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2023年1月17日

「卯年」か? 「ウサギ年」か?

毎日新聞の「毎日ことば」の欄に、"なぜ「ウサギ年」より「卯年」と書いた方がよいのか" という記事がある。これ、ちょっと大切そうでありながら、どうでもよさそうでもあり、おもしろい問題だ。

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そもそもの発端は、毎日新聞校閲センターの以下のような tweet だ。"ウサギは卯年に割り当てられた動物ですが、暦としては「ウサギ年」ではなく「卯年」と呼ぶのが適切でしょう" とある(参照)。

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これに対して国語辞典編者の飯間浩明氏が疑問を呈した(参照)。これは「報道の内規レベルのもの」で、そのまま一般化するのは問題だとの見解である。会話では「うさぎどし」の方が伝わりやすいこともあり、「二者択一という印象を与えることは好ましくないでしょう」としている。

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なるほど、飯間氏の tweet には「うさぎ年」で検索された結果の画像がずらりと並べてある。「論より証拠」というわけだ。

で、冒頭に紹介した毎日新聞の記事は、これに対する回答となっている。要点としては、話し言葉としては「ウサギ年」が一般的だとしても、書き言葉としては「卯年」が望ましいだろうというものだ。

これに関する傍証として、「牛年」「馬年」「虎年」などと表記するのは違和感があり、それぞれ「丑年」「午年」「寅年」が一般的であることを挙げている。十二支は元々が 12種類の動物を意味していたものではなく、それぞれの動物は後から関連付けられたもの(参照)だから、そうなってしまうよね。

毎日新聞はこの点について結構厳密で、次のように書かれている。

毎日新聞の校閲では、「えとのウサギ」とせず「えとにちなんだウサギ」などと直しています。この認識が少しでも広がってほしいと願います。

というわけで今年の場合も、「兎年」ではなく「卯年」がいいだろうというのである。これはもう正論だから、否定の余地はない。

ただその上で、話し言葉としては「ウサギ年」でもいいじゃないかというのも定着した事項なので、今さら否定してもしょうがない。つまり話し言葉まで考えに入れれば、私としては「二者択一」ではなく、ユルく考えてもいいよねと思う。

「ユルユルの慣習」をことさら厳密に論じても疲れてしまうので、この問題はこれでおしまい。

 

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