「使る」という言葉(ラ行五段活用動詞)はあった!
先月 4日の「このテーブルに 100万円出す人もいるんだろうけど」という記事で、Japaaan の記事の「日本伝統の寺社建築技術で使られた応接テーブル」というタイトルにある「使られた」という言葉にイチャモンを付けた。読んで覚えておられる方もおいでだろう。
しかし、これは私のチョンボだったと判明してしまった。 私は「使られた」なんて日本語はないと書いたのだが、よく調べてみると最近はあまり使われなくなったものの、かつてかなり一般的な言葉だった時期があり、現在もその痕跡の如くあちこちで登場しているようなのだ。
このことが判明したきっかけは、試しに「使られた」という言葉をキーワードにしてググってみたところ、176,000件ものページがヒットしたことである(参照)。単純な間違いにしては多すぎると考えるのが自然だろう。
そこで「もしかして・・・」と思い、この言葉の原型と思われる「使る」で検索すると、130万件というとんでもない数のページがヒットしてしまう。この検索結果を見ればウソではないとわかるが、代表的なのは下の画像で示したページで、しっかり「長期に使る知識が身につきます」(参照)とある。
ここに至ってようやく「使る」を単純な間違いとして片付けるわけにいかないと気付き、ネット上の辞書サイト「コトバソク」に当たってみたところ、下で示したように、この言葉の解説がしっかりと見つかったわけだ(参照)。いやはや、ものはきちんと調べてみるものである。
「使る」というラ行五段活用動詞は、「使う」と「作る」を合わせた合成語であるという。とくに江戸時代後期から明治に至る頃まではかなり一般的だったらしく、二葉亭四迷や夏目漱石の小説にも登場しているではないか。これまでどうしてそれに気付かなかったのだろう。
というわけで、「使る」「使られた」というれっきとした日本語を知らずに、そんな言葉なんてないと軽はずみに断じていた無知を恥じるとともに、その不徳を深くお詫び申し上げつつ、ここにご報告する次第である。
【4月 2日 追記】
ええと、例年の如く、エイプリルフール・ネタです。文中の辞書サイトの名称でちゃんとネタバレしてあります(「コトバンク」じゃなく「コトバソク」としてあります)ので、よろしく。
一瞬にしろマジに受け止めそうになった方がいらしたとしたら、「お使れ様」でした。ただ、インターネットの世界で「使られた」とか「使る」とかいう妙な表記が実際にやたら多いというのは、掘り下げてみる価値があるかもしれませんね。
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コメント
毎年のように手の込みようが進化していますなあ!
投稿: らむね | 2023年4月 1日 21:53
今までとは力の入れようが違う傑作です。
嘘と見せかけて実は真実に迫っている。
これからは私も「使る」を人に教えてあげよう。
ただ一つタイピングミスがあります。
「コトバソク」でなく「コトバンク」だと思います。
投稿: ハマッコー | 2023年4月 2日 03:35
らむね さん:
恐縮でございます ^^;)
投稿: tak | 2023年4月 2日 11:20
ハマッコー さん:
過剰なまでのお褒めのコメント、ありがとうございます。
ただ、「追記」に書いたように、「コトバソク」は敢えて意図してのネタバレですので、よろしく (^o^)
投稿: tak | 2023年4月 2日 11:22
4月4日に拝読。
「コトバソク」の誤植?と手の込んだ画像を見て、記事の日付を確認。
今回は白旗🏳でした。
それまでまったく気づかず、調べてみようかと思った矢先でした。
ありがとうございました。
投稿: 乙痴庵 | 2023年4月 4日 13:07
乙痴庵 さん:
今回はかなりのスマッシュヒットでしたかね (^o^)
いろいろ考えてみた甲斐がありました。
投稿: tak | 2023年4月 4日 18:00