極端な天気と、ソメイヨシノと「いろは歌」
ウェザーニュースが「東京は真冬並みの寒さとなる見込み。週末 18日は雨風が強まり寒さが戻る」との週間天気予報を伝えている。見れば今日の東京の予想最高気温は 9℃ で、札幌の 8℃ とそれほど変わらない。私が滞在している大阪は 12℃ まで上がるようだが、それでも朝から肌寒い。
一昨日、大阪東部の石切神社、野崎観音を巡った時は結構な暖かさ、というより初夏並みの暑さで、私は Tシャツの上に薄手のシャツを着て、さらに腕まくりして歩いていた。ところが夕方になると急に風が冷たくなって、リュックにしまい込んだパーカを出して重ねたほどだった。
そして昨日はそのままの涼しさが続き、今朝は春先の肌寒さだ。東京の「真冬並み」に比べれば関西はまだましだが、旅先だけに手持ちの洋服も限られており、変化に対応するのが大変だ。
私は日曜夜につくばの地に戻る予定だが、それ以後は関東も春らしい気温に戻るというのでありがたい。天気が極端に変わるのは今に始まったことじゃなく、ここ 20年ほどの常なのだが、最近はその傾向がさらに強まり、基本的流れは「温暖化」でも、その中で突然急に寒くなったりする。
さらにそれどころではなく、HUFFPOST には「60年後、ソメイヨシノが咲かなくなるかも…? 地球温暖化の影響を気象予報士が解説」という記事がある。これにはちょっと驚いてしまった。
ソメイヨシノが一斉に開花するのは、一定期間 5℃ 前後の低温にさらされる寒い季節を経てからの気温上昇で、「休眠打破」という現象が起きるからだといわれる。沖縄でソメイヨシノが咲かないのは、冬でもそれほど寒くならないので「休眠打破」が起きないからだ。
ところがこのまま温暖化が続いてしまうと、沖縄以外でも「休眠打破」が起きにくくなるので、ソメイヨシノの咲かない地域が出てくる可能性があるというのである。予想されているのは鹿児島県や九州の沿岸部、そして関東地方でも、三浦半島や木更津などの内房辺りだそうだ。
この記事を書いた気象予報士の千種ゆり子さんは、花見文化を未来に残すためには、世界全体の平均気温の上昇を産業革命以前の 2℃未満に保つという「パリ協定」の目標達成が必要だという。そのためにも温室効果ガス排出を削減しなければならない。
彼女はさらに、"暖地でも育つ「NEXT ソメイヨシノ」を見つけて広げていくことも必要" と言っている。ここまで来てしまうと、ソメイヨシノの天下がずっと続くとは考えにくいのだね。
さらに言えば、今や日本に咲く桜の 80%を占めると言われるソメイヨシノは江戸時代末期に品種改良で作られた 1本の木のクローンだから、「種の多様性」という見地から見てもアブナい。もし何か大きな要因でソメイヨシノにダメージが与えられたら、日本中の桜の 8割が消えてしまいかねないのだ。
まさに「色は匂へど散りぬるを我が世誰ぞ常ならむ」である。
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コメント
世間様には、「2月1日から通算で600℃」でソメイヨシノの開花になると言う法則があるそうです。
NHKラジオと地元民放ラジオで聞いたことなので、周知のことなんでしょうね。(アタシャ知らんかった)
ブワっ!としたソメイヨシノも好きですが、茶と緑の山間にポツンと「ここだよ!」って咲いている山桜も好きです。
そのうち、ソメイヨシノは秋に咲く花になっちゃったりして。
投稿: 乙痴庵 | 2023年3月22日 18:48
乙痴庵 さん:
通算 600℃ ですか。へえ! 知りませんでした。
ただ、沖縄は別なんですね。
山桜、本当に風情がありますよね。
>そのうち、ソメイヨシノは秋に咲く花になっちゃったりして。
むしろ実感がありますが、その場合の休眠打破はどんな風に形成されるんでしょうね。
投稿: tak | 2023年3月22日 19:10