奈良の『ら』は R で、奈良女子大の『ら』は L
Quora で、日本人が ”L” と ”R” の発音を正しく発音できないということに関する質問に、とても面白い回答がついている。欧米人に「奈良と奈良女子大。奈良の『ら』は R で、奈良女子大の『ら』は L でしょ」と指摘されたというものだ(参照)。
文末に「私にはあまり違いがわかりませんが、英語が得意な友人は納得してました」という但し書きがあるので、試しに実際に発音してみたところ、確かに「奈良」は ”Nara” で、「奈良女子大」は ”Nalajoshidai" になった。よほど意識しないと逆にはならないので、納得である。
さらに「奈良県」「奈良漬け」などを発音してみたが、どれも自然に "la" の発音になる。ちなみに「連」の場合は、「連続」は "lenzoku" だが、「国連」は "kokuren" になって、ちゃんと違いがある。ただ、「日弁連」の場合はすぐ前の "n" に引きずられて "nichibenlen" になる。
「割り算」は "warizan" だが「片割れ」は "katawale"、さらに言えば、「隠れる」は "kakurelu" となって、一語の中に ”R” と ”L” が混在する。こうしたことには今まで気付いていなかったので、「目からウロコ」の思いである。ちなみにこの言葉も "Me kara uloko" になるじゃないか。
この Quola の記事には、次のような「納得コメント」が付いている。
日本語の G が「gutaitek」という場合はグで、「daigaku」というときは鼻濁音のングになるように(以下略)
奈良のみだと硬口蓋に舌がつくか付かないかの付かない寄りですが、奈良女子となると確実に硬口蓋についた方が発音しやすいですね
”G” の「濁音/鼻濁音」というのは、「文学」「演劇」「感激」「地獄」など、熟語で後ろの方に付くと決まって鼻濁音になる。"R"、"L" とは発音のメカニズムが違うが、自然にそのようになるという点では確かに共通している。
ただ、 "G" の「劇場」と「寸劇」の発音の違いに関しては日本人はきちんと差異を感じ、わかっている。「濁音/鼻濁音」という言葉があるというのは、それがわかっていればこその話だろう。
しかし "L" と "R" に関しては、日本語ではどちらも一緒くたにして「らりるれろ」という認識しかされず、違いがほとんど意識されない。日本人はどうやら、そういうカラダになってしまっているようなのだ。ちなみに「カラダ」は "karada" で、"kalada" じゃない。
それで公式(?)のローマ字表記では、「連続」は "renzoku"、「日弁連」は ”Nichibenren” と表記し、"lenzoku"、"Nichibenlen" と表記するなんて、その発想すらない。
ところが一昨日の記事で触れた「初めて英語を聞いた小学生の耳」には、"really" が「うぃーりー」に聞こえるというのだから、ちゃんとしたものである。そういえば、私も小学校時代に初めてローマ字を習ったとき、「ら行って、どうして "L" じゃないの?” と疑問に思った覚えがある。
傑作なことに「ローマ字」は "Rome" から来ているはずなのに、日本語の発音は "lōmaji" であって "rōmaji" じゃない。私の小学校時代の疑問は、今思えばかなり的確なものだったのだね。
ところがこれも、いつの間にかうやむやのうちに納得してしまった。思えば日本人が "L" と "R" の区別が付かないカラダになってしまったのは、ある意味「独特の文化的所産」なのだろう。
2つの発音の違いを自然に意識するためには、Quora の記事のコメントにあるように、"Lux Super Rich" と繰り返し発音してみるしかないかもしれない。
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