「宮型霊柩車」を巡る冒険
町田忍さんという方の 「使用しない宮型豪華な霊柩車八台あります、欲しい方差し上げます。九州まで取りに来ていただけるかたご連絡ください」という tweet が注目を集め、翌日には問い合わせ殺到で対処に困るほどになっているらしい(参照)。この世には物好きが多いということだ。
私としては、この「宮型霊柩車」を譲ってもらうよりも、所有者がどうして手放すことになったのかということの方に俄然興味が湧いたため、ちょっとググってみたところ、"宮型が消滅の危機? 知られざる現代「霊柩車の世界」" というページが見つかった。かなりおもしろい記事なので、一読をお勧めする。
記事によれば最近は「宮型霊柩車」というのは需要が非常に少なく、「洋型」(下の写真みたいな、よく見かけるやつ)とか「普通車」というのがほとんどになっているという。「普通車」というのは、エスティマなどの内装を変えているだけで、外目には霊柩車とはわからないらしい。
「宮型」が減っている主な要因は経費がかかるということのようだが、個人的によくわからないのは 2番目に挙げられた「(火葬場のある)地域の住民が嫌がるため」という理由である。そのため「宮型霊柩車の使用・乗り入れの自粛」を要請するケースが多くなっているというのだ。
私なんか自分が火葬場の近くに住んでいたとしても、他人の使う霊柩車に口出ししようなんて決して思わないがなあ。どんなタイプの霊柩車を使おうがそれは施主の自由で、最期に乗せるクルマぐらいは思い通りにさせてあげたいものじゃないか。それによって実害があるわけじゃあるまいし。
そして 3つめの理由が、「目立ちたくない」「隣近所に知られたくない」という人が増えていることだという。なるほど、これならわかる。下手に隣近所に知られると、別に親しくしていたわけじゃないのに香典なんか持ってこられ、予定外の香典返しの必要が出てきたりして、鬱陶しいからね。
「宮型霊柩車」の発祥は、年代は不明だがとにかく大阪だったのは確からしい。そして昭和 20年代までは、国産車種では重量に耐えきれず、すべて外国車だったという。下の写真は 1933年のもので、ベースはフォード車。ふぅむ、雰囲気だなあ。
ちなみに日本の「宮型霊柩車」というのは、米国辺りで結構な人気をもつらしく、手に入れてフツーに乗り回している人もいるらしい(参照:記事に登場するのは、今回のネタ元を tweet された町田忍さん)。
あんなデカいの、日本の道路で日常的に使うには持て余すだろうが、米国ならイケるだろう。元々ベースはアメ車で左ハンドルだし。
| 固定リンク
「比較文化・フォークロア」カテゴリの記事
- 鹿児島弁の「へがふっど」が、わかってしまった(2023.05.15)
- マツケンサンバで、なぜか「酒田ばやし」を思い出す(2023.05.13)
- "LGBT" と「クロス・ジェンダー・パフォーマンス」の差(2023.05.03)
- ベルリンの公園と東京の神宮前の間の落差(2023.04.11)
- 空いた道をノーヘルにマスク着用で自転車に乗る人たち(2023.04.10)
コメント
宮型霊柩車は関西ではよく見かけましたが、関東に来てからは全く見かけませんね。関西での現在の事情は分かりませんが全国的には絶滅危惧種なんでしょう。
最近はほぼそれとは分からない霊柩車(霊柩車というよりただのバン)が主流のようですが、これには一つ困ったことが。
遺体を預かりに行ったドライバーがそのまま繁華街に車を止め飲みに行ってしまったなんてことがあります。
彼らにとって仕事狎れしてしまって遺体はただのモノのようです。遺族からしたら怒り心頭でしょうね。
最近、大田区の葬儀社の社員が遺体にイタズラして問題になってましたが、私が知るところと区が一致します。その葬儀社は「われわれも被害者だ」と開き直ってますがいかにもと思いました。
マスメディアはそろって社名を公表してませんがこれには深い訳が…以下自粛。
という訳で葬儀社を選択する際には、遺体の搬送にただのバンを使っているところには要注意です。(悪さをしているのはごく一部でしょうが)
投稿: ハマッコー | 2023年3月24日 19:18
ハマッコー さん:
試しにググってみて、「以下自粛」のわけがわかりました。いやはや、何をかいわんやですな。
投稿: tak | 2023年3月24日 19:51