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2022年3月14日

何枚も重ねた棟瓦にシャチホコまで立てて

「棟瓦(むねがわら)」というものをご存知だろうか? 私は 40年ちょっと前、自分の家を持つことになった時に初めてこの言葉を知った。基本的に建売住宅だが、まだ工事に入っていない今なら、細部は注文主が指定できるということだったのだ。

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話が進んでかなり佳境に入ったとき、不動産屋の担当者が「ところで、棟瓦は何枚重ねます?」と聞いてきた。

こちらは何のことだかわからず、「はぁ?」としか言えずにいると、先方は「屋根の棟に重ねる瓦のことです」と説明してくれた。こちらはご大層な屋根にしたくなんかないから、「瓦じゃなくて、シンプルなスレート葺きにしてください」と頼み、今の我が家の屋根のイメージが確定したのである。

そんなこともあって、改めてこのつくばの里に昔から住んでいる人たちの家を眺めると、かなりご大層な造りが目立つ。まるでお城みたいな屋根が多いのだ。

上の写真は Wikipedia の「棟」の項目にあった広島城の屋根の写真をお借りしているのだが、てっぺんに重なって高くなっているのが「棟瓦」である。城だから、シャチホコまで立っている。

そしてこの辺の家も、お城でもないのにこんな感じの屋根が多いのである。というか、この広島城の棟瓦よりも高く積み重ねている家がいくらでもある。さらに、お城でもないのにシャチホコまで立てている家も珍しくないのだよ。

「すごいなあ!」と思ってしまう。何としてでも自分の家を重厚で貫禄たっぷりに見せたいのだろう。そんな需要が多いから、不動産屋の担当者も「棟瓦は何枚重ねます?」なんて聞いてきたわけだ。

さらに玄関ドアのデザインを選ぶ段になり、先方の薦める重厚すぎるほどのデザイン過剰なサンプル写真をどんどん飛ばして、最後に残った一番シンプルなのを指さすと、向こうは「本当にこれでいいんですか?」と驚く。「勝手口と間違えられてしまいますよ」と言うのだ。

「いえいえ、ウチはこれで十分です。あんまりご大層だと、自分で気持ち悪くなっちゃう」

そんなわけで、今の簡素な玄関ドアに落ちつき、さらに外装から内装の壁紙やフローリングに至るまでどんどん「デザイン過剰の成金趣味」を避けたものに決めていったら、結果として当初の予定価格よりずいぶん安上がりで済んだのだからありがたい。おかげでずっと気楽に暮らしてこれた。

そして最近になって、都内辺りから引っ越してくる若いカップルの建てる家を見ていると、我々夫婦が 40年前に指定したようなシンプルなイメージの家が多い。今や、周囲を威圧するような押し出しの強い家に住む時代じゃないのだ。

こうして見ると我々は、家のデザインに関してはずいぶん時代を先取りしていたようなのである。

 

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