老化と心の持ち方に関する研究
Courriier というサイトに "老化に対して「ネガティブな感情」を抱くと、病気にかかりやすくなり、寿命も縮まる !?" という記事がある。「身体にもメンタルにも良いことなし」というサブ見出し付きで、ニューヨーク・タイムズの記事を翻訳したもののようだ。
この記事は次のような一文で始まる。
徐々に顔の皺が増えていく、代謝が悪くなっていく、体力が衰えていく ── 加齢に伴う避けられない現象を考えてみると、なかなか老化をポジティブに捉えるのは難しい。けれど、こうした年齢に対する「差別」は、寿命にまで影響をおよぼす可能性があると研究者は指摘する。
米国では年齢差別に関する「エイジズム(ageism/agism)」という言葉が、半世紀も前から定着しているらしい。性差別の「セクシズム(sexism)」、人種差別の「レイシズム(racism)」と同じ根っこの言葉だが、日本では外来語としても一般的に知られてはいない。
老化に対するネガティブな感情が病気や短命につながるなんていうと、またしても「疑似科学」扱いされそうだが、心と体はかなり密接につながっているということは既に様々な研究から明らかになっているから、これは十分に「まともな科学」である。
イエール公衆衛生大学院のベッカ・レヴィ(Becca Levy)博士は長年の研究で、エイジズムは寿命の短縮だけでなく、心不全、脳卒中、心臓発作などの心血管イベントの増加、身体機能の衰え、アルツハイマー病(いわゆる「ぼけ」)の増加にも関係していることを突き止めたという。
ちなみに私は今月 7日の記事で、次のようなことを書いている(参照)。
今年の 7月末で 70歳になる私としては、現在引き受けている種々の役職の「定年」になるので、「ああ、あれをしなくて済むようになる、あの消耗な会議にも出席しなくてよくなる」と、「開放感」はあるものの、「新しい自分に生まれ変わる」なんてことは、ちっとも思わないのだよね。
(中略)
そろそろ「どんなような形で一生を終えればいいか」なんて殊勝なことを考え始めてもいいような気もしている。「何を始めるか」よりも「何をつつがなく断捨離して、何を大切に保持するか」の方がずっと重要に思えるのだ。
こうした考えって「ネガティブな感情」にあたるのかどうか、ちょっと気になってしまったのだが、Courrier の記事を読んでみると、どうやら心配するようなことではないらしい。記事には次のようにある。
彼女は、日本で一学期を過ごす計画を立て、なぜこの国の住民の寿命は世界最長なのかを調査しようとした。
「私は、日本では高齢者の扱われ方が非常に異なることに気づきました」と彼女は話す。
「彼らは祝福されていたんです。100歳を超えた人は、まるでロックスターでしたよ!」
そうか、日本の年寄りは、米国人には「ロックスター」のように見えたのか。
というわけで、私自身は 70歳を過ぎてことさら「ロックスター」みたいになりたいなんてことまでは思わないが、どうやらいろいろなしがらみを捨てる「開放感」を喜ぶというのは、悪いことじゃないらしい。要するに喜んでいればいいようなのである。
まあ、特別に長生きしようなんてことまでは思わないが、とりたてて面倒がなくてよかったよ。何しろ、高齢者の自覚に欠けちゃってるところが多々あるもので。
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コメント
勝手な思い込みで、将来140歳くらいまで生きる気がします。
それは、無数の管や生命維持装置の助けを借りて、ではなく、なんらかの装置を1つカラダに埋め込むことで、本人が望む限り、本人が「もういいよ」と思うまで生きられる世の中。
と言う創作物が、この世のどこかにありそうで。
投稿: 乙痴庵 | 2022年5月15日 12:18
乙痴庵 さん:
うぅむ、そんなに生きたら、飽きてしまいそう (^o^)
投稿: tak | 2022年5月15日 20:17