生い立ちを調べて発表する「授業」があるらしい
Yahoo ニュースの ”生い立ちを調べて発表する「授業」 写真がなければ絵で代替という「配慮」” という記事を読んで、かなり驚いてしまった。筆者は名古屋大学大学院教育発達科学研究科・教授の内田良さんである。
今の小学校では「生い立ちの授業」というのがあるらしい。学習指導要領に「生活科」という科目の一環として記載されており、小学校 2年時の実施が原則であるという。自分が誰に支えられて育ってきたのかを調べ、感謝をあらわし、発表するという内容であると述べられている。
この授業の実施に先立ち、学校から父兄に「学校の授業でお子様の成長を振り返るために、次のものをご用意ください」という連絡があるという。これが「はあ?」と言いたくなる内容だ。
【写真】
生まれたとき(誕生前のエコー写真も可)、1歳~3歳頃、4歳~6歳頃、小学校に入学したとき、それぞれ 1枚ずつ(計4枚)。
【お子様への手紙】
生まれてきたとき、はじめて〇〇ができたとき、幼稚園や保育園に通っていたとき、小学校に入学したときのことなど、さまざまな思い出とともに、これから未来に向けてお子様に願うことを記してください。
写真に関しては、なければ絵でも OK という「配慮」がされているというが、私は「そんなもの、配慮でもなんでもないだろう!」と思ってしまった。そもそも、そんなプライベートなことに関する写真や「手紙」なんてものを、どうして学校に提出しなければならないのだ。
これに関しては、里親や虐待などの事情のある家庭で、大きな戸惑いがあるという。各家庭の「特殊事情」に関して「配慮」されているとはいうものの、その内容は実効的なものとは到底思われない。
私は子ども時代を三世代同居の家庭で過ごしたが、祖父母とは実際には血がつながっていなかった。これについては、2008年 9月に「祖父母が 3人ずついる私」という記事に書いている。
私の母は祖父母の「養女」であり、そこに父が「婿入り」したので、家系としてはちょっとだけ「複雑な事情」がある。そのことを詳しく知ったのは、私が小学校 6年の時で、その頃には結構成長していたので、幸いにもそれによってスポイルされたりはしなかった。
しかしそんなデリケートな話を小学校 2年の年頃で調べて知ってしまったら、それを写真入りの作文にして発表したいとは、いくらノー天気な私でも決して思わなかっただろう。そんな授業が私の時代にはなくて、本当によかった。
この授業というのは、かなり「問題あり」という気がしてしまうがなあ。
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コメント
教育関係の端くれとして、内田良氏の様々な提言にはアンテナを立てています。氏は、「多数派の常識によって黙殺されてしまう少数派のネガティブ事象」について発信されており、わたくしの職務上も大いに参考になっています。
特に「組体操」については、氏の問題提起により世の中が変わってきた典型例と言えると思います。すべての子に幸あれ。
投稿: らむね | 2023年2月27日 09:52
らむね さん:
>教育関係の端くれとして、内田良氏の様々な提言にはアンテナを立てています。
さすが!
>「多数派の常識によって黙殺されてしまう少数派のネガティブ事象」
今回取り上げたのは、まさにそれに当たりますね。本当に「おいおい、ちょっと待てよ!」と言いたくなる問題です。
日本の初等教育って、こんなレベルの発想でプログラムされているんですね。かなりコワい!
投稿: tak | 2023年2月27日 17:13
「わが子誕生」について、当時ワープロ専用機で「壁新聞(A4ペラ紙)」みたいなモノを作って、遠方の親類や縁者に郵送しました。
現物はおそらくないものと。
二十数年前にフィルム熱転写式のワープロですから、もうボロボロでしょう。
もしそれがあれば、添付書類で対応できたかなぁ。
しかしまぁ、両親(あるいはお一人様)働いている中で、どこまで手間かけさせるん?
絵でも良い、絵描く時間もないぞ。
情操には良いかも知れませんが、現代庶民…、現代下層民には、難題だなぁ。
給料あげて<早く帰らせて<税金下げて
物価高給料据え置きでも、家でゆっくりできるなら、税金下げてくだセェ、お代官様。
投稿: 乙痴庵 | 2023年3月 3日 20:01
乙痴庵 さん:
>「わが子誕生」について、当時ワープロ専用機で「壁新聞(A4ペラ紙)」みたいなモノを作って、遠方の親類や縁者に郵送しました。
それ、単なる「お知らせ」よりずっと味のあるやり方ですね。
>しかしまぁ、両親(あるいはお一人様)働いている中で、どこまで手間かけさせるん?
まったくです ^^;)
投稿: tak | 2023年3月 3日 21:53