米国人の「妙な裏表」(本音と建前)
山口慶明さんという方の「アメリカ人の報告を直訳すると酷い目に合います… 正確な訳を教えましょう」という tweet が話題だ。ざっと下の画像のようなもので、なるほど、よく言えてる。
米国人が "Perfect!" と言ってきても「完璧です!」という意味じゃなくて、実はせいぜい「大きな問題はない」程度のことであり、同様に "No problem!" も「問題ない」じゃなく「多分イケそう」ぐらいに受け取っておけばいいというのは、彼らとのビジネスをしている人間にとってはちょっとした実感だろう。
私は幸運なことに、”Should be OK!"(実は "OK" じゃなく、「まずいです」というニュアンス)というような言葉を額面通り受け取って痛い目にあったことはないが、それに類した経験は何度かある。
その昔、会社勤めをしていた頃、米国の関係先から "We have a little issue." みたいなことを言ってきたことがある。初めは「ちょっと手間がかかるのね」ぐらいに思っていたら、しばらくして実は「ちょっとヤバいっす」ってなことだわかり、「おいおい!」となった。
その後、米国の別のエージェントからのビジネス・レターで、"I found some problems." (直訳だと「ちょっと問題あり」)的な表現をされたこともある。それを上司に伝えると、彼は「それなら、解決するよう十分に努力してくれ」という返事を書けと指示してきたのだった。
私は前のことで痛い目に合ったおかげで、先方のココロは「この件については諦めてくれ」ということなのだろうと読めるぐらいに成長していたので、「そんなこと言っても、いずれダメと思いますよ」と釘を刺しておいた。で、この案件は読み通り、ウヤムヤのうちに流れてしまった。
日本人は褒められると「いえいえ、それほどでも・・・」と控えめに謙遜するが、米国人は臆面もなく楽観的な方向に謙遜(これ、妙な言い方だが)する傾向があるので、本当に油断がならない。
それと同じように、米国人に自分の仕事結果を、"Perfect!" (直訳なら「完璧だよ!」)の一言で褒められても、決して舞い上がらず、「まあ、悪くないね」程度のことと受け取っておく方がいい。彼らが本当に「完璧」と思うなら、もっと具体的な点を挙げてまで「感に堪えない」というほど褒めてくれる。
よく言われるのは、日本人には「裏と表」があるから信じられないということだが、米国人にも「裏と表」は十分にある。ただ、彼ら自身がそう認識していないだけだ。
米国人の「裏と表」って、"compliment" (社交辞令)とか "negotiation" (交渉術)とかいう感覚の延長なのかもしれない。そう言えばこれについて、16年ほど前(もう大昔だね)に「本音と建前の使い方」というタイトルで書いたことがあるのを思い出した。
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コメント
”We have a little issue."で「重大な問題が発生」、このあたり日本語も近いかなと思いました。
例えば飲食店で期限切れの割引券を提示したら「それはちょっと難しいです」って返される、でもこの場合は「無理です使えません」って意味ですよね。”ちょっと難しい”どころの話ではなく。アメリカでもそういう言い方をするんですねえ。
投稿: らむね | 2022年8月22日 12:56
らむね さん:
>アメリカでもそういう言い方をするんですねえ。
割引券の期限切れの場合だと、米国の店員はストレートに(というか、めっちゃ無愛想に) ”It's expired." と言うと思います。(私、実際に言われたことがあります ^^;)
まともなビジネスの進捗状況の報告などで、軽めな表現をするので、日本人は戸惑うんですよね。
投稿: tak | 2022年8月22日 19:16
日本の部品メーカーがアメリカのボーイングにサンプルを送ると〝excellent″ という評価がくるらしいですが、これは日本語ではどうとったらいいのでしょうか。
最高度の評価なんでしょうか。所謂〝カンペキ″
アメリカの車の衝突安全度テストでは評価の最上位が〝excellent″なんですよね。
でもやはり、〝まあ、いいんじゃないの″程度でしょうか。
投稿: ハマッコー | 2022年8月23日 11:15
ハマッコー さん:
公式評価で "Excellent" ということだったら、いわゆる「優・良・可・不可」の「優」ということで、「フツーの ”good" よりずっといい」と、素直に受け取っていいんじゃないでしょうかね。「カンペキ」の域に達しているかどうかはわかりませんが ^^;)
投稿: tak | 2022年8月23日 14:59