「セイロガン糖衣 A」が「セイロガンと言えぃ!」
2日前になってしまうが、23日の TBS ラジオ『安住紳一郎の日曜天国』の聴取者からのメッセージテーマは、「私の勘違い」というものだった。その中でおもしろかったのは、胃腸薬の「セイロガン糖衣 A」が「正露丸と言えぃ!」(あるいは「正露丸とイエー!」)だと思っていたという勘違いである。
このメッセージが紹介されると「私もそう思ってた」というメッセージが次々に寄せられたという。それを聞いて、「この番組の聴取者はスゴい!」と妙に感動してしまったよ。
私も幼稚園に通っていた頃、天気予報の「波浪注意報」は「ハロー注意報」で、外国人を見かけたら即逃げなければならない日だと思っていたのだが、それより数段上のノー天気さである。
興味深いのは、この勘違いをしていたのが「35〜6歳の人に集中している」と安住アナが言っていたことだ。これには理由があるはずだと思い、調べてみたところ、大幸薬品の「企業情報/沿革」ページで、「セイロガン糖衣 A」の販売が開始されたのは、1981年 11月だとわかった。
今 35歳の人は 1987年生まれなわけで、幼稚園か小学校に入ったばかりの頃にテレビやラジオから盛んに聞こえてくる「セイロガン糖衣 A」が、「セイロガンと言えぃ!」や「正露丸とイエー!」というキャッチフレーズみたいに聞こえたというのは、十分に頷ける。
それ以前の世代は「正露丸糖衣」という薬に関して聞き覚えがあったはずので、妙な勘違いをしないで済んだのだろう。また、35歳より若い世代にとっては、あの「黒茶色のクレオソート丸薬」ではない「糖衣錠」が当たり前になってしまったので、単に「セイロガン」で済んでいるのだと思う。
ちなみに「セイロガン糖衣 A 」と「正露丸糖衣」は別の製薬会社から出ているもので、大幸薬品のものは表記がカタカナ混じりになっているのがミソだ。これに関して商標権の問題でいろいろなゴタゴタがあったというのは、知る人ぞ知る事実である(参照 1、参照 2)。
この日の「私の勘違い」のコーナーは、これ以外にも
- 新潟出身の同僚が「昔、鎌倉に住んでいた」と言うのを聞いて、思わず「(雪の)かまくらに住んでたんですか !?」と口走った。
- 子どもの頃からずっと、「別府毎日マラソン」は「毎日走るマラソン」だと思っていた。
- 「実家の姉です。食べてください」と書かれたメモが、「実家の柿」の間違いだった。
・・・ 等々、素晴らしい勘違いに溢れていた。3番目は「勘違い」より「書き(柿)違い」と言った方がいいかもしれないが、とにかく日本もなかなか捨てたものじゃない。
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コメント
中学生の時、新聞配達をしていました。月末に配達先の薬局に集金に行きました。
「ごめんください、新聞代お願いしま~す」と言ったら店主がでてきて「はい、これね」といって私の前に小箱を置きました。
そこには「新ベンザ」とありました。
商人とは金儲けのことしか考えてないんだなあと中学生の私は思いました。
投稿: ハマッコー | 2022年10月25日 15:36
ハマッコー さん:
わはは (^o^)
ちなみに、ちょっと調べたら感冒薬「ベンザ」が販売開始されたのは、1957年のことのようです。
この頃、洋式便器は一般的じゃなかったので、誰も「変な名前!」なんて思わなかったんでしょうね。今は「べんざ」と入力すると、まず「便座」と変換されてしまいます ^^;)
投稿: tak | 2022年10月25日 15:50
ユークレインに贈ってあげたい「征露丸」
投稿: 乙痴庵 | 2022年10月25日 17:56
乙痴庵 さん:
まさに!
投稿: tak | 2022年10月25日 18:17
流石に柿を姉と書き違えることはないでしょうから、送り主は柿と書いたつもりが字が汚くて姉にしか見えなくなった「インド人を右に」パターンでしょうねw
投稿: 柘榴 | 2022年10月25日 21:25
柘榴 さん:
>「インド人を右に」パターンでしょうねw
「ハンドルを右に」ね ^^;) なるほど、そう考えるのが妥当でしょうね。納得です。
ありがとうございました。
投稿: tak | 2022年10月26日 08:21