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2023年4月 2日

「使られた」「使る」について、少し深掘りしてみる

昨日のエイプリルフール・ネタにした「使られた」「使る」というミスタイプだが、検索してみるとその件数がやたらと多いことに驚く(参照 1参照 2)。「着る/切る、校正/構成」などのようなありがちな変換ミスというわけでもないのに、これってどういうことなんだろうと思ってしまうほどだ。

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試しに「つかる」とタイプして変換キーを叩いても、フツーは「漬かる/浸かる」にしかならないし、「つかられた」でも「浸かられた/漬かられた」という不自然な活用形しか出てこない。「使る/使られた」で確定するには、一度「使う/使われた」と変換した上で 1文字だけ打ち直すという面倒な操作が必要だ。

ということは、このような誤りが生じるのは、そうした面倒な操作がほとんど意識されないうちにされてしまうという、ちょっとだけ込み入ったシチュエーションでなければならないだろう。とりあえず、「日本の寺社建築技術で使られた応接テーブル」という文について考えてみよう。

この文はおそらく、初めは「日本の寺社建築技術を使って作られた応接テーブル」というようなものだったのだと思う。しかしこれではタイトルとして長すぎるということで、「日本の寺社建築技術で作られた応接テーブル」に縮めようとした。

ただ、縮める過程で「」を「」に変えたまではいいのだが、次に「使って」ではなく、「って作」の部分を削除してしまったので、結果として「使られた」が残ってしまった。この推理は多分当たっているんじゃなかろうか。

単に「作った」ということよりも、特殊な技術を「使った」ということの方に圧倒的なニュースバリューがあるので、「使」の文字を残したいという無意識の欲求が働いてしまったんだろうね。あぶない、あぶない。

作られた」の検索結果を見ると、多くはこのパターンのようだ。"SPCVD法で使られた低水素シリコン酸窒化物光ファイバ"。"「アイスの棒」2万6000本で使られたインドのアート作品“ などは、その典型である。

次に「使る」についてだが、上の画像の「長期にわたって使る知識が身につきます」というのは、初めは「〜使うことのできる」とかなんとか書いたのだろう。ところがそれでは長すぎると気付き、「使える」に縮めようとして、「」を付け加えないまま「うことのでき」を削除してしまったに違いない。

使る」の検索結果のほとんどは、このパターンのようだ。ちなみに「30本何度も使るシリコンと結束バンド日用雑貨」という Amazon のページや、「NV-HW352U3 [どちらか使~るKIT USB3.0]」というヨドバシのページなどは、混乱がもう一段深まっている感がある。

 [どちらか使~るKIT USB3.0]  の方はこうした商品名なのかなとも思ったが、念のため 価格.comAmazon のページで確認すると 「どちらか使え〜る」になってるので、やっぱり「使える」と入力した上で、「え」の部分に「〜」を上書きしちゃったんだろうね。

ただ、「どちらか使え〜る」というより「どちらも使え〜る」の方が、商品の特徴が正確に伝わる表現だと思うがなあ( 英語なら "either" というより "both" ね)。まあ、別にこちらに関わりのあるものじゃないから、いいけど。

いずれにしても、きちんと読み返していればこんな失敗はしなかっただろうにと悔やまれる。自分もよくよく気をつけなければならないと思ってしまったよ。

 

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