肉を生で食うことと、命がけの「通ぶり」「粋がり」
東洋経済 ONLINE に ”「肉の生食をやめられない日本人」に欠けた視点 「新鮮だから刺身で食べられる』なんてことはない” という記事がある。私はこの見出しを見ただけで、「うわあ、今でも肉を生で食うやつがいるんか !?」と驚いた。
思い返してみれば、"「牛のレバ刺しがダメなら、豚があるさ」 の風潮に驚く" という記事を書いたのは 7年以上前のことだ。この頃、私は牛肉と豚肉を滅多に口にしなくなっていた(今は鶏肉も含めて全然食べない)ので、「そんなにしてまで生肉を食いたいかなあ」と本当に驚いていた。
なんでまた肉を生で食ったりするのかというと、上述の記事では「肉食歴の短い日本人は、刺身文化を肉食に持ち込んでしまい・・・」とある。それで、"焼肉店で「焼いて食べてくださいね」と言われたレバーを生食してしまったりする" というのだ。この点については次のようにある。
長い食文化のなかで「生食=最高」と刷り込まれているのだから仕方がない一面もあるかもしれないが、美食と安全を天秤にかけたとき、基本は「命あってのものだね」になるはずだ。
私の若い頃は、「豚肉はジストマがいるから、必ず火を通して食べる」というのが常識だったし、最近では牛肉でも大腸菌や O157 がいるから生食は避けるということになっている。それでもどういうわけか、生で食いたがる人が後を絶たないようなのだ。
私はこの現象に関して、「食」の分野でちょっと変わったことをして「通ぶったり、粋がったりする」のが、まだ「カッコいい」と思われているからだろうと思う。いや、そんなことで「カッコいい」と思われたがる人が、まだ存在するからと言う方がいいかもしれない。
そんなことで「カッコいい」なんて思うのは、もはや当人しかいないということに、彼らはまだ気付いていない。そうした人たちって、もはや「生きた化石」だよね。大方はむしろ気落ち悪く感じて、「こっちにまで『おいしいから試してご覧』なんて言わないでね」と思うばかりだ。
つまり本当の問題は、上述の記事の見出しにあるような「日本人に欠けた視点」なんてことじゃない。実際にはむしろ「余計な思い込み」の強すぎるのがいけないのだ。
というわけで、命がけの「通ぶり」「粋がり」からは、そろそろ卒業した方がいいと思うがなあ。まあ、「生肉食って死ぬなら本望」ぐらいに思っているなら、敢えて止めはしないが。
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コメント
わはは
ワタクシ、今でも牛のレバ刺しを食しておりますw
自分で買って、焼かずに食べているだけです。「通ぶり」「粋がり」なんてとんでもない、単に大好きだからです。
祖父母の家の近くに精肉店があって、たまに行くとよく食卓にレバ刺しが並びました。がきんちょのくせにこれがまあ大好きでして。トータルで2,30回は食べたと思いますが幼子の弟や祖父母、80を超えていた曾祖母も誰一人”あたった”ことはなく、無論食中毒の可能性が有ることは例の事件後わかっていますが、そんな極小の可能性のために好きなことを辞める気にはならないなあというのが本音です。
それを気にしだしたら、「このニラは実は水仙ではないか」とか「このフグ刺しは調理ミスで毒が残っていないか」とか「明日の登山で大けがするかも」「サイクリング中の事故」などのほうがよほど危険性が高いなあと思うわけです。だからといってそれらを排除しないのだから、それよりも確率が低い(と思っている)レバ刺しを避ける理由にはならんのですわ(笑)。
投稿: らむね | 2022年7月21日 23:43
私も、肉類の生食を好む人は、「通ぶる」とか「粋がる」とかでなく、生食の味・食感が好きなのだと思うのです。
新鮮な魚介は加熱調理したものよりも刺身の方が断然魚介臭が少ないし、食感もパサパサ感がなく、口当たりも良い(人によっては違うかも知れません)と思います。
遥か昔OL時代、上司に「焼き鳥店」に連れて行ってもらった時、「とりわさ」なるものを出され、おそるおそる食べたのですが、鶏肉独特の臭いが全くと言っていいほど無く、歯ざわりプリプリで驚いたものです。この経験があるので、肉類の生食を好む方たちの気持ちが少しわかるような気がします。
とは言え、肉類の生食はやはりかなりの抵抗があるので、我が家では食卓に出したことはないです。
娘が大学生時代、しかも試験中に「卵かけごはん」を食べて、サルモネラ中毒になった苦い経験があるので、それ以来、生ものはかなり警戒しています。
投稿: K.N | 2022年7月22日 00:25
らむね さん:
>ワタクシ、今でも牛のレバ刺しを食しておりますw
うわぁ、すごい! ご無事をお祈りします (^o^)
投稿: tak | 2022年7月22日 07:04
K.N さん:
>私も、肉類の生食を好む人は、「通ぶる」とか「粋がる」とかでなく、生食の味・食感が好きなのだと思うのです。
うぅむ、そうだとしても、個人的には敢えて何度も食うほどのことじゃなくて、一度味わってみれば十分という気がしますがね ^^;)
>娘が大学生時代、しかも試験中に「卵かけごはん」を食べて、サルモネラ中毒になった苦い経験があるので、それ以来、生ものはかなり警戒しています。
そりゃまた、大変でしたね。
そういえば、ウチでは生卵というのも食べないですね。温泉旅館の朝食なんかで出てきたら、まあ残すのもナンだから食べちゃいますけど、最近はそんな機会も激減しました。
投稿: tak | 2022年7月22日 07:09
「サルモネラ カンピロバクター ボツリヌス ブドウ球菌 O-157」
ここに「ノロ」を、どう差し込もうか…。
菌やウィルスじゃないけど「アニサキス」もはやっている様で…。
気をつけます。
投稿: 乙痴庵 | 2022年7月22日 12:27
乙痴庵 さん:
見事な三十一文字 (^o^)
「アニキサス」というのは、ごめんなさい、どこかで聞いた覚えはあるけど、よく知りません ^^;)
投稿: tak | 2022年7月22日 13:17
イカ、サバ、アジなどに寄生する線虫です。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/アニサキス
(ヰキペヂア様)
お魚好きは、要チェックですよ!
投稿: 乙痴庵 | 2022年7月22日 16:39
乙痴庵 さん:
失礼しました。「アニサキス」なんですね。道理で「アニキサス」ではまともに変換されませんでした ^^;)
いやはや、結構ヤバそうですね。最近はあんまり生魚を食べないので、ちっとも意識してませんでした。
情報ありがとうございます
投稿: tak | 2022年7月22日 18:16
最近では 温暖化により「シガテラ毒」なんてのも。 <- すでに 肉とも生食とも無関係ですが(笑
投稿: Sam.Y | 2022年7月23日 11:44
Sam.Y さん:
>最近では 温暖化により「シガテラ毒」なんてのも。
これも初耳でした。「行きがけの駄賃」ならぬ「しがてらの中毒」とは、いやはや、いろいろあるんですね。
情報、ありがとうございます。
投稿: tak | 2022年7月23日 13:22