見出しの付け方って、難しいよね
東洋経済 ONLINE に ”東大生断言「頭がいい人」「そうでない人」決定的差 目の前のことを漫然と見て鵜呑みにしない」という記事がある。現役東大生である西岡壱誠さんという人の "生まれつきの才能は不要 東大「逆転合格」の作法" という連載の第 5回目のようだ。
私は東大なんて受験したこともないので、別に記事の中身について関心があるわけじゃない。ただ、「ん?」と引っかかってしまったのは、「目の前のことを漫然と見て鵜呑みにしない」というサブ見出しである。
問題は、末尾の「〜にしない」という否定が、どこまでかかるのかということだ。「鵜呑みにしない」とあるのだから、「鵜呑みにしちゃいけない」というのは確実なのだが、その前の「漫然と見て」という部分までかかるのかどうかが不明確である。
まあ、文脈からみて、「漫然と見る」ことと「鵜呑みにする」ことの 2つの要素を一繋がりにして「しちゃいけない」と言ってるのだろうとは容易に解釈できる。とはいえ「確実な根拠はあるか?」と問われたら、「う〜ん、そう取るのがフツーだし」ぐらいのことしか言えない。
もしかしたら、「漫然と見る」ことまでは許すが、その見たことを「鵜呑みにしちゃったらアウトよ!」ということなのかもしれないじゃないか。少なくともこの文のみを問題にするなら、100%そうじゃないとは言い切れない。
重箱の隅を突くようなことを言っているのは自分でも重々承知だが、今回に限ってはこの程度の疑問は責められる筋合いじゃないだろう。だってこの記事そのものが、ものごとを安易に「鵜呑みにしない」ように薦めているのだから。
このサブ見出しは多分、筆者の西岡壱誠さんが自分で付けたのではなく、編集部が付けたのだろう。こうした記事の見出しって、大抵はそういうものだ。ということは、編集部の担当者が「ごめんなさい。もっと正確な言い回しをすべきでした」と言わなければならないと思う。
ただ、筆者自身も本文の 4ページ目で「目の前のことを、ただ漫然と目に入れて鵜呑みにしない」と書いているから、編集者ばかりに責任を帰すわけにいかないけどね。
そこから先の話として難しいのは、「じゃあ、どう言い換えればいいんだ?」ということだ。「目の前のことを、漫然と見るのも鵜呑みにするのもいけない」と言い換えるのはほぼ自動処理みたいなものだが、文の「質」の観点からすると冗漫すぎるものになる。
さらにはっきり言ってしまえば、これ、見出しとしてはそもそもからしてちょっと冗漫なのだよ。だからこそ、「ん?」と引っかかってしまうのだ。
ここは思い切りが必要で、くどくど言わずに「目の前のことを漫然と見過ごさない」ぐらいにしてしまえば、いっそスッキリする。うん。私としてはこれがオススメだなあ。
東大卒でもないのに、細かいところでイチャモンを付けてしまったが、見出しに関してはそういう話なので、あとのことは
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コメント
このサブ見出しを書いた人は、原文がそうなのだから、普通に要約するしかなかったのでしょうね。筆者の真意を汲んで、もっと気の効いた言い回しが出来るようなら、編集者として相当優秀な方でしょう。世の中、このような文章は残念ながら蔓延しています。私も気持ち悪いのですが、それを口に出すと変人扱いされかねないので黙っています。takさんが時々指摘して下さるので、日頃のフラストレーションが解消されて嬉しいです。
投稿: K.N | 2022年4月 2日 23:01
K.N さん:
私としても書いてフラストレーションを解消してるところがあるんですが、K.N さんのフラストレーションまで解消されているとは、嬉しい限りです (^o^)
投稿: tak | 2022年4月 3日 10:30