雑煮のバリエーションが見えるインターネットの威力
フードライターの白央篤司という方が Twitter で「みなさんのお雑煮を見せてくださいませんか」と呼びかけた(参照)ところ、全国から次々に画像が集まっている。それが togetter で地域別に分類整理されて見やすくなっているのがとてもおもしろい(参照)。これはインターネットの威力と言っていいだろう。
私は 16年前の 1月 5日に "「正しい餅」は、丸餅でなきゃ" という記事を書いている。一般的には東日本は角餅、西日本は丸餅とされているが、私の生まれた山形県庄内地方は、東日本では珍しい丸餅文化圏である。この件で、進士素丸さんの tweet に面白い地図がある(参照)。
この地図では、山形県酒田市は ⚫ で表示され、全国でも珍しい(奈良と九州にはポツポツあるが、東北では唯一)「丸餅を焼く」文化圏ということになっている。同じ丸餅でも、西日本では焼かずに「煮る」のが主流のようだ。
大雑把に言うとこの地図上では、「角餅を焼く」東日本は黒っぽく、「丸餅を煮る」西日本は白っぽく見える。というわけで、焼いた丸餅をすまし汁で食うという酒田は、両者のクロスオーバー文化といえる。
白央篤司さんの呼びかけに寄せられた写真で私にとって一番「お馴染み感」があるのは、さすがに「山形県沿岸部」にお住まいの、きになるこ さんの tweet にあるもの(参照)。私の実家でも、元旦にはこんな風に色取りどりのおかずが付いた。
さらに個人的にそそられたのは、石川県にお住まいのお二人の丸餅雑煮(参照 1、参照2)。添えられるのが「刻み葱だけ」とか「三つ葉と柚子だけ」とかの、潔いほどのシンプルさだ。さすがに金沢文化圏、よほど出汁をおいしく取るのだろうね。
驚いたのは、香川県でずらりと並ぶ「餡入り餅の白味噌仕立て」である。あんこの入った餅を雑煮にする地域があるなんて、生まれて初めて知った。日本は狭いようでも広い。
日本の全都道府県に行ったことのある私でも正月にはおとなしくしてるから、多様な雑煮には接していなかった。こうしてみると「たかが雑煮、されど雑煮」と言いたくなるほどのバリエーションで、長く守っていく価値がある。
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コメント
「お雑煮文化圏図」を見てたらどこかで見たような気がするので調べたらこれがありましたね。半年前の記事ですね。
https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2021/06/post-374745.html
うどん圏とそば圏の境界線とお雑煮文化圏のそれがほぼ一致するのが興味深いですね。
しかも、両者の境界線の東はほぼ画一的で西は地域によって食文化が多彩なのが面白いですね。やはり、西は様々な文化が花開く素地があったのでしょうか。(と言う表現が‟正鵠を得ている”か自信がありませんが)
投稿: ハマッコー | 2022年1月 5日 03:01
両親が香川です。
亡父が餡子餅の雑煮が好きでしたが私は大人になるまで甘いものは食事ではないという子供でしたので好んでは食べませんでした。とは言え年に1回は食べましたが。
今となってはみそ仕立てにすらしてもらえないので懐かしいです。(結婚するまで雑煮はみそ仕立てが当たり前でした。)
投稿: automo | 2022年1月 5日 08:54
ハマッコー さん:
本当ですね。うどんかそばか、丸餅か角餅かというのは、食文化のかなりベーシックなところにあるみたいですね。
その点、わが郷里は、そばもうどんも有力だし、丸餅を焼いてすまし汁で食すという、かなり折衷的な文化圏であるようです。テキトーな人間が育ちやすいかもしれません (^o^)
投稿: tak | 2022年1月 5日 09:54
automo さん:
おお、あん餅文化圏の方に直接コメントをいただけるとは、ありがたいです。
「年に1回は食べました」というのが、いかにも縁起物らしくていいですね。
味噌仕立ての雑煮というのは、関西と四国の一部だけなんですね。この狭さは、ちょっと意外でした。
投稿: tak | 2022年1月 5日 09:59