「A4 サイズの紙」を巡る冒険 その 2
昨日の記事の続きである。A サイズ というのは縦横比が一定のため、コピーを取るときに拡大、縮小がとても便利な規格で、日本で展開されている家庭用プリンターやコピー機もほとんどが、このサイズを基本としている。
ただ、昨日紹介した記事が英文なのにドイツ人によって書かれたというのはもっともな話で、実は米国では、このサイズがほとんど使われていない。A サイズ は実質的に国際標準なのだが、北米だけはこれから外れているのである。
米国の標準は「レターサイズ」という、ヤード・ポンド法に則ったサイズで、基本は 8½インチ×11インチ(215.9×279.4mm)。下の写真のような感じで、A4 サイズに馴染んだ目には、縦方向に寸足らずに見えてしまう。まあ、慣れている米国人には「これで、フツーじゃん」ってことなんだろうけど。
インターネットのなかった昔、仕事で米国に行った時なんか、日本から持参した紙媒体の資料をコピーする際にはちょっと不便を感じていた。A4 サイズをギリギリに使った文書は、米国のレターサイズの紙にコピーすると、下の行が途切れてしまうことがあるのだ。
私としては「米国も A4 サイズにしてくれたらありがたいのに」と、そこはかとなく思っていたものである。まあ、取り立てて致命的な問題というわけではないのだけどね。
そして時代は移り、インターネットによるデジタル・データのやりとりがフツーになった今、紙のサイズ違いははそれほど気にしなくてよくなった。しかしそのおかげで、米国はビミョーに不便なローカル・ルールに気兼ねなく固執できるわけだから、私の「そこはかとない思い」はまだまだ続く。
そしてこれに関連してもう一つ。世の中には A サイズと並んで B サイズというのがあり、両方とも世界的標準と思われがちだが、実は A サイズが ISO に準拠した国際サイズであるのに対し、B サイズは日本のローカル基準のようなのである。
その昔、日本のお役所に提出する書類は、ほとんど B サイズを基本としていた。私も B4 サイズの用紙の左右に 2ページ分の文書をプリントし、真ん中から 2つ折りして B5 サイズの袋とじ書類にする(しかも「正」と「副」の 2部!)という、くそ面倒な作業を何十回やらされたか知れない。
そして 1994年を境に行政で使用する書類もようやく A サイズに統一された。さすがに A3 用紙にプリントして 2つ折りの袋とじにしろとは言われなかったので、この時の「やっと楽になる!」という開放感は、30年近く経った今でもありありと覚えているほどだ。
21世紀に入って 20年以上経った今でも、お役所の世界ではこれに類した因習がいくらでも残っているようで、本当に何とかしてもらいたいものである。
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コメント
最近はコピー機が自動で中綴じ印刷をしてくれて
https://support.justsystems.com/faq/1032/app/servlet/qadoc?QID=037682
閉じるのもお手頃価格のこのホチキスでいけますから
https://www.goodspress.jp/reports/130142/2/
塾業界は助かっています(笑)
投稿: らむね | 2022年9月 9日 13:52
らむね さん:
へえ! そんな便利モノがあるとは知りませんでした!
世の中、油断も隙もありませんね (^o^)
ただ、「中とじ」はこれで行けますが、「袋とじ」は、せっかく PC でプリントしているのに、アナログ臭に満ちてました。それもそのはず、「袋とじ」は、手書き原稿用紙どころか、江戸時代の和本あたりからだったようです ^^;)
https://ja.wikipedia.org/wiki/袋とじ
投稿: tak | 2022年9月 9日 18:49
あまり一般的ではないそうですが、ISOにもBサイズがあるので 近年は日本のBサイズは JIS Bサイズと呼ぶようです。私のプリンタ(BROTHER)の用紙オプションも [JIS B4]みたいな選択肢になっていました。
JIS/ISO いずれも 短:長辺比は 1:√2 で、
JIS/ISOのA0は面積 1m^2
JIS B0 は 面積 1.5m^2 で ISO B0 は 面積 √2m^2 (短辺が1m)
なので 日本のB系列のほうが ISO B系列 よりちょっとだけ大きめです。
投稿: Sam.Y | 2022年9月 9日 21:37
Sam.Y さん:
どうもそのようですね。ややこしいのでちょっと端折って書いてしまった感があり、申し訳ありません。ご指摘ありがとうございます。
投稿: tak | 2022年9月 9日 22:02
袋とじでちょっと思い出しました。
かなりヒットしたライトノベル『ビブリア古書堂』で知ったのですが、書籍の各ページって、大きな紙に印刷されそれを折り曲げて(つまり配置や裏表や上下の向きなど計算の上で印刷され)書籍とするのだそうで、その端をカットしないと普通の書籍として読めないわけですが、一部の時代・国ではカットせず流通していて、そのような本は現代では古本でありながらまだ誰にも読まれていないと超高額になるようです(確か作中ではこれをめぐって殺人事件になっていたような)。これをアンカット本と云うそうで、takさんの若いころの蔵書にもあったりして。
参考
https://web.quizknock.com/paperknife
投稿: らむね | 2022年9月 9日 22:15
らむね さん:
おお、私が小学校時代に読んだ漱石の『吾輩は猫である』がそのアンカット本で、あの長い小説を、いちいちページをカットしながら読み進めてました。
なんちゃって! そんなのは、さすがに見たことありませんです。初めて知りました。
昔って、スゴいですね。
投稿: tak | 2022年9月10日 06:33
「16ページ面付け」ってのを経験したことがあります。
以前の以前に勤めていた職場は「出荷作業」の部署だったため、本社からネタとなる書籍資料等を渡されて、「安全に関する冊子を作れ!」と一方的に言われました。
特に仕様も期限も指定がなかったので…。
A3両面印刷で「16ページ面付け」を挙行。
安全コラムや資料数ページごとに「メモ」と書かれた白いページを入れて、表紙と裏表紙も作って、ハガキサイズの冊子を作りました。
50代、60代のオッサンたちが、微妙に読めない文字サイズで、たいへん好評(?)でした。
せめて、仕上がりサイズA5くらいの方が、親切だったとは思います。
投稿: 乙痴庵 | 2022年9月12日 12:27
乙痴庵 さん:
>「16ページ面付け」ってのを経験したことがあります。
それはスゴい! フツーは頭がこんぐらがってしまいますよね。
>50代、60代のオッサンたちが、微妙に読めない文字サイズで、たいへん好評(?)でした。
どうせじっくり読む人は多くないから、いいか (^o^)
それにしてもご苦労様でした。
投稿: tak | 2022年9月12日 17:47