「分かち書き」の考察と、漢字のありがたさ
下の写真は昨日の大阪出張中、某駅の踏切付近にある建物の看板に目を奪われ、咄嗟に iPhone のカメラで撮ったものである。「解読」するのに、ちょっと戸惑った。
「ナ」と「ドイ」の文字がビミョーに大きめなこともあって、つい「耳は名の土井その意味は?」なんて言いたくなってしまい、わけがわからない。「イソノさん」(磯野、あるいは五十野さん?)という耳鼻咽喉科のお医者さんの看板なのだろうと想像が付くまでには、5秒ぐらいかかった。
このお医者さん、おそらくローカル的には全然問題なく、むしろ個性的でおもしろい看板としてお馴染みになっているのだろう。しかし、よそ者にはインパクトたっぷりで、まるで魔法の呪文である。
これ、フツーの日本語表記なら「耳鼻喉磯野」となって、まだ理解しやすい。こうしてみると、漢字のありがたみがわかろうというものである。一方、アルファベット文化圏では表音文字ばかりなので、どうしても単語ごとに「分かち書き」しなければとりとめがなく、読みにくくなってしまう。
ちなみに、お隣の韓国は漢字を避けてハングル表記を専らとしているようだが、それって日本語で言えば、「かな」でずらずらっっと書き連ねるようなものだ。それだからこそ表音文字文化の常として、分かち書きする必要があるみたいなのである。
下の画像は Research Gate というサイトからコピーさせていただいたハングル文書の一例(参照)で、確かに分かち書きされている。私はハングルは全然読めないので、意味もさっぱりわからないが。
韓国語の文書は、単語ごとではなく文節ごとに区切る決まりらしく(参照)、日本語で言えば「わたしは ゆうびんきょくに いきます」みたいな感じになる。ただ、韓国語では「郵便局」が「우체국」(発音は "uchegug")の 3文字で済むようなので、日本語のひらがなほどまどろっこしくはない。
ただ、さすがに漢字を使わないと、同音異義語の判別が難しいだろう。「日本語よりも予測不能!韓国語の同音異義語」というページによれば、そのあたりは文脈によって判断するほかないらしい。
それを思うと日本語の場合、やはり漢字は捨てがたい。
【同日 追記】
このお医者さんのウェブ・ページが見つかった。「磯野耳鼻咽喉科」が漢字表記であるらしい(参照)。この看板になった経緯について、次のように書いてある。
祖父が当院開業にあたり資金面でお世話になった実業家が<カナモジカイ>という会の一員で、看板にカナカナを使うことを、勧められたと聞いています。
現在では当院以外でも<ミミハナノド>というコピーは色々な耳鼻咽喉科医院が使っていますが、当院がオリジナルいうのは真実のようです。
へえ、ほかにも「ミミハナノド」という看板の耳鼻科はあるのだね。世の中、広いものである。
ただ、ちょっとググっただけで下記のお医者さんが見つかったものの、ひらがな表記や、「・」で区切るなどの分かち書きが多いようで、モロに「ミミハナノドイソノ」というのは、さすがに異色みたいだね。
みみはなのど さいとうクリニック、みみ・はな・のど せがわクリニック、みみ・はな・のど 荒川クリニック
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コメント
韓国語の文の問題、見聞きしたことがあります。
takさんの言われる通り、ほぼ平仮名だけで書いているに等しいので、字数が多くすなわち本が分厚くなり、また日本語で漢字熟語を多用するような高レベルの文章ほど読みにくくなってしまい、韓国人の平均読書量は活字離れが問題視される日本よりはるかに少ないのだとか。
また漢字が読めないので、70年より前の自国の文書を読むのが、日本人が古文を読むよりもさらに厄介になってしまっているそうです。
投稿: らむね | 2021年12月18日 22:02
看板の文字の大きさですが、正面の看板は同じ大きさのようですが、
縦書きの方は「ミミハナノド」の方が「イソノ」より小さいですよね。
意図して大小の差を付けたと思いますが、
もっと明確な差をつけなくちゃ、看板の役目が半減ですよね。
でも、tak さんが気になったように、
他の人も気になって、覚えてもらえるのかな、なぁ〜んてね。
投稿: さくら | 2021年12月19日 14:45
らむね さん:
>ほぼ平仮名だけで書いているに等しいので、字数が多くすなわち本が分厚くなり、また日本語で漢字熟語を多用するような高レベルの文章ほど読みにくくなってしまい、韓国人の平均読書量は活字離れが問題視される日本よりはるかに少ないのだとか。
確かに、分厚くなってしまいそうですね。同じ表音文字でも、ハングルはアルファベットよりもスペースを多く取るイメージです。
漢字が読めなくなっているのは、文化的に損失だと思ってしまいますね。
投稿: tak | 2021年12月19日 16:49
さくら さん:
わかりやすくするよりも、カナモジの面白さを狙ったもののようですね。これはこれでいいのかもしれません ^^;)
投稿: tak | 2021年12月19日 16:50
脇から失礼いたします。
漢字の場合もその視覚的な印象によって混乱させられることがあります。
以前宮城県の石巻市に行ったとき、「姉歯産婦人科医院」という看板が目に入ったのですが,一瞬ここは歯医者さんなのか産婦人科のお医者さんなのか判断がつかなかったことがありました。
投稿: nomibitoshirazu | 2021年12月19日 17:38
nomibitoshirazu さん:
なるほど ^^;)「姉葉」という苗字の人は確かにいますからね。
こればかりは、振り仮名をふるとかとなんとか切り抜けてもらいたいですね。
投稿: tak | 2021年12月19日 18:32