イッセイ・ミヤケ の死去と、「媚びないファッション」
iPhone Mania のサイトで、ファッション・デザイナーの三宅一生の死が報じられている(参照)。なんでまた iPhone のサイトでこのニュースが取り上げられているのかと言えば、スティーブ・ジョブズが生前いつも着用していた黒のタートルネック・セーターが、イッセイのデザインによるものだったからだ。
ファッションなんかとは縁遠い存在と思われがちな私だが、ところがどっこい、その昔にはファッション・ライターをしていた時期があって、主に海外向けに英語で東京コレクションを紹介していたのだよ。だから、自分の身なりにはほとんど構わないが、ファッションに関しては少しは語れたりするのだ。
何しろ東京コレクションが一番輝いていた 1980年代に、イッセイ・ミヤケやコム・デ・ギャルソン、ヨージ・ヤマモトなどのシーズン毎のコレクションを、最前列のプレス席で取材していたのである。そっち方面の好きな人からは、死ぬほど羨ましがられてもいいぐらいだろう。
当時、欧米から日本に東京コレクションの取材に来るファッション関係者の案内もよくしていた。彼女たちにとってのイッセイ・ミヤケは、ほとんど神格化されたみたいな存在で、彼の話題になると目をトロンとさせながら、”Oh, Issey Miyake!" とため息交じりに呟いていたものである。
それまでのファッションというのは、欧米、とくにパリ発の情報をいかにこなすかというのが重要だった。それだけに、ファッション・デザインというのは基本的にボディラインを美しく表現するものというのが「常識」だったのである。
ところがイッセイは、素材(布地)そのものの持ち味を前面に出し、見ようによってはプリミティブと言えるまでのアバンギャルドなコンセプトを強調した。私はそれを密かに「媚びないファッション」と呼んでいたが、これは実は、ココ・シャネル以来の「媚びない」系譜の発展形だったと思っている。
最近もっぱら愛用しているユニクロの服も、私の中では「媚びない」という点で共通しているのだよね。シャネルやイッセイと比べたらずっと安上がりだけど。
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コメント
ジョブズ、イッセイ、それぞれの、世界を変えた人たちがいなくなってしまい寂しい限りです。
若い頃、BIGI の服を買っていました。ケンゾー、イッセイ…、懐かしいです。
東京で仕事があるときは余分に一泊して、原宿のブティックにもよく行きました。
今は、tak さんと同様に格安ブランド一辺倒です。
但し、アレルギーがあるので、綿麻シルク等、自然素材限定で、
シンプルなデザインだから、十年や二十年は平気で着ています。
ケチですねぇ〜。
投稿: さくら | 2022年8月11日 11:57
さくら さん:
>ジョブズ、イッセイ、それぞれの、世界を変えた人たちがいなくなってしまい寂しい限りです。
本当ですねぇ〜
>シンプルなデザインだから、十年や二十年は平気で着ています。
>ケチですねぇ〜。
いやいや、ケチではなく、「本格派」なんですよ! 素晴らしい!
投稿: tak | 2022年8月11日 20:58
年間に支出する衣料費が一万円にもならない私からするとイッセイミヤケさんの話は全くの別世界の話ですね。
衣料品はワークマンで買います。見た目はダサいです。ですがしっかりできてます。
ユニクロは私からすると高級品です。
投稿: ハマッコー | 2022年8月11日 22:06
ハマッコー さん:
ワークマンは評価高いですね。まだ買ったことはないですが、興味あります。
投稿: tak | 2022年8月12日 07:42