菅さんの弔辞の「使い回しネタ」がバレてコケた件
安倍元首相の国葬にはほとんど興味がなかったから、菅義偉氏の弔辞なんてニュースで 4〜5秒チラッと聞いただけだった。「感動した」とか「菅を見直した」とかいう声が上がっていたようだが、私としてはフツーに「そんなの、スピーチライターが書いたに決まってるじゃん」と思っていた。
仮にも「国葬」と銘打ってるんだから、あの原爆記念日のスピーチ原稿を途中で読み飛ばして気付きもしなかった(参照)人物に、弔辞を「すべてお任せ」できるわけないじゃないか。今回はもらった原稿でよほどしっかり事前練習してきたのだろう。原爆記念日の方は軽く考えて、練習してなかったみたいだが。
いずれにしても、こうした席での話にスピーチライターの介在しないはずがないのである。そんなのは世の常識だ。かくいう私も昔、いろいろな業界行事での「理事長挨拶」の原稿を書いていたしね。
と、昨日までは単にそう思っていただけなのだが、LITERA の ”菅義偉が国葬弔辞で美談に仕立てた「山縣有朋の歌」は使い回しだった! 当の安倍晋三が JR東海・葛西敬之会長の追悼で使ったネタを” という記事を読んで、思いっきりコケてしまった。つい感動してしまってた人たちは、なおさらだろう。
弔辞に出てきた「山県有朋の歌」の話が、当の安倍晋三が故葛西敬之 JR東海名誉会長の葬儀の翌々日(今年 6月 17日)に Facebook で触れていたことの「使い回し」だと判明したというのである。そのエビデンスも、あっさりと確認できてしまった(参照) 。
これ、書いた(はずの)当人が既にこの世にいないのだから、少なくとも当面は削除されようがない。
もしあっさり削除されるようだったら、代わって書いていた誰かが慌てて削除したと思うほかないだろう。いずれにしても、彼の Facebook には自身の映った写真やビデオがこれでもかというほど臆面もなく多用されていることもあり、ゴーストライターがいたとみる方が自然な感じがする。
ちなみに、テレビ朝日のニュースショーで、弔辞に「電通が入っている」と発言して後に謝罪撤回した玉川徹氏に、あの三浦瑠麗氏が噛みついて、「安倍チームには(中略)極めて有能なスピーチライターたちがいたことを知っていれば・・・」と tweet している(参照)。
彼女の発言についてはほとほとうんざり気味だから、もう触れないつもりでいたのだが、今回はとくに当事者に極めて近い筋からの(半ば墓穴気味の)有力証言として、敢えて取り上げてみた。
要するに彼女は、今回の弔辞はわざわざ電通なんかに頼るまでもなく、いつものお抱えスピーチライターたちに任せたんだってことを言いたいのだね。なるほど、納得できる。だからこそ、手持ちネタがカブっちゃったってわけだものね。
それにしても菅さん、「盟友」の Facebook を全然読んでいないのがバレバレだね。そもそも彼自身の Facebook なんて、スタッフ任せの「業務連絡」ばっかりで、自分の言葉で語ってるエントリーなんてほとんどないし(参照)。
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コメント
安倍さんがなくなってから一定の時間が経ったことを表現するのにこんなことを言ってましたね。
‟やかましかった蝉もいつの間にかなりを潜め高い空には秋の雲がたなびき”
‟やかましかった”の部分が耳にひっかかりました。
私なら‟賑やかだった”にします。弔辞の文中に置くには抵抗を覚えます。
個人的には蝉の声をやかましいと感じたことは一度もなく、夏を教えてくれるのが蝉です。
どんなスピーチライターが書いたか知りませんが、センスないなと思った次第です。
投稿: ハマッコー | 2022年10月 3日 12:34
ハマッコー さん:
>‟やかましかった蝉もいつの間にかなりを潜め高い空には秋の雲がたなびき”
確かにセンス無いですね。子どもの作文レベルです。今どきの蝉は、9月末でも結構鳴いてますから、頭の中の思い込みだけで作り上げた文章というほかありません。
それでも、三浦女史曰く「極めて優秀なスピーチライターたち」だそうですから、お笑いです。
あの界隈の人たちって、「是々非々」の原則を無視して、安倍周辺のことなら何でも強引に OK にしたがりますが、そのせいで「国論を二分」という風潮が定着してしまったように思います。
投稿: tak | 2022年10月 3日 13:34
何をそんなに皆んなが騒いでいるのかわかりません。あの原稿をスピーチライターが書いていて、別に菅さんの値打ちがあがるわけでも下がるわけでもないでしょう。日本ではアメリカのように皆んながスピーチライターを雇っているわけではないから、岸田首相の弔辞はいかにも官僚が書いた弔辞になり、菅さんがスピーチライターにいくつかのエピソードを話しスピーチライターが仕上げたのか、菅さんが殆んど書いたのを、スピーチライターが仕上げたのか分かりませんが、スピーチを書く才能を政治家は求められているわけではないですね。別にエピソードが重なってもよくあることで何が問題なのかもわかりません。
テレ朝は自社の報道局の社員、なんの裏取りもせずコメントするジャーナリストとは言えない人物をTVに出しているということが一番の問題だということに気づいてない。まあ、いつものことかもしれませんが、日本の報道は裏取りをする前に、?をつけとけば訴えられても大丈夫と思っていそうですからね。原英史氏と毎日新聞の訴訟でも裏取りを全くせずに報道することが証明されましたし、毎日新聞は敗訴しても反省しそうにないし。
投稿: basara10 | 2022年10月 4日 17:06
basara10 さん:
>あの原稿をスピーチライターが書いていて、別に菅さんの値打ちがあがるわけでも下がるわけでもないでしょう。
その通りです。ですから私は、初めから「スピーチライターが書いたに決まってるじゃん」と思っていたわけです。それで、それがいいとも悪いとも言っていません。
ただ、そのことに気付かず、単純に「菅を見直した」なんて言ってる人が少なくなかったのがちょっと「あれれ?」でしたが。
>スピーチを書く才能を政治家は求められているわけではないですね。
その通りです。ただ、まったく要らないというわけではありません。その才能があれば、それに越したことはありません。邪魔になるわけでもないし。
>別にエピソードが重なってもよくあることで何が問題なのかもわかりません。
重ならない方がいいに決まってます。そして今回は、その重なり方が、胡散臭さを醸し出しすぎという感があります。
LITERA の記事をよく読めば、その「胡散臭さ」がわかります。
テレ朝の件については、玉川氏が「裏に電通がいた」と決めつけてしまったことが問題です。
三浦女史が「スピーチライターがいた」と tweet したので、「なるほど、電通じゃなかったわけね」となって、一件落着です。有り体に言えば、「電通は介在してなかった」ということが重要なのではなく、「介在していたのは電通じゃなかった」ということがわかれば、それで OK です。ネタのカブったのは、そのせいか」となったのは、まあ、ご愛敬ですね。
というわけで、私としては、スピーチライターがいたことが問題だと言っているわけではまったくありません。スピーチライターなんて想定せずに、ただ単純に感動しすぎていた人が、実情に気付けばいいと、それだけのことです。
で、今回はその辺りに、「ちょっとずっこけ要素があったよね」という点で、話題にしたというわけです。
以上、言わずもがなのことまで、敢えて詳しく書かせてもらいました。
投稿: tak | 2022年10月 4日 19:53