プーチン、ロシア正教会の「主席エクソシスト」だって
東洋経済 ONLINE が ”正教会、プーチン「主席エクソシスト」に任命の怪” と報じている。”プーチン乱心、軍事侵攻の目的は「悪魔払い」” という圧倒的な副見出し付きで、News Week の "Putin Appointed 'Chief Exorcist' as Kremlin Whips up Satanic Panic" が元記事。
元記事のタイトルは直訳すれば "クレムリンが悪魔パニックを煽る中で、プーチンが「主席悪魔払師」に任命される” てな感じだろう。何だか中世のお話みたいだが、21世紀の共産国家におけるちゃんとしたニュースというところが浮世離れしている。
ロシア政府は 2月 24日に開始したウクライナ侵攻の目的を、当初はウクライナの「非ナチ化」(denazification)としていた。しかしここにきて「脱サタン化」(desatanization)という言葉を多用するようになっているという。
そのココロは、ウクライナに広まる「悪魔の教会」(Church of Satan)という宗派を一掃するということのようなのだ。この宗派は「ロシア正教の価値感を捨てるよう強要」するためにウクライナで広まりつつあると、クレムリンは言っているらしいのだが、もろに茶番的な言い草だよね。
そうした中で、ロシア正教会はプーチンを「主席エクソシスト」(Chief Exorcist)として任命したというのだから、茶番もかなり極まっちゃってる。プーチンべったりなことで悪名高いキリル総主教は、つい最近も次のような説教をしている。
勇敢に軍での使命を果たしなさい。国のために命を捧げる者は、神の国と栄光と永遠の命の中で、神と共にあることを覚えておきなさい。
つまり「ロシアのために喜んで死ね」と言っているわけで、これの方がよほど「悪魔の囁き」っぽい。
共産党のトップが公式な「悪魔払師」になるとは、「宗教は阿片」と言ったマルクスとしては単純な反宗教主義ではなかったようだが、いずれにしてもあの世でびっくりだろう。
【注】
文中の英語は News Week に沿ったもので、ロシア語でどう言うかは知らないし、英露辞書でも "desatanizatin" なんて項目はないだろうから、そのあたりはどうぞ
【同日追記】
ロシア語で「悪魔」は "дьявол" で、"d'yavol" と発音するようだ(参照)。ただこれだと "devil" のロシア語っぽいから、念のため英語の ”satan" をロシア語に翻訳してみると、"сатана" というようで、発音は "satana"(参照)。
表記はさっぱりわからないけど、発音をみる限りはロシア語ってやっぱりヨーロッパ圏の言葉なのだね。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- ”The fall of the patriarchy” (家父長制の秋)(2023.11.29)
- 「大富豪と CO2 増加」そして「資本主義と人口減少」(2023.11.22)
- 岸田内閣の支持率低下を巡る冒険(2023.11.11)
- 『杉田水脈七変化』という外題のお粗末(2023.11.04)
- 「大阪万博」を巡る冒険(2023.10.08)
コメント