"Free market" と "flea market"
JAPAAAN のインデックスに "フリーマーケットのフリーは「自由」にあらず。日本や諸外国のそれぞれの起源をたどる" というのがあるのを見つけ、「何言ってんだ? "Free market" は『自由市場』じゃん! もしかして、中国の回し者?」なんて思ったが、ページを表示した途端に疑問が解けた。
表示してある写真が、どう見ても「蚤の市」なので、すぐに「そうか、"flea market" のことね」と納得。日本語の表記では "L" と ”R” が区別できないので、こんなようなトンチンカンがよく生じる。
本当に "light" と "right" をきちんと区別して発音できる日本人は案外珍しい。さらに "reality"(現実)とか "umbrella"(傘)なんてことになったらグチャグチャだ。
私は小学校 6年生の時の新潟地震でもらった救援物資に、どういうわけか英会話ソノシートなんてものが入っていて、ネイティブの発音をひたすら感覚的に真似していたために、 "L" と ”R” の発音の区別は自然にできてしまった。それに関しては、3年近く前に書いている(参照)。
そして生涯でただ一つだけ通った学習塾(英語教室)の上野先生がみっちりと叩き込んでくれた(参照)ので、さらにしっかり身についている。ありがたいことで、いくら感謝しても足りないぐらいだが、せっかく同じ英語教室に通っても 8割以上の生徒はカタカナ発音だった。
というのは、彼らが英語を覚えるのにカタカナ頼りだったせいだと思う。せっかくあの英語教室に通ったのに、カタカナで発音を覚えては意味がない。
何しろあの頃は、「ビートルズの歌をビートルズのように歌いたい」という一心だったので、とにかく「ちゃんと英語に聞こえる発音」を身に付けたかった。ビートルズをカタカナで歌ったのでは台無しで、まさに英語にカタカナは天敵だ。
ちなみに私が若かった頃、多分 1970年代半ば頃までは「フリマ」なんて言葉は存在しなくて、フツーに「蚤の市」と言われていた。モロに "flea Market" の直訳が、ちょっとした異国情緒を伴って市民権を得ていたのである。
そしてその後にカタカナの「フリーマーケット」という言い方が、ちゃんとした検証なしに受け入れられてしまったという印象がある。その過程で、「誰でも自由に出品できる市場(いちば)」という誤解が生じたんだろう。
ちなみに「"Flea market" は『自由な市場』じゃない」というのは、インターネット上で昔から時々思い出したように取り上げられるネタで、そういえば私も 18年も前に「フランス語訛り」というタイトルの記事の中で触れている。
この記事の中で、私はフランス人が "H" の音を発音できずに、"history" を「イストリ」と言ったり「日本語」を「におんご」なんて言ったりするのが気になると書いているが、実を言うとフランス語の "r" の発音は、ちょっと官能的で好きなんだよね。
そんなわけで、Sylvie Vartan (シルヴィー・ヴァルタン)のファーストネームの "l" と苗字の "r" は、ちゃんとフランス語風に区別して発音できる。フランス語は 1〜4 までしか数えられないのに、「3」(troi)はちゃんと舌の先の方じゃなく奥の方を使ってフランス語風に発音できるのだから妙な話である。
結論。とにかく、外国語はカタカナで覚えちゃいけない。
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コメント
ヘリコプターは、エリコプテール。
ラジオは、ハジオ。
かの昭和天皇は、イロイト。
と、授業で習いました。
舌の奥で呼気で舌を振るわせながら舌を上あごにつけず発音する、ってことも併せて。
投稿: 乙痴庵 | 2022年10月27日 23:27
乙痴庵 さん:
私、大学時代の第二外国語はフランス語だったんですが、あの当時の大学は紛争の嵐が吹き荒れていて、まともな授業が行われておらず、それで「1〜4」を数えられる程度で止まっています。
自分でしっかり勉強しとけばよかった ^^;)
投稿: tak | 2022年10月28日 11:00