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2022年3月23日

参勤交代と、東京一極集中

JAPAAAN の本日付 "参勤交代の弊害は「都会っ子」を生み出したことだった!? 昔からあった都会/田舎の軋轢" という記事を読んで、「へえ、なるほどね」と思うところがあった。日本中が「東京/江戸」を向いてしまう気風は、参勤交代の昔から養われていたのか。

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「参勤交代」というシステムについては、遠い昔の教科書で習っただけなので、改めて復讐してみよう。件の記事にはこのようにある。

江戸時代に行われた参勤交代は、大名に、自国と江戸を約 1年おきに行き来させ、妻や子(世継ぎ)をいわば「人質」として江戸に住まわせるという政治システムでした。

つまり、大名は 1年おきに自分の領地の江戸を行ったり来たりするが、妻と子はずっと江戸で暮らすということである。ずっと江戸で育った子、つまり若君が、親が死んだ途端に「世継ぎ」として次の殿様になり、その時から親がやっていたように、江戸と領地を行ったり来たりすることになる。

江戸で育った若君は、田舎の空気なんて知らない。いきなりお殿様として迎えられた自分の領地なんて、言葉だって違ってるし、何となくダサく感じてしまっても不思議はない。

そんなわけで、参勤交代で再び江戸に行って 1年間暮らすのが楽しみになってしまう。何しろ、江戸の方にずっと馴染んでいるのだからしょうがない。気の毒な話である。

江戸幕府が倒れて明治維新になってからも、相変わらず東京が日本の首都として君臨したために、日本中が 400年以上にもわたって東京を向いて暮らすことになってしまった。

地方で生まれた若者たちの多くは、地元で暮らしながらもテレビで東京の雰囲気に馴染み、多くは高校を出て東京で暮らすことになる。このあたりは江戸時代の若君とは逆パターンだが、東京を向く意識が育ってしまうという点では共通してしまう。

それだけではない。江戸の昔は「若君」だけが「都会っ子」に育ってしまったが、今の世の中は日本中の多くの人間がそんなような傾向になりがちだ。なるほど、「江戸/東京」への一極集中が進むわけである。

私自身は 18歳まで生まれた庄内の地で暮らし、入った大学が地方出身者が多いと言われるワセダだったりしたもので、東京という土地には「地元意識」が持てなかった。そしてここ、つくばの地に移り住んで 40年以上経ってしまったため、遂に「都会人」にはなれないでしまっている。

そんなわけで、ブログまで「庄内」のペンネームで書いているわけだ。

自分としては「東京人」になるよりりずっと幸せなことだと思っているのだが、江戸幕府というのは、日本中の大名が「江戸」の方に地元意識を持ってしまうように仕向けたってことだ。これが 260年以上もの「太平の世」を作り出した元なのかもしれないね。

 

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

そうなんですよね、少し考えてみれば当たり前なんですが、大名の息子は自分が大名になるまで江戸にいるんですよね。
少し前の大河ドラマ『西郷どん』で、幕末の名君島津斉彬(演:渡辺謙)が父の死去で鹿児島に来るのですが、そこで鹿児島の民衆が沿道に集まるんです。初めて来る若様を一目見るために。これが大名交代の一般的なスタイルなのかと印象に残りました。

投稿: らむね | 2022年3月23日 23:31

らむね さん:

テレビはほとんど見ないんですが、そのシーンは見てみたかったかも。

大名の跡継ぎというのは、江戸から天降ってくるという感覚なのかもしれませんね。

投稿: tak | 2022年3月24日 18:58

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