« このテーブルに 100万円出す人もいるんだろうけど | トップページ | 花粉飛散量の増加と「免疫系の蘇り」 »

2023年3月 5日

同性婚を認めない人たちのもつ「危機感」らしきもの

BBC NEWS JAPAN の 3月 3日付に "岸田首相、同性婚を認めないのは「国による不当な差別ではない」と発言し批判される" という記事がある。既に知られたことだが、日本は主要 7カ国(G7)で唯一、同性婚を認めていない国であり、この問題に関する保守派の発言にはかなりメチャクチャ感がある。

230305

保守派が同性婚を認めたがらないのは、彼らの「結婚」というもののコンセプトが「男性と女性が一緒になること」という固定観念の外に一歩も踏み出せないことによるだろう。「だって、結婚って、男と女のするもので、それ以外にないじゃないか!」と言うほかできないのである。

しかし今や、世界の趨勢は同性婚を認める方向に進んでいるのだから、このコンセプトは既に崩壊している。同性同士のカップルで法的に認められた「家族」という単位をつくることが認められないないのが「差別」であるということは、常識となりつつあるのだ。

同性婚を認めても異性愛者の権利が蹂躙されるわけでも、利益が損なわれるわけでも何でもない。彼らは彼らの価値感に従って、異性同士で結婚すればいいだけのことだ。しかし保守派はどうしてもそれが理解できないようなのである。

問題は、保守派にとって「結婚」というもののコンセプトを更新することは、彼らの価値感すべてが否定されてしまうと感じられているらしいことだ。同性婚を認めてしまうと、自分たちの依って経つ基盤が崩壊してしまうというような「勝手な危機感」を抱いているみたいなのである。

だから彼らは、この問題に関してヒステリックにならざるを得ない。いくら冷静に理を尽くして説明しても、彼らには理解できないのだ。同性婚容認派が日本国民の過半数となっているにも関わらず、こればかりはどうしようもない。

こうなったら頭の柔軟な人たちに政権を担ってもらうしかないのだが、日本の選挙における投票率を考えると、それも難しいんだろうなあ。やれやれである。

 

|

« このテーブルに 100万円出す人もいるんだろうけど | トップページ | 花粉飛散量の増加と「免疫系の蘇り」 »

LGBT」カテゴリの記事

コメント

私は同性婚なんて嫌ですが、他人がするのはどうでもいい派ですかね。自分の子どもだったらちょっと嫌かな?孫ならいいか?
 日本は江戸時代までは同性愛に非常に寛容な文化で、今でも稚児行列などを嬉々としてやってます。
TAKさんは専門でしょうが、東海道膝栗毛は男同士の駆け落ちの話だし。
 明治になって同性愛を忌避するキリスト教の文化が入ってきて同性愛は非文化的な所業であるとの文化になったわけです。欧米が同性愛に寛容になったのは近年のことでアンチキリストの運動と共に受け入れられるようになった。日本にはアンチキリストの運動がないので、盛り上がらないのですね。庶民層では既に許容する風潮になっているので、時間の問題だと思いますよ。受け入れない人は保守派というより明治の革新派の子孫なわけです。男女別姓も同じで、江戸時代まで、別姓もしくは女性には姓がない状態だったところから、欧米のファミリーネームを受け入れて作られた戸籍にこだわっているのが 非常に面白いところです。

投稿: basara10 | 2023年3月 6日 03:29

basara10 さん:

>受け入れない人は保守派というより明治の革新派の子孫なわけです。

それは言えてますね。

確かに江戸時代以前は同性愛にかなり寛容な文化でした。明治になる時期に「革新派」だった人たちの考えが、今に至って不自然までに硬直してしまっていると考えるのが自然ですね。

ここまで硬直するような必然性って決して強くなかったはずなのに、途中でいろいろあったせいで、妙にかたくなになってしまってますね。

あの人たちには、一度まともに『古事記』を読んでみろと言いたいほどです。

投稿: tak | 2023年3月 6日 09:40

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« このテーブルに 100万円出す人もいるんだろうけど | トップページ | 花粉飛散量の増加と「免疫系の蘇り」 »