「朝日川柳」の炎上は、誤解の産物だというのだが
アゴラに "朝日川柳が「安倍さんの死に幸せ無限大」と誤解されて大バッシング" という記事がある。これを読んで私は初めて、「へえ、やっぱり誤解だったんだ」と思ったが、あれって、フツー誤解しちゃうよね。いわば「事故」みたいなものだ。
事実、上の二句は、実は川柳掲載 2日前の 13日に地裁判決の出た、福島原発事故に関する東電役員の 13兆円賠償判決(参照)についてのものだという。選者が解説としてそう書いているようだ(参照)。
一句目は、「還らない(被災者の)命と幸せは無限大だ」という意味なのだという。さらに星印の付いた二句目は、「高裁も最高裁もなくなって、この地裁判決のまま確定されればいいのに」というようなことであるらしい。てことは、上級審で判決が覆るのは織り込み済みということなのかね。
確かにこの地裁判決に関して、アサヒは結構な力を入れて報道している(参照 1、参照 2、参照 3)。ただ、1週間前にこの川柳欄が炎上した時点の状況としては、世間の関心は圧倒的に「元首相銃撃事件」に向けられていて、福島原発事故の判決への注目度は申し訳ないほど低かった。
そうした中で、あのアサヒの川柳欄のトップに「還らない命・幸せ無限大」なんていうのが燦然と掲げられていたのだから、大方は「元首相が死んで大喜びしている句」と受け取ってしまったようだ。実際、私としても「これって、どういう弾みの結果なの?」と思っていたよ。
新聞記事は見出しだけ読むという人が多いのだから、川柳欄の下の方の解説まできちんと読む人なんて、ごく少ない。だからこそ、新聞社は見出しの付け方に苦労するのだ。だったら、川柳欄ももう少し気を使ってもよかっただろう。「放送事故」というのがあるが、あれは言わば「新聞事故」だ。
そうした意味も含めて、この川柳、はっきり言わせてもらうが「駄作」だと思う。センチメンタリズムに流れて川柳センスが感じられない上に、選者の取り上げ方も考えが足りなすぎる。
ちなみに、この句以外は、川柳としてはごく正統的なアプローチがなされているので、全体をひっくるめて非難するのはどうかと思う。「銃弾で浮かぶ蜜月政と宗」なんかは、結構よくできてるんじゃないかなあ。
ちなみに私なら、せっかく「政」と「宗」の二文字が登場するんだから、「伊達じゃない政と宗との結びつき」なんて風にしちゃうかな。
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