「働かないおじさん」の白日夢
COURRIER のサイトに "英紙が注目「日本では『働かないおじさん』が増殖している」" という記事がある。「おやつにたばこ、次はトイレ休憩」という、ため息をつきたくなるようなサブタイトル付きだ。
この元記事はどんなのだろうと思って検索してみると、"The rise and rise of Japan’s unsackable slacker" という記事が見つかった。
ここで「増えに増えている」とされる "unsackable slacker" (解雇不可能な怠け者)というのが、日本語記事の「働かないおじさん」というわけだが、添えられたイラストを見ると、「おばさん」も、おじさんと一緒になってお茶してる。これで辛うじてジェンダー差別を回避しているのかな。
記事中には “boutto suru“ なんていう日本語の「専門用語」(?)が出てきて、"sitting at a desk, staring into space" (机に向かって虚空を見つめる)なんて説明されている。日本語記事に添えられた写真の、完全に突っ伏して寝ちゃってるというのは、ちょっとやり過ぎだよね。
そして "hatarakanai ojisan” という、さらに「核心的な専門用語」までそのまま使われていて、"the old man or, more rarely, his female equivalent" (高年齢の男性、あるいは稀に女性も)なんて説明が付いている。やはり元記事も、実質的には「おじさん」メインで論じているようなのだ。
思い返してみると、私が勤め人だった時代にも、こうした「働かないおじさん」というのは確実に存在した。名前だってすぐに思い出せる。ただ正直言って、彼らが急に思い出したようにしゃしゃり出てきたりすると、トンチンカン過ぎて足手まといになるので、隅でおとなしくしてくれている方がありがたかった。
とはいえ、企業にしてみればこんな存在に賃金を払い続けるというのは、結構な無駄遣いである。しかし彼らは「年功序列」という慣習に護られて、むやみにクビにはしにくい。それで元記事は「解雇不可能な怠け者」なんてタイトルにしているわけだ。
そしてさすがに英国の新聞だけに、記事の終わり近くで ”「働かないおじさん」は企業買収に対する秘密の盾になるかもしれない” というシニカルな見方も紹介している。なるほど、そんなおじさんだらけの企業を買収してもしょうがないからね。
ただ、そんなのは「将来性のない企業」の別の言い方でもあるわけだが。
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コメント
働かないおじさんは確かにいました。通勤用のかばんの中には漫画雑誌、職場ではその漫画を読みふけっていました。
それでよかったんです。漫画を読んでいてくれたほうが平和だったんです。
仕事に口出されたら混乱したんです。仕事の知識には誰よりも詳しいと思い込んでいましたが、それは10年前に止まったままだったんです。
働かないオバサンもいましたね。親会社のコネで入ってきたので首にならないと信じ込んでいるのか全く仕事をしない。
してもミスばかりで社内は大混乱。社長も働かないオバサンの何も言えずオロオロ。
そりゃ、日本の生産性が低いと言われるのは当然です。
投稿: ハマッコー | 2022年7月 8日 22:16
ハマッコー さん:
やっぱり、 "unsackable slacker" って、多いんですね。
確かに生産性が低いわけだ ^^;)
投稿: tak | 2022年7月 8日 22:51