというと、また別の話ですが。
投稿: tak | 2021年12月12日 18:15
乙痴庵 さん:
官製の書き順というのは、何だかピンとこないんですよね。
10年前に ”「上」という漢字の意外な筆順” なんて記事も書いてますし。
https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2011/05/post-61cf.html
それにしても、書き順の動画まであるとは知りませんでした。
投稿: tak | 2021年12月12日 18:23
山辺響さん
おー、そんな記事がありましたか。それの水野さんがやられているYoutubeの「ゆる言語学ラジオ」、お気に入りです。時間を忘れて見入ってしまいます(笑)
辞書マニアと言えば数年前にタモリ倶楽部に出た人が忘れられません。
http://halohalo-online.blog.jp/archives/1069806144.html
たぶん日本一かも。
投稿: らむね | 2021年12月12日 22:13
らむね さん:
いやはや、「世の中って広いものですね」としか言えません ^^;)
投稿: tak | 2021年12月12日 22:45