「唐様で書く三代目」に関する考察
「売り家と唐様で書く三代目」という川柳がある。初代の盛り上げた家業が二代目になって安定はするものの勢いを失い、三代目になると家を売りに出すほど没落するというものだ。ノー天気に遊び呆けていた頃に、粋な唐様だけは身に付けたってことだ。
"logmeBiz" に ”日本の「ビジネスの効率性」は 63ヶ国中 51位 『世界競争力ランキング』発表の IMD 代表が見る、競争力低下の最大要因” という記事がある。一時は高い競争力をもっていた日本企業がここまで落ちぶれてしまったのはなぜかを論じた記事だ。
この記事ではいろいろな要因が挙げられているが、私は要するに、日本経済が「唐様で書く三代目」の時代に入った結果なんだと思っている。戦後の経済復興から高度成長の時代をなりふり構わず支えた「初代」はとっくにこの世を去り、今は「二代目」を経て「三代目」に移ってしまったのだ。
彼ら「三代目」は行儀はいいかもしれないが、思い切った変革はなかなかやれない。せいぜい「部分的修正」を繰り返すのみだから、世界の動きに取り残されがちである。
これは経済界ばかりではなく政界も同様で、今の自民党首脳の顔ぶれの多くも政治家としての三代目である。昨年殺された安倍晋三は、岸信介 - 安倍晋太郎というラインの超ボンボン育ちで、現首相の岸田文雄もご多分に漏れず、岸田正記 ー 岸田文武から続く三代目。
これって、政治家という仕事が「家業化」の過程で硬直してしまっていることを示す。他の分野から新鮮な人材の入り込む余地が極めて小さいのだから、なかなか活性化されない。
そんなわけで今の日本における政治と基幹産業の分野は、驚くほどダイナミズムに欠ける世界になってしまっている。僅かに期待の持てるのは、新規人材が参入しやすいサービス業(とくに IT 分野)なのだろうが、それにしても頭の古い政治家連中が妙な規制をかけているから動きづらい。
今の三代目の子の四代目になった頃にはさすがに限界が露わになり、嫌でも新しい動きをしなければならなくなるのだろう。そうなるまでには、まだしばらく時間がかかる。やれやれ。
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コメント
歴史学的には、2代目は創業のいろはを初代と体験・共有してるからまともで、それを知らない孫次第で長期継続できるかってのが一般的ですな。
北条泰時・足利義満・徳川家光。
前漢の文帝・元のフビライ・明の永楽帝なんかが浮かびます。
投稿: らむね | 2023年1月21日 00:28
らむね さん:
なるほど、長期にわたって栄える礎を築いた三代目もいるわけですよね。
人物次第ってところは、確かにありますね。
投稿: tak | 2023年1月21日 07:25