今世紀末頃までに、台風はより強力になるらしい
9月 24日の「台風 15号は温帯低気圧に変わったようだが」という記事で、「地球温暖化とやらで、日本列島全体が少し南に下がってしまったような感覚」と書いた。これについては、気象予報士の千種ゆり子さんも似たようなことを書いている。
HUFFPOST の【「経験したことない」と警告された台風。温暖化が進んだ未来、これは “日常“ になるかもしれない】という記事だ。かなりコワい話である。
記事によれば台風の発生総数は、この百年で明確な変化傾向はみられないという。ただし「強い台風の割合は過去 40年間で増加」しているというから、聞き捨てにならない。これは言い換えると、台風の総数は変わっていないが、これまでより北で台風がピークに達しやすくなっているということのようだ。
これは私の書いた「日本列島全体が少し南に下がってしまったような感覚」を科学的に表現していると言える。以前の台風は南方でピークに達し、日本列島に近付く頃には勢力を弱めていることが多かったが、最近は日本列島付近で勢力がピークに達する傾向が強くなっているというのだ。
先月 18日に鹿児島に上陸して日本列島沿いに進んだ台風 14号は「経験したことのない」という形容詞付きで最大限の警戒が呼びかけられた。今後はこうしたことが「日常」になるかもしれないというのだから、かなり恐ろしい。
アメリカの大気海洋庁や、日本の海洋研究開発機構の研究によると、今世紀末までに、世界の熱帯低気圧の発生総数は 20%前後減るが、個々の台風は強力になるとされている。具体的には 21世紀の末頃、以下のようになるという。
- 強い台風は現在に比べて約 6.6%増加
- 台風に伴う降水量は約 12%増加
- 強風域の半径は 10.9%程度拡大
- 台風の平均強度は 5%増加
大きな台風が増え、そして大きいほど降水量が増え、広範囲に影響を及ぼ傾向が強まるというわけだ。
21世紀末いうことは、最近生まれたばかりの子たちが高齢者になるころには、かなり危険な台風が頻繁に来るということなのだろう。まあ、私はそこまで生きないけど、だからといって自然環境を放ったらかしにしてもいいというわけではない。
| 固定リンク
「自然・環境」カテゴリの記事
- アイドリングストップ機能は、はっきり言って邪魔(2023.09.25)
- 久し振りの「台風直撃」になりそうだ(2023.09.08)
- アメザリを踏みつぶすことと、「いじめ」の心理(2023.09.04)
- 東京の 8月は 31日間すべて「真夏日」だったそうだ(2023.09.02)
- 台風 7号は、近畿直撃コースらしい(2023.08.12)
コメント
以前にもここに書いたことがありますが、日本に上陸した台風のTOP10は全て20世紀に上陸した台風でTOP2は第二室戸台風と伊勢湾台風です。気象庁のホームページの過去の台風情報というページに出ています。今年の2号までだから先日の台風がTOP 10入りしたかどうかはわかりません。だから今後強い台風が増加するかもしれないというのはそうかもしれないし、台風が日本でも北よりになっているのは私も感じます。しかし過去40年で増加したというのは明らかな嘘です。
投稿: basara10 | 2022年10月 5日 06:51
千種さんのページに行くと気象庁のデータを貼り付けていますね。しかし、それで40年で増加しているという結論が出るなら、新たなデータが必要ですね。
投稿: basara10 | 2022年10月 5日 09:38
basara10 さん:
私も詳細なデータを見たわけではありませんが、いずれにしろ「TOP 10」だけが「強い台風」というわけではなく、「強い台風の割合が増えている」というのですから、示されたデータだけでは何とも言えません。
>それで40年で増加しているという結論が出るなら、新たなデータが必要ですね。
そういうことですね。
投稿: tak | 2022年10月 5日 13:50
強い台風の割合という意味では、「台風が東京に接近した時の中心気圧の累積頻度分布」みたいな分析に意味があるかもしれません。
https://www.metsoc.jp/default/wp-content/uploads/2021/03/5_yamaguchi.pdf
過去40年というのは、「ひまわり」の運用開始を起点としているのですね…。
投稿: 山辺響 | 2022年10月 6日 16:06
山辺響 さん:
情報、ありがとうございます。感謝です。
細かい点はなかなか専門的で読み飛ばしましたが、結論的なことは「なるほどね、実感通り」みたいな感じでありました。
投稿: tak | 2022年10月 6日 22:31
蛇足(かつ リンクがうるさい)になりますが、、
気象庁のデータはこれかな?
https://www.data.jma.go.jp/yoho/typhoon/statistics/ranking/air_pressure.html
今年の14号の気圧履歴(ウェザーニュース)はこれ(地図は拡大縮小可能 赤丸にマウスを合わせれば気圧を表示)
https://weathernews.jp/onebox/typhoon/2022/14/
(「上陸」の定義により?) Wikipediaでは 今年の台風14号は、指宿市は「通過」で 上陸は鹿児島市として 4位タイ(935hPa)としています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%A4%E5%92%8C4%E5%B9%B4%E5%8F%B0%E9%A2%A8%E7%AC%AC14%E5%8F%B7
ただし、3位の1993年(平成5年)13号の気圧履歴
https://weathernews.jp/onebox/typhoon/1993/13/
を見て、これも薩摩半島は「通過」じゃないの? と考えて、今年の14号も2022-09-18 17時(大隅半島)の中心気圧を採用すれば 930hPaとなり1993年台風13号と並び 3位タイ、さらに伊勢湾台風以外の記録は 5hPa 刻みなので 伊勢湾台風の気圧もこれに合わせて930hPaとすれば 歴代2位タイとなります。(まぁ この辺は大差が無いということ)
そうゆう目で見てみると人的/建物被害に関しては昔の台風被害
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B9%E5%8F%B0%E9%A2%A8#%E8%A2%AB%E5%AE%B3
とは比較になりませんが、1993年台風13号の被害
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E6%88%905%E5%B9%B4%E5%8F%B0%E9%A2%A8%E7%AC%AC13%E5%8F%B7#%E8%A2%AB%E5%AE%B3
と比べても今年の14号の被害は非常に少なくなっています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%A4%E5%92%8C4%E5%B9%B4%E5%8F%B0%E9%A2%A8%E7%AC%AC14%E5%8F%B7#%E8%A2%AB%E5%AE%B3%E7%8A%B6%E6%B3%81
ということで 「世の中 悪くなるばっかり」でもないってことですね。
投稿: Sam.Y | 2022年10月 7日 14:28
Sam.Y さん:
詳細な確認、ありがとうございます。
ただ台風に関しては、進路の違いや、地域や時代による災害対策の充実度の違いなど、単純比較の困難な要素が多くあります。
台風 14号の被害が、当初考えられていたほどではなかったことに関しては、進路の要素も大きいかなと考えられます。これが伊勢湾台風みたいな進路だったら、大変なことになっていたかもしれないです。
そんなわけで、私の中では「印象」要素が強くなっているという言い訳をさせていただきますので、よろしく。
投稿: tak | 2022年10月 7日 15:19