『ネイザンロードのイルミネーション』という小説
”My Documents” フォルダの奥の奥の方から、昔書いた小説のようなもの(未発表)がいくつか出てきた。その中に『ネイザンロードのイルミネーション』というのがあり、どうやら 1987〜8年頃に書いたもののようで、ということは、30代半ばのことである。いやはや、若かったなあ。
これは当時の仕事で、ファッション業界取材のために香港を訪れた時のことを題材にしたものだ。「ネイザンロード(Nathern Road、彌敦道)」というのは、香港の中心部を南北に走る大通りである。
ただ、この作品、Windows 3.1 が発表される 4〜5年も前の作だから、どうやら大昔のワープロ専用機 OASYS(参照)で書き、オプションの TXT 形式で保存したもののようなのだ。
ところがいかにお馴染みの "****.txt" という名称のファイルとはいえ、30年以上も前ものだけに規格が違いすぎて、手持ちの Mac では読み込めない。「TXT 形式で保存しとけば大丈夫」というのは甘かったようで、「自分で書いた作品が自分で読めなくなってしまったのか!」と失望していたのである。
ただ、同じ頃に書いたものでも「戦争では誰も勝たない」というショートショートは、たまたまインターネット上で発表していたために、読み込みの苦労はせずに済んでいる。いやはや、インターネットはいろいろな意味で心強い。
というわけで半ば諦めかけていたのだが、昨日ふと思いついて押し入れの奥から大昔の Windows PC(OS は ”Windows 7”)を引っ張り出したのである。これで辛うじて起動した「メモ」アプリで、ものは試しと開いてみたところ、なんと、見覚えのある文章が再現されたではないか。
大昔のファイルは大昔のマシンで開くに限るようなのである。こうして読み込んだテキストの Word ファイルへの変換に成功して、どっと脱力するほど安心した。
短編小説としてはちょっとだけ長めだが、中編というほどの分量ではない。もしよかったら、こちら をクリックすれば別画面で読むことが出来る。(なお、上の画像をクリックしてもリンクされる)
最近はロシアのウクライナ侵攻が非難の的だが、私としては中国による香港蹂躙に関してもかなりムカついている。昔の香港は観光以外の視点でも魅力たっぷりで、私はニューヨークの次に大好きな街だった。この小説の中でも、香港の若手ファッション・デザイナーが、こう語る姿を描いている。
「僕らの父親の世代は今でも何とかして香港から逃げ出したいと考えている。そして財産をカナダあたりに移して、移住のチャンスを待っている。だけど、僕はこの香港の街が好きだ。例えどんなことがあろうと僕はこの香港の街と一緒に生きたい」
ちなみに「1997年に、中国に返還されても?」 という私の質問に対しても、彼は次のように答える。
「もちろん。僕のような者がいる限り、香港は香港であり続けるさ」
しかし今となっては悲しいことではあるが、彼が香港の外に無事に脱出していることを願う。結果的に自身の言葉を裏切る状態になっているとしても、私は決して責めようとは思わない。もはや香港は香港でなくなったのだから。
昔の作品を今さらのように発表させていただくのは、魅力的だった 1987年の香港へのオマージュを残しておきたいという気持ちからである。
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コメント
ちょうど 長官選挙に現職が立候補しないというNewsが流れていて ちょっと期待したのですが、、、代わりに立候補するのはデモ鎮圧にあたった警察の人のようですね (大陸のお墨付き)。
話は変わって、***.txtファイルが読めないのは 改行コード(win系はCR LF)と文字コード(当時のワープロならばたぶんshift JIS)の問題と思われます、もし次の機会があって 古いPCがなければ 「Mac 改行コード 文字コード」あたりで調べてみるといろいろ解決策が出てくると思います。
Windowsの場合ならば ちょっと気の利いたテキストエディタを使えば変換は簡単にできます。(標準のメモ帳では 文字コードは変換可能ですが、改行コードは無理みたい) たぶんMacにも同様なことができるテキストエディタはいろいろとあると思います。 (毎度本筋と関係ない部分に反応してしまって申し訳ないです。)
投稿: Sam.Y | 2022年4月 4日 22:44
Sam.Y さん:
ありがとうございます。
Mac 純正の 「メモ」 と、後からインストールしたお馴染みの "Text Eitor" の 2つのアプリで、設定をいろいろと変えてトライしたのですが、まだイジりようが足りなかったのか、開けなかったんですよね ^^;)
とりあえず、懸案の古いファイルを開く作業は一段落したので、これで OK としておきます。
そのうち、もう 2つ 3つの中篇も発表させていただこうかと思ってます。
投稿: tak | 2022年4月 5日 08:33