鹿児島弁の「へがふっど」が、わかってしまった
Twitter で 筋肉博士という人が「桜島の噴火予報アプリがあるって聴いたから入れたけど、何を書いてあるのかよくわからない」と tweet しておられる(参照)。「へがふっど」という名前のアプリのことのようだ。
で、なぜか申し訳ないみたいな気がしてしまうのだが、私ってば、この「へがふっど」の意味、なんと一発でフツーにわかってしまったのだよね。「灰が降るよ」ってことだろう。
庄内弁で同じことを言うと、「へぇふっぞ」で、より極めると、「ふぇ〜ふっぞ」となる。古い日本語では「はひふへほ」は「ふぁふぃふふぇふぉ」と発音され(参照 1、参照 2)、庄内弁にはその痕跡があるのだ。これだけみたら、我が庄内弁の方が鹿児島弁よりさらに難度が高そうな気がしてしまうじゃないか。
私は 20年近く前の 2004年 7月 16日に「鹿児島弁は本当にわからない」という記事を書いている。日本の大抵の方言ならなんとか理解できるが、鹿児島弁だけはさっぱりわからない(ただし、琉球の島言葉は別格)という内容だ。ところが、「へがふっど」はしっかりとわかってしまったのである。
柳田国男は『蝸牛考』という書の中で、「方言周圏論」という学説を唱えている。言葉というのは中央で新しい言葉が生まれ、古い言葉は周辺に残るので、同心円状に遠いところの言葉同士が共通する形になるという試論だ。
この論に基づけば、「灰」のことを「へ」あるいは「ふぇ〜」と言う地域が庄内と鹿児島という、都から遙か離れた所に存在するというのは、「なるほど、さもありなん」ということになるだろう。
さらに Nicheeee!というサイトには "鹿児島弁検定にも出る?「へ」3つの意味" という記事がある。3つの意味とは「屁」「灰」「蠅」なんだそうだが、これ、わが庄内でもまったく同じなのだ。ただ、庄内では「灰」は「あぐ」(「あく」の訛り)ということの方がやや多いかな。
もし再び鹿児島に行くことがあったら、その気でナマの鹿児島弁をじっくり聴いてみようと思う。案外わかったりするかもしれない。
ちなみに、庄内弁で「へぇふる」というと、「灰が降る」ということのほかに「おならをする」という意味にもなる。これ、鹿児島弁では「へをひる」というようだが、「ふる」と「ひる」も、似てるといえば似てるよね。
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