「プレスリリースの書き方」以上に大切なこと
東洋経済 ONLINE に "プレスリリース「広報」が陥りがちな思い込み 2選 たくさん書けば OK じゃないし意味ないわけでもない” という記事がある。広報コンサルタント、ジャーナリストの日高広太郎という人によるものだ。
「どんなプレスリリースを作成すればいいのか」を指南する記事なのかと思ったが、どうもそんなわけでもないようだ。読んでみると、要するに「たくさん書けば OK じゃないし意味ないわけでもない」という、サブタイトル通りの内容である。それだけのことだ。
まず「プレスリリースは枚数を書けばいいわけじゃない」という前提が挙げられているが、それは、プレスリリースを「出しただけで取り上げられるのは超大企業ぐらい」だからだという。そしてフツーの企業の広報担当者が読んだら、仕事のやり甲斐を失いそうなことが書いてある。
一般的な企業がやみくもにリリースを出しても、記者はあまり見ていません。(中略)残酷なことを言うようですが、実際、記者クラブに配布されたほとんどのリリースは、記者の手で丸められ、ゴミ箱へ直行しています。
じゃあ、プレスリリースなんて無意味ということになるが、彼が「意味ないわけじゃない」というのは、紙面に書くネタがなくて困った時に助けられるからということのようだ。デスクの上にたまったプレスリリース中に、何とか記事になりそうなものが見つかることがあるというのである。
なんだ、これって単に、記者がネタに困った時の「埋めグサ」として利用できそうな、気の利いたリリースならありがたいってなことである。なんと身も蓋もない話じゃないか。
ついでと言えば何だが、この際だからもっと身も蓋もないことを言ってしまおう。それは、プレスリリースを記事にしてもらいたいなら、広告に金を使えばいいということだ。アドバタイズメント(宣伝)とパブリシティ(広報)は、たいていの場合「抱き合わせ」という「悲しい事実」があるのだ。
日高広太郎氏の記事で、プレスリリースがコンスタントに取り上げられるのは「数百万社もある日本企業の中で数十社しかありません」と書かれているのは、そういう意味である。コンスタントに広告を出してくれる超大企業のリリースは優先的に記事にしてもらいやすい。
プレスリリースを作る側と記事にする側の両方に身を置いたことのある者として、これは当然の話として語らなければならない。宣伝費を使わずに大きな記事にしてもらうには、プレスリリースの書き方云々という話じゃなく、よほど画期的な新製品を開発して発表するほかないってことだ。
ただ、そうした開発力があるのは、やはり超大企業に限られる傾向が強いというのも事実である。ジブリみたいなところなら宣伝しなくても記事に書いてもらえるが、「フツーの企業って、なかなか大変だよね」という話になってしまう。
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コメント
https://automaton-media.com/articles/newsjp/20210122-149815/
前に読んだこんな記事を思い出しました。
その、喉から手が出るほど埋め草が欲しいときでさえゴミ箱行きにするしかない「悪いプレスリリース」の実例というか……
投稿: 柘榴 | 2022年6月23日 03:17
柘榴 さん:
ははあ、これは「ゲーム専門誌」のお話のようですね。
ゲームに限らず、専門誌(あるいは「業界紙誌」)の場合は、リリースが記事にされる場合の難易度は少し緩みます。
それでもボツにされるというのは、こう言っちゃ何ですが、よほどリリースの作り方、出し方がまずかったのかと推測されます。
投稿: tak | 2022年6月23日 05:17
ぎゃくに何も宣伝しなくても製作者がびっくりするほど売れるゲームもありますからねえ。NKODICEってご存じ?
https://ja.wikipedia.org/wiki/NKODICE
https://www.youtube.com/watch?v=elAyzl4Zjf4
投稿: らむね | 2022年6月23日 16:04
らむね さん:
ゲームに世界にはとんと疎いモノで、何も知りません。ごめんなさい。
YouTube を見たところでは、こりゃどうもネーミングからしてパブリシティには載りにくいですね ^^;)
投稿: tak | 2022年6月23日 17:48