「同じ 38℃」でも、気温と湯温で感じ方の違うのは?
先月 28日にヨーロッパの軒並み 40度以上という熱波に関して、「45度なんて、風呂でもアツ過ぎて耐えられない」という記事を書いた。この時は密かに「うぅむ、このタイトルはツッコミどころあるかも」と思いつつ、つい「えいや!」 でこのまま行ってしまったわけである。
それで今でも「風呂の湯温と気温では、感じ方がかなり違うよね」と、忸怩たる思いが残っているわけなのだ。ところが何と、この問題を愛知県刈谷市の中学生たちがまともに掘り下げてレポートしているのを見つけてしまった。
タイトルはまさに「38℃の日は暑いのに38℃の風呂に入ると熱くないのはなぜか」というもので、これでしっかりと、第 43回自然科学観察コンクール(シゼコン)の文部大臣奨励賞を受賞している。しかもこのコンクール、昨年が 第 62回目というのだから、20年も前の話じゃないか。
これは確かに、とても不思議な問題である。きちんと理窟立てて説明するのは、かなり難しそうだが、それを中学生たちがやってしまったのだから、なかなかのものではないか。
ネット上に掲載されている研究発表を読んでみると、どうやら「外部温」(周囲の温度)、「皮膚温」(体表面の温度)、「深部温」(体の内部の温度)というのがポイントのようなのである。中学生たちはこの「深部温」というのをオムロン耳式体温計“けんおんくん” で測定している。
まず、38℃ の風呂に入った場合、瞬間的には温かく感じる。そして皮膚温がすぐに湯温の 38℃まで上昇するが、深部温との差が小さいことに加え、幼い頃から慣れてきた 40℃ ほどの湯温との違いもあって、ぬるく感じるのだと結論づけられている。
一方、38℃ という気温の部屋に入ると、皮膚温は風呂の場合よりゆっくりと上昇して 8分くらいで 36℃ ほどになるが、やがて発汗効果により下がり始め、34℃~35℃ で安定する。その結果、直接接し合う外部温と皮膚温の間に、3〜4℃ほどの差が生じる。
つまり「同じ 38℃ という温度」でも、風呂の場合は、湯温、皮膚温、深部温の差が小さいが、38℃ という気温の中にいると、外部温と皮膚温の差が風呂の場合より明らかに大きい。そのために異なった感覚になるというのだ。なるほど、なるほど。納得である。
ただ気温の場合は、38℃ まで上がらなくても 30℃ ぐらいで十分暑く感じるのだが、そこにはやはり、22℃ ぐらいの気温を「快適」と感じる人体の「つくり」ということもあるのだろう。さらに「高湿度」という要素も加わると、汗の蒸発による冷却機能も落ちるので、ムチャクチャに不快と感じるわけだ。
猛暑日に長時間にわたって炎天下にいたりすると、体温そのものも上がってしまって、風邪を引いて高熱を発した時みたいなしんどい状態になってしまうのだろう。違いは、熱せられるのが内側からか外側からかということだけだ。
それにしても、今年の夏の暑さは異常というほかない。先月のヨーロッパみたいに気温が 45℃ 越えなんてことになったら、熱めの風呂以上だから、本当に耐えきれない。
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コメント
道路からの輻射熱がすごいですね。駅から居住地まで歩き始めたら軽い眩暈がする。これはマズイことになったなと暫く日陰で休息を取り再び歩き始めたらやはり眩暈がする。
途中で倒れたらシャレにならないのでタクシーで帰りました。
たった700mです。昼間にタクシー乗り場に待ってる人はいないのですが今日は3人待ちでした。最近は初乗り運賃のみの客が多いそうです。
投稿: ハマッコー | 2022年8月15日 21:06
ハマッコー さん:
それはもう、軽く熱中症なりかけですね。たった 700m でもタクシーを使ったのは、賢明だったと思います。
とにかく今年の夏は、これまでの常識が通用しませんからね。
投稿: tak | 2022年8月16日 05:17
水と空気の温度の感じ方の違いは、分子の密度の差だとnhk 高校講座でやってたような。サウナは90度くらいありますが、90度の水だったら火傷しますよね。詳しくは化学系の方に譲りますが…
投稿: bambi | 2022年8月16日 12:58
bambi さん:
いずれにしても、かなり複雑なファクターの組み合わせで生じる感覚の違いなんでしょうね。
感覚だけじゃなくて、火傷するかしないかというほどの差もあるので、典型的文系の私の手には負えません ^^;)
投稿: tak | 2022年8月16日 15:59
サウナが高温でも火傷しないのは 熱伝導率と比熱の小ささ問題ではないかと思います(ま それが分子密度由来と言われれば 私にはわかりませんが)。 皮膚に接する部分の空気が冷却された層になるので火傷をしないわけです。
なので タオルを振り回されるとかされると、、アッチッチ。
38℃の風呂が熱くないのは逆現象ですからこの線では説明できませんね。
多湿で汗がってのも 風呂の中なら湿度100%ですから理由にはならないし、
深部体温云々(うんぬん ね。笑)も 現象であって 理由にはなってない気がしますし、なんとも不思議ですね。
ただ 38℃のサウナってやつを考えてみると、38℃の外気温に比べて へっちゃらというか 風邪ひくんじゃないかとか想像してしまうので、なんとなく 単純に暴露時間の差なんじゃないかと思い始めています。
どなたか 38℃の風呂に半日ほど浸かってレポートしてくれませんかね。(笑)
投稿: Sam.Y | 2022年8月19日 22:51
Sam.Y さん:
うぅん、訳がわからなくなってきました。
これ、単に「慣れの問題」って気もしますしね ^^;)
投稿: tak | 2022年8月20日 06:33