世界各国の国葬というもの
今朝の NHK ラジオで、「各国の国葬ってどうなっているの? 気になって調べてみました」という情報が流れた。NHK って、ほんのたまにだが、こうしたおもしろいテーマを取り上げてくれる。
この放送では、米国、英国、オーストラリア、韓国、中国、南アフリカの 6か国の国葬について取り上げられていた。
まず、米国では国葬に関する法律はないが、慣習として行われているという。基本的に大統領の経験者は国葬となるが、何と言っても「国家元首」だったのだから納得できる。ただ、ウォーターゲート事件への関連のため任期途中で辞任したリチャード・ニクソンは国葬にならなかった。
英国の場合は「王室や特別な功労者を対象に行われ、議会の承認が必要」としている。戦後ではウィンストン・チャーチルが国葬となった。
王室の場合は慣習でほとんど無条件に国葬となるようだが、それでも国費を使うからには一応の議会承認は、当然必要と考えられており、納得できる論理だ。内閣決定でいつの間にか国葬になってしまった今回の日本のケースには、その意味でも首を傾げしまう。
ちなみに残るオーストラリア、韓国、中国、南アフリカの 4カ国の国葬については、NHK の記事を参照していただきたい。なおここでは、 NHK では取り上げられなかったフランスの場合も調べてみた。
Wikipedia の「国葬」の項目によれば、フランスの国葬対象者は ”第5共和制からは大統領。ならびにフランス国民教育省の「式典令」に従い、国家に特段の功労があったものを対象とする” とある。最近では、シャルル・アズナブール(2018年)、サミュエル・パティ(2020年)が国葬となっている。
サミュエル・パティは 2020年のコンフラン=サントノリーヌのテロ事件で犠牲となった中学校の先生で、授業中にイスラーム教預言者ムハンマドの諷刺画を生徒に見せたことへの報復として、イスラーム過激派のテロで殺害された。こうした人を国葬で弔うというのは、いかにもフランスらしい(参照)。
また、ジャマイカではボブ・マーリーが国葬になっている。これは本当にスゴい!
というわけで、私はいずれにしても 7月 20日の記事に書いた通り、9月 27日の国葬の日には非国民でいると決めているので、
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コメント
国葬じゃなくて国葬『儀』なんで、内閣の行政の裁量権の範疇の儀式なんですよね。だから立法府である国会の承認を得るのは逆に三権分立に反するというか。
まぁややこしいですけどね。
投稿: tkckt | 2022年9月14日 00:49
tkckt さん:
>国葬じゃなくて国葬『儀』なんで、
「国葬」と「国葬儀」の違いなんて、どこにも明確に定義されていません。
岸田さんの説明によれば「内閣府設置法」にある「国の儀式」としての「国葬儀」だというのですが、そもそも「国の儀式」としての「国葬儀」が「国葬」であるというのが、世界の常識です。
岸田さんの苦しい言い訳と思うほかありませんね。
投稿: tak | 2022年9月14日 09:38
立法じゃなくて立法儀にすれば内閣だけで立法できそうですねww
投稿: らむね | 2022年9月14日 09:48
らむね さん:
ブラックユーモアとして、座布団 5枚! ^^;)
投稿: tak | 2022年9月14日 09:53
>「内閣府設置法」にある「国の儀式」としての「国葬儀」が「国葬」
ということで「国の儀式」である以上、国会の承認は不要というのが法の建付なんですよね。
この「国の儀式」に「国葬」が含まれるか否かといった問は有効だと思いますが。
投稿: tkckt | 2022年9月14日 13:13
tkckt さん:
>この「国の儀式」に「国葬」が含まれるか否かといった問は有効だと思いますが。
それ以前に、繰り返しになりますが、”そもそも「国の儀式」としての「国葬儀」が「国葬」であるというのが、世界の常識” です。
この慣習法的解釈こそが普遍性をもち、「内閣府設置法」云々に先立つと考えます。
投稿: tak | 2022年9月14日 19:48
「国の儀式」に「国葬儀≒国葬」が含まれないっていうのなら新たな法律が必要となるし、「国の儀式」に「国葬儀≒国葬」が含まれるなら議会の承認は不要であるっていうだけなんですけど……。そもそも慣習法で行けるなら、成文法は必要ないですし。
投稿: tkckt | 2022年9月14日 21:20
tkckt さん:
>「国の儀式」に「国葬儀≒国葬」が含まれないっていうのなら新たな法律が必要となるし、「国の儀式」に「国葬儀≒国葬」が含まれるなら議会の承認は不要であるっていうだけなんですけど……。
これ、完全に不毛な議論です。「国の儀式」という言葉自体、厳密に定義しにくいですからね。
>そもそも慣習法で行けるなら、成文法は必要ないですし。
長年の首相経験者が死んだら国葬にするなんていうのは、慣習法でも盛り込みようがないです(「長年って、何年だ?」ってなことになるし)。
私が言ったのは、「国の儀式」としての「国葬儀」は、とりもなおさず「国葬」であるという「慣習的解釈」であって、「慣習法」云々とは言ってません。
というわけで、厳密に定義するという視点で「国葬」だの「国葬儀」だのを論じるのは不毛です。そもそもの話として、発端は岸田首相の言い逃れ的発想による「言葉のアヤ」でしかありませんから、はっきり言って付き合いきれません。
こうしたことは、どこの国でも形式や規定はどうあれ、そのベースなっているのは「ローカルな慣習」(「慣習法」以前の問題)です。
で、はっきりしているのは、安倍さんみたいな人を「国葬」(「国葬儀」と言い換えようが、内実は同じこと)にするというのは、「慣習」の域にも達していないということです。
というわけで、この話はこれで打ち切りたいと思いますので、よろしく。
投稿: tak | 2022年9月15日 09:53