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2023年8月に作成された投稿

2023年8月31日

「ラーメン」と「柳麺/拉麺」についてのウンチク

東洋経済 ONLINE に近代食文化研究会さん による "ラーメンよく食べる人が知らない「漢字の歴史」” という、とてもおもしろい記事がある。「柳麺?拉麺? 昔はどの漢字が使われていたか」というサブタイトルが、その内容を表している。

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記事によれば東京にラーメンが定着するきっかけとなったのは、「1910年(明治43)年浅草に開業した広東料理店・来々軒」なんだそうだ。これが大好評だったため、他業種のそば屋や洋食店も、大正に入ってからラーメンをメニューに加えるようになったのだという。

來々軒の三代目主人、尾崎一郎氏によれば、広東人コックたちは当初から広東語で「ラーメン」と言っていたという。そして彼の所有している昭和初期のメニューには「らうめん」とあるらしい。

ただ当然ながら問題になるのは、その「ラーメン」が漢字でどう表記されていたかだが、それは「柳麺」なんだそうだ。記事にはエッセイストで画家の玉村豊男氏の『食の地平線』にある、明治 33年に横浜にやってきたという中国人の古老へのインタビューの中から次の言葉を引用している。

“その頃、中華ソバも、たしかにあった。”
“それはラオミンと呼ばれていた。”
“字で書けば、柳麺である。麺の姿が柳の枝に似ているから、そう呼ばれた。”

さらにそれだけでなく、玉村氏は次のような興味深いことも書かれている。

このラオミンは、広東のものである。中国麺食文化の中心である北京の麺が手で引っぱって延ばした “拉麺” であるのに対して、南方の “柳麺” は強い力で圧延してから包丁で細く切る

北方の北京発祥の「拉麺」は、広東の「柳麺」とは別物であり、今の我々の知る「ラーメン」のルーツは広東の「柳麺」の方だいうのだ。ところが記事には "戦後になると、柳麺にかわって、次第に「拉麺」「老麺」という表記が増えるようになります" とあり、その要因を次のように説明している。

拉麺=ラーメンの語源説をとなえ、世間に広めた1人が、1987年に『にっぽんラーメン物語』を著した小菅桂子です。

小菅は拉麺=ラーメン説の根拠となる戦前の資料や証言を提示しておらず、柳麺にはリユウミエンというルビを振っています。小菅は中国の標準語(マンダリン)の発音しか知らなかったようで、マンダリン発音でリユウミエンである柳麺は、ラーメンの語源ではないと考えたようです。

さらに現在の広東料理からはどういうわけか「柳麺」という料理が消えてしまっていることも、要因の一つであるとしている。現在では広東料理に詳しい人たちでさえ「柳麺」というものに心当たりがないため、「拉麺」表記の方が優勢になってしまったというわけだ。

近代食文化研究会さんは『お好み焼きの戦前史』という本のなかで、戦前の横浜中華街において柳麺を食べた人々の証言に基づき、日本のラーメンのルーツ、失われた広東料理・柳麺の在りし日の姿を再現しており、その冒頭部分(これだけでもかなりよくわかる)は、こちらで読むことができる。

 

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2023年8月30日

新宿のスナックの看板に、中国人が激怒しちゃった

@nifty ニュースに "新宿の飲食店、看板に「中国人へ 当店の食材は全て福島県産です」と記載 中国人激怒" という記事がある。新宿のスナックに掲げられた看板を見て「差別だ!」とマジ切れした中国人が、それを警察沙汰にまでした動画を Twitter にアップしたというものだ。

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上の画像(クリックで Twitter にリンクする)を見てもおわかりのように、この中国人のお兄さん、目が血走るほどストレートに怒りまくっていて、私なんかでさえ「スゴいなあ!」と思ってしまった。かなり一本気な性格なんだろう。

ニュースによれば、彼のこの tweet に対して中国のネットユーザーからは結構な賞賛の声があがっているという。しかし一方では少数ながら、「中国人が反対しているのだから中国人に向けて書くことのどこが問題なのだろう」との声もあるらしい。

ただこれ、マジに受け取りすぎるから頭に血が昇ったり、堅苦しすぎる反論をしてみたくなったりするんじゃあるまいか。私なんか、こんなのはブラック・ジョークとして受け取り、何ならもっと黒っぽいジョークで返せばいいぐらいに思ってしまうのだが。

ちなみに中国でも、「もし中国ならカメラは絶対没収されてるね」というコメントがあったらしい。これなんか中国的にはギリギリ鋭い切り返しで、彼の国にも結構クールなネット民がいるなと思ってしまった。まあ、実際はカメラというよりスマホで撮った動画なんだけどね。

最後に付け加えておくが、昨日の記事で触れた中国発の「嫌がらせ電話」みたいなやり方を、日本政府としては内心では喜んでいるような気がする。日本国内の海洋放出反対のまともな論調まで中国と一緒にされたり、かき消されたりする傾向が見えるからだ。

ヒステリックなだけとか、金儲けに利用するみたいなやり方は、まともな運動の足を引っ張る。

 

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2023年8月29日

中国人、国際電話代払ってまでかける「嫌がらせ電話」

原発処理水の海洋放出にからみ、中国から頻繁にかかってくる「嫌がらせ電話」(向こうは「抗議電話」と思ってるのだろうが)というのが、BBC ニュースにまで取り上げられている。「中国から嫌がらせ電話殺到、日本が対応要求 処理水放出めぐり」という記事だ。

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日本語の翻訳記事では大勢に準じて「嫌がらせ電話」となっているが、オリジナル記事の見出しは "Fukushima: Japan asks China to stop citizens making abusive calls" である。この "abusive calls" というのは「口汚い悪態電話」ぐらいの意味だから、英国的言い方ってのもかなり率直だよね。

東京電力はこの海洋放出に関し、付近の海水のトリチウム濃度は「検出限界値(1リットル当たり約 10ベクレル)を下回っている」としている。しかし昔から「反原発」の私としては(参照)、「だったらいいじゃん」などとは言わない。

日本のメディアの多くはあまり大きな声で触れないが、何しろこの海洋放出は「今後 30年にわたって継続」といいい、さらに「30年では終わらない」という見方(参照)にも、かなり説得力がある。長い間に何らかの複合的影響がないとは決して言い切れない。

それにしても実際に「嫌がらせ電話」を繰り返す中国人というのも、結構大変だろう。調べてみると、中国から日本の固定電話への国際電話料金は 1分で大体 50円ぐらいらしいから(参照)、調子に乗って 10件かけたら 500円、10日で 100件かけたら 5,000円になってしまう。

彼らが高い金を敢えて払ってまでこうした行為をするのは、日頃の「憂さ晴らし」的な感覚もあるに違いない。実際、テレ朝が電話した中国人に電話して取材すると、こんな電話をするメリットは「自分の気がすっきりする」ことだと答えている(参照)。

ただ、そのうち電話代の請求書を見て馬鹿馬鹿しくなるだろうから、長くは続かないとみていいだろう。

【同日 追記】

この件に関して PRESIDENT Online に "日本への「嫌がらせ電話」はカネになる…中国人の若者の間で「SNS 反日デモ」が大流行している理由" という記事が掲載された。「カネになる」というのは、こういうことであるらしい。

彼らは迷惑電話をかける動画を SNS に投稿し、そこで広告収入を得て、自分の利益を増やしたいと考えている。SNS で人気が出て閲覧数が増えれば、すぐに収入に結びつく。そのため、こうした行動に出ているのだ。

なるほど、確固とした思想背景があるわけじゃなくて「カネ目当て」に過ぎず、当面は国際電話代以上の収入が見込めるというわけだね。志(ココロザシ)が低いなあ。

 

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2023年8月28日

飲酒運転の危険を実感する、福岡の動画ニュース 3本

動画コンテンツのサイト、テレQ に「飲酒運転の怖さを記者が体験 福岡県警主催の飲酒運転体験会」という記事がある。福岡県警の主催により、警官立ち合いの上で女性アナウンサーがビール2本とハイボール1本を飲み、自動車教習所のコースで飲酒運転を体験してみるというものだ。

登場する女子アナは実際にこれだけの酒を飲むと「顔は紅いと思うんですけど、酔っている感覚はない」と豪語するものの、実際にクルマを運転すると見るからに危なっかしい。発車直後に 3本のコーンを倒したことに気付かず突き進むし、明らかなジグザグ運転で、どう見てもまともじゃない。

さらにクランクではあっという間に脱輪し、あまつさえ教官に「ブレーキを踏んでいる感覚だったんでしょうが、ずっとアクセルを踏んでいたので私がずっと止めてました」と指摘される始末。これでは「運転したのがそもそもの間違い」と言うほかない。

ちなみにネットでは「この女性アナウンサー、元々運転下手過ぎなのでは?」という声が上がったらしい。そこで決してそういうわけでもないことを示すためか、ご丁寧なことに普段は上手に運転できる男性アナウンサーでも、やっぱりダメだったというパターンまである(FBS 福岡放送)。下の動画がそれだ。

とにかく酒を飲んだ直後の運転は、「危険極まりない」ということだ。「俺は酒は強いから大丈夫」なんて言っても、どこかで神経の行き届かない部分が発生するから、決して運転しちゃいけない。

さらに下のビデオは酒を飲んでから 1時間の仮眠を取った後の運転だが、やっぱり危なすぎる。

実際問題としては、酒を飲んだ翌朝の運転も危ないので避ける方がよさそうだ。私はその昔、毎晩酒を飲んで翌朝は通勤のため運転していたが、ほとんどの場合 7〜8時間以上経っていたとはいえ、実は結構な冒険だったのだね。事故も起こさず生き延びられたというのは、幸運以外の何ものでもない。

ちなみに最近はほとんど酒を飲まなくなってしまったので、安心と言えば安心だが、酒を嗜まれる方はくれぐれも注意していただきたい。

福岡県で県警が主導してまでこうした企画が実施されたのは、17年前の海の中道大橋飲酒運転事故」を教訓化するためのようだ。これは時速約 100キロの飲酒運転の車に追突されて海に転落した車に乗っていた 1~4歳の 3児が死亡したという痛ましいものである。

飲酒運転での事故は「自爆」ばかりでなく他人を巻き込むことが少なくないので、単なる「自己責任」だけでは済まないということをしっかりと認識しなければならない。

 

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2023年8月27日

夏痩せ、夏負け、夏バテ、暑さ疲れ、熱中症 などなど

ふと気付いたのだが、最近「夏負け」という言葉をあまり聞かなくなった。代わって多用されるのが「夏バテ」という言葉で、こちらの方がよりインパクトがある。「バ」という破裂音の効果だろうか。

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夏負け」というのは昔からある言葉で、かの平賀源内が鰻屋のセールス・プロモーション用に「土用の丑の日うなぎの日 食すれば夏負けすることなし」というキャッチフレーズを考案したという説がよく知られる。少なくともこの言葉、江戸時代には一般的だったということだ。

さらにずっと遡ると、『万葉集』に大伴家持の歌で「石麻呂に吾れもの申す夏痩せによしといふものぞむなぎとり召せ」というのがある。夏痩せには「むなぎ」(「うなぎ」の古語)がいいから、「とり召せ」(摂りなさい)と言っているわけだ、奈良盆地の夏は昔から痩せるほど暑かったのだね。

というわけで、巷間もっともらしく言われる「暑い夏にウナギを食べるのは、平賀源内以後の風習」というのは、「アヤシい以上」のこととわかる。何事も検証というのは不可欠(参照)だ。

ついでに言えば、昔の義務教育では(今はどうだか知らない)『万葉集』の再評価は明治以後のことで、それ以前は忘れ去られていたみたいに言われていたが、江戸時代でもインテリたちは万葉の主な歌ぐらいは知っていたようなのだ。寛永年間に「寛永本」という写本が流布されていたようだし(参照)。

時代はずっと下って「夏バテ」という言葉が登場したのは、養命酒製造の月刊「元気通信」の「夏バテの雑学」(2014年 9月号)によれば「昭和 30年代の高度成長期の頃」であるらしい。昔は「バテる」なんて言葉はなかったから、比較的新しい言い方というのは間違いない(参照)。

しかし昭和 30年代なら、「夏バテ」と言ってもまだまだ生やさしかったような気がする。それからさらに半世紀以上経った今夏は、より具体的な表現として「暑さ疲れ」というのをよく聞くようになった。先日もラジオ・パーソナリティが「もう、『暑さ疲れ』も限界」なんて言っていたし。

体に蓄積した「ぐったりするような疲労感」をシリアスに表現する言葉として、かなりの実感がこもっている。そしてこれがさらに即物的・具体的になると、「熱中症」ということになり、こうなると洒落にならない。そしてこの夏は私の周囲でも、熱中症になってしまったという人がかなり多い。

かく言う私自身も 6月 17日付で ”熱中症」ってやつになりかけたかも” という記事を書いたが、後で思い返すと、あれは「なりかけた」どころか、既に「熱中症そのもの」だったようだ。ひどいだるさと眠気から回復するのに 3日かかり、その後もしばらく本調子には戻れなかったのを覚えている。

いずれにしても今年の暑さは 9月末までは続きそうというのだから、あと 1ヶ月、くれぐれも体調に気を付けて乗り切らなければ。

 

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2023年8月26日

「残暑見舞い」に八つ当たり

友人から「残暑見舞い」のメールが届いた。ありがたいことはありがたいが、一方では悪いけど複雑な気分になってしまった。「このクソ暑さ、『残暑』なんて言うようなもんじゃないだろうよ!」ってことだ。

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最近、ラジオで気象予報士が「今の暑さ、とても『残暑』というレベルじゃありません。まだまだ『酷暑』が続きますから、体調には充分にご注意を」と言っていた。そんなこともあり、今年に限っては(本当に今年に限られればいいのだが)「残暑」という言葉にはちょっとしたリスクがある。

旧盆の前に出すのは「暑中見舞い」で、それを過ぎたら「残暑見舞い」というのは、日本の美しき伝統だが、今年の暑さではその常識が通じない。それほど常識外れの暑さということなんだろう。

8月も下旬になったら少しは涼しい風が吹き始め、「行く夏を惜しむ」なんて風情になるのが、多くの人の心の中にある季節感だろう。ところが今年は「惜しむ」なんて気持ちは微塵も起こらず、「もういいから、さっさと秋になってくれ!」と願うばかりである。こんなことは生まれて初めてだ。

というわけで、今日は下手なシャレ入りの暑苦しい都々逸をひとつ。

🎵 盆は過ぎても暑すぎざんしょ 残暑見舞いに八つ当たり

お粗末でした。

 

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2023年8月25日

PL とか BS とかいう言葉に疎くなってしまった

どん さんという方の tweet が話題だ(参照)。両親が健在なのに祖父母の養子になっている男性との結婚を考えていると告白する娘に、父と母は即座に「結婚しなさい」と勧めるというものだ。

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このわけは、次に続く tweet で説明してあり、両親が健在なのに戸籍上は祖父母の養子になってるというのは、相続税節約のために養子縁組をするほど資産がある証拠というのだ(参照)。要するに、この父と母は言わば「資産目当て」で結婚を強く勧めているようなのだ。いやはや。

これにはさらに次のような会話が続く。

母「私がいつも言ってることは何!?」
娘「結婚は PL より BS!!」

これには、「それ、何のこと?」と思ってしまった。PL だの BS だの言われても、"please" の省略形と放送衛星しか思い浮かばないので、ググってみてようやくわかった。

PL: Profit and Loss Statement(損益計算書)
BS: Balance Sheet(貸借対照表)

回答に辿り着いてみれば、「なんだ、これなら知ってた!」という結果である。記者時代に様々な企業の決算発表記者会見に出たし、外国向けに翻訳だってしたからね。

近頃はこうした現場を離れて久しいので、トンと疎くなってしまったようだ。それに昔は ”PL” は ”P/L” と書いていたような気がするし。

視点はちょっと変わるが、私は 5年近く前の " 「夫婦別姓」 は、保守派にもメリットがあるだろうに" という記事で「親子別姓」のケースについて触れている。今はどうだか知らないが、昭和の昔は親と子の苗字が別ということがそれほど珍しくなかった。

それは一人娘が結婚して姓が変わってしまったために、「家督相続」する者がいなくなり、どうしても「家」というものを継続させたいがために、生まれてきた子の 1人を母親の両親の養子として縁組してしまい、それによって母方の「家」を継がせるというものだ。

私の知ってるケースでは、母親の実家が特筆するほどの資産家というわけでもないみたいで、単に「家を継がせて、墓守を確保しておきたい」というだけのようだったがなあ。こんな場合には玉の輿を期待して結婚したはいいが、実情を知ったらコケてしまうだろう。

ちなみに、どん さんの少し後の tweet には次のようにあって(参照)、とても救われる。

両親が結婚するとき父はマックのアルバイトだったらしく、それを知って「不安はなかったの?」と母に聞くと『お父さんは絶対に家族の為に頑張る人だって思ってたからこれっぽっちも不安なんてなかったよ』と言ってた。

というわけで、めでたし、めでたし。

 

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2023年8月24日

夏の川柳: 牛食ってヒトに食われるヒグマかな

あの東京スポーツが【駆除された〝忍者ヒグマ〟「OSO 18」 東京のジビエ店で「炭火焼」になっていた!】と伝えている。同様のニュースは複数の媒体で伝えられているが、ググってみたところでは東スポの掲載が一番早い。さらに YouTube にもしているのだから、さすが東スポである。 

東スポが取材したのは、東京・人形町のジビエ料理専門店「あまからくまから」で、店主の林さんによれば次のようなことだったようだ。

林さんによると、店が営業中だった 21日夜、取引先の北海道・白糠町のジビエ業者から「林さん! この前送ったクマ肉だけど、あれ ”OSO 18” だったことが分かったんだ」と連絡を受けたという。

この連絡を受けたのはその肉を客に提供したばかりのタイミングだったので、恐る恐る打ち明けると、客は「うまい!」と喜んだという。これ食った客は、話のネタに一生困らないよね。

ただし残った肉は今、提供をストップしているという。アイヌの知り合いに頼んで、相応の儀式によって「お祓い」してもらう予定ということだ。

なかなかいい話である。肉食を止めて久しい私だが、この記事を読んだ瞬間は不覚にも「お祓いした肉のご相伴に・・・」なんて、ちょっとそそられてしまったよ。

最後に川柳を一句: 牛食ってヒトに食われるヒグマかな

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2023年8月23日

「スニーカーブーム」とやらが、終わったのだそうだ

Note というサイトに「世間のスニーカーブームがいきなり終わってしまったのですが」という記事がある。私はそんなブームがあったなんてちっとも知らなかったが、妻は知っていて「どうもそうらしいわね」なんて言っていた。油断も隙もない。

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筆者の伊藤聡氏は、このブームは 2014年頃の本格化以来右肩上がりだったとして、次のように書いている。

約 8年から 9年のあいだ、人びとはスニーカーの争奪戦に明け暮れ、寝ても覚めてもスニーカーに夢中であった。レア製品の転売額は、二次流通市場で元値の40倍、50倍に跳ね上がり、ファンはスニーカーに途方もない額を注ぎ込んだ。

いやはや、そんなことがあったとはまったく知らなかった。「二次流通市場で元値の40倍、50倍に跳ね上がり」とあるから、仮に元値が 1万円ぐらいだったとしたら、40〜50万円にもなっちゃうじゃないか。

私はスニーカーを 2足持っているが、どちらも 3,000〜4,000円ぐらいで買ったように記憶していて、それで充分履きやすい。しかし試しに「スニーカー 価格」でググって見ると、1万円以上のものがザラにあって、高いものだと 3万円以上の値段がついている。

ということは、ブームの頃だったら 3万円のスニーカーが 120万円以上で転売されていたというのだろうか? そりゃ一体、どこの世界の話なのだ。

しかし今、その熱狂的なブームは終わってしまい、スニーカーショップは軒並み閉店しているのだという。それについて記事には次のようにある。

この半年ちょっとのあいだに何が起こったのか、当のスニーカー業界関係者(ショップの経営者、従業員、メディアの編集者等)ですら理由がわからず、なぜだろうと首をひねっているような状態だ。

当事者たちはブームの終わった理由がわからず、「なぜだろうと首をひねっている」というのだが、部外者から見れば逆に「そんな妙なブームが、なぜ始まったのだろう」と首をひねりたくなる。そしてこの部外者の感覚の方が、世の中のフツーと言っていいんじゃなかろうか。

まあ、世の中にはいろいろな「ブーム」というのがあったし、これからもいろいろ発生し続けるだろう。そして確実に言えるのは、「ブームと呼ばれる現象は必ず終焉を迎える」ということだ。何もスニーカーに限ったことじゃなく、始まりと終わりがあるから「ブーム」なのである。

そしてそのブームが極端化していればいるほど、終わり方も極端になる。今回の「スニーカーブーム」というのも、そんなもんなのだろうね。それでメシを食っていた人たちには気の毒だけど、何事も浮かれ過ぎちゃいけないってことだ。

そして逆の見方をすれば、自分の好きなことを終わらせたくなかったら、ブームになんかしないで目立たずコツコツ着実にやることだ。

 

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2023年8月22日

「最高の電源タップ」使用感の報告

今年 2月 17日の「"最高の電源タップ" というのが紹介されている」という記事で、サンワサプライの 10個口の電源タップ(TAP-SP2110-1)を Amazon に発注したことまでは書いたが、その後の報告をすっかり忘れていた。そこで半年以上も経ってからで恐縮だが、今さらながら使用感の報告をさせていただく。

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下の写真が私の使用状況だ。いわゆる「パソコン・デスク」の左奥のスチール・フレームにマグネットで縦に固定し、10個の口を全て使っている。

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つながっている電源プラグと AC アダプターは、以下の通り。

前面は上から、ルーター、メインマシンとして使っている iMac、サブマシンの MacBook、デスクの照明、補助用の電源コード(普段は空の補助コード)、側面は上から ONU、USB コンセント(4個口、iPhone などの充電用)、カメラ用充電チャージャー、プリンター、ラジオ。以上 10回線。

ご覧の通り、10個の口が前面と側面に分けて配列されており、その間隔も充分なので、いろいろな形と大きさのプラグやアダプターを 10個、余裕でセットできている。デスクまわりの電源接続を 1箇所に見やすく集中できるので、かなり便利だ。

10個も繋ぐと、どれがどれだかわからなくなってしまうので、一応タックシールを貼り付けて何のコードかを表示してある。側面下から 2番目のプリンターのプラグだけはタックシールが剥がれてしまっているが、「剥がれているのはプリンター」と認識しているので、一応問題ない。

一見すると電源コードのウジャウジャがウザいが、実際の配置では Mac の本体とすぐ隣のシェルフ及びそれにマグネットでくっついたペン立てで隠されるので、ほとんど気にならない。こんな感じね(私のデスク廻り、本邦初公開)。

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この電源タップ、マグネットで固定してあるのだが、強度が充分なので多少手荒く扱っても外れて落ちたことは一度もない。この信頼感もありがたい。

また一番下の電源スイッチだが、取り付け位置がデスクの一番奥で容易には手が届かないので、不用意に触れて電源を切ってしまうということもない。そして、インターネット接続がおかしくなった場合、電源スイッチというものがない ONU とルーターの再起動に重宝する(Mac を停止しておく必要があるが)。

というわけで、使用感には満足している・・・ というか、使用感ということすら意識したことがない。それで報告記事も書き忘れていたぐらいなのだから、要するに「不都合がない」ってことだ。「最高」かどうかはわからないが、「非常に満足」と言っていいのだろう。

以上、報告まで。

 

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2023年8月21日

ウィンドウを閉じる際の「×」ボタンというもの

Gigazine に "ウィンドウを閉じる「×」ボタンはいつから使われるようになったのか?" という記事がある。Windows PC だけでなく Mac でもウィンドウを閉じる時には「×」ボタンをクリックするのだが、どうしてこうなったのかというのは、私もかねてから不思議に思っていた。

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これ、元記事は Medium.com の "X to Close The origins of the use of [x] in UI design" という記事である。見ればわかるように、タイトルは「×」の代わりにアルファベットの ”X” がを使っている。英語では「×」印は「記号」というより「画像」なので、テキスト化できないのだね。

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日本語では「〇×式」なんて言葉があるように、「〇」と「×」は「正・誤」的な概念を意味する記号として認知されているが、欧米ではむしろ見た目の感覚から、「〇: ポワンと広がった空っぽ」「×: そのものズバリの的中」みたいな感覚のようなのだ。

ATTEND のサイトの「英語サイトで気を付けておきたい記号【〇×-】」というページには次のようにある。

よく聞く話でゲームのコントローラに使われる「〇」「×」
日本では「〇」は決定、「×」はキャンセルのボタンとして使われますが、欧米では逆で「〇」がキャンセル、「×」が決定ボタンとして割り当てられています。

というわけで、Windows や Mac でウィンドウを閉じる際に「×」ボタンをクリックするというのは、かなり異例のことなのだ。

Windows で「×」ボタンが登場したのは、Windows 95 からだったという。つまり 1995年以前はそうじゃなかったわけで、そう言えば、私が初めて購入した PC の OS は Windows 3.1 だったが、下のようなインターフェイスで、「×」ボタンではなく「ー」ボタンでウィンドウを閉じていた。

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何だか懐かしい感じがしてしまうが、これって「ー(マイナス)」で開いてるウィンドウを減らすってイメージだったんだろう。さらに Mac で「×」ボタンが登場したのは、1999年の OS X 以降なのだという。意外なことに、この点では Mac の方が後追いだったのだ(「追記」参照)。

そして「×」ボタンでウィンドウを閉じることにしたシステムの元祖は、この記事によると 「1985年に Atari が発売した Atari ST シリーズ向けのOSである Atari TOS なのだという。

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これはについては「Atari が日本文化を借用した一例かもしれない」と言われているらしく、記事には次のようにある。

Atari という社名自体は囲碁の日本棋院初段者である創設者のノーラン・ブッシュネルが囲碁用語から取ったとされており、「×」=「閉じる」という概念もまた日本の価値観に由来している可能性がある

私は「×」ボタンで閉じるということに前々から「ここだけ何だか和風っぽいよなあ」と感じていたのだが、その感覚はどうやら「当たり」だったようなのだ。日本文化は PC の世界の意外なところに入り込んでいたのだね。

【追記】

Mac の場合は、通常は赤・黄・緑のボタンだけだが、カーソルを近づけた時だけ「×」印などが表示される。「後追い」の分だけ、ビミョーに凝って芸が細かいよね。

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2023年8月20日

維新の会のダサ過ぎるマスコットキャラ

維新の会がマスコットキャラを作ったとかいうニュースで、例の「いしんのしし(維新の志士)」というのを見た時、「いくら何でもダサ過ぎ!」としか思われなかった。そしてさらに龍氏さんという方の tweet (参照)のおかげで、その「ダサ過ぎ」の明確な理由も明らかになった。

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彼の tweet には党のマスコットキャラが『いしんのしし(維新の志士)』とかいうのに、新選組のだんだら模様の羽織を着ている。歴史への理解も敬意も一切ない」とある。なるほどその通りで、まさに「ほんまや…」である。

新選組といえば幕末の佐幕派、つまり保守勢力で、「維新」を目指す尊皇攘夷派の志士たちを弾圧していたのだから、このマスコットキャラ、トンチンカンにもほどがある。というわけでこれはかなり「お恥ずかしい」ことで、「歴史への理解も敬意も一切ない」と一刀両断にされるのも当然だ。

ちなみに、その新選組の羽織デザインの元はといえば、それは「忠臣蔵」だったらしい。ググってみるとそう指摘するページは数多くあるので、信用してもいいだろう。

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ただ、この羽織は目立ち過ぎるために新選組隊員には不評で、結成後 1〜2年で誰も着なくなったという。ちょっとダサいイメージだったのだね。

ちなみに Japaaan の "隊員たちからは不評だった? 新撰組の羽織の模様は実は「忠臣蔵」の浪士たちのオマージュ" という記事の、次の記述は問題だ。

そもそも地色になっている浅葱色は、武士が切腹するときに着用する裃の色で、そこには常に死を意識して尊王攘夷に邁進するという彼らの覚悟が込められています。

この「尊王攘夷に邁進する」というのは「おい、そりゃ真逆だろ!」と言わざるをえない。もしかしたらこの「新選組は尊皇攘夷」というのは「日本人のよくある誤解」の一つなのかもしれないとまで思ってしまうほどだが、維新の会までそう誤解しているとしたら、どえらい問題だ。

悪いことは言わないから、このマスコットキャラも新選組の羽織の例に倣い、1〜2年経たないうちに誰も使わなくしてしまう方がいいだろう。ただ「実は保守勢力」というのは、実態をよく現していると言えないこともないが。

 

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2023年8月19日

警察って、人身事故でも物損事故として処理したがる

8歳の男の子が車にはねられて眼底骨折するという明らかな人身事故を、長野県の上田署の係長が物損事故として処理したがっていたというニュースが、信濃毎日新聞で報じられている(参照)。警察に従っていたら、後に後遺症が出たりしても必要な手続きができないところだったじゃないか。

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詳しい話は参照先のニュースを読めばわかるが、係長は現場検証の際に「こんな現場検証に時間をかける必要はない」といった趣旨の発言をして、それを男の子の父親にメモされている。そしてはねられた男の子が病院に運ばれていたことをちゃんと理解していたのに、物損事故として処理したがった。

それに驚いて警察署に出向いた母親に、係長は重ねて「物損事故でもよいのではないか」と言ったというのだから、よほど人身事故扱いにしたくなかったのだろう。これについては後日、同署の伴野達也副署長副所長が、次のように取材に応じている。

「係長はけがを知った上で、物損事故として処理してもよいのではないかと発言した」と認めた。理由については「(加害者が被害者の)近所だったから」と説明。「そうだとしても、物損事故として扱うことは許されない」と付け加えた。

「(加害者が被害者の)近所だったから」という理由は、はっきり言って理解できない。警察が当事者同士の近所付き合いの心配をするなんて、余計なお世話である。

記事中では塩入一清次長が「一概に、人身事故より物損事故の方が業務負担が軽いとは言い切れない」と述べている。しかし私の印象では、警察って、人身事故扱いだと手続きが面倒なので、できるだけ物損事故として簡単に処理したがる傾向があるんじゃないかという気がしている。

というのは、私自身もかなり昔(多分 40年以上前)に、バックしてきたタクシーにぶつけられて肘を痛めたことがあるのだが、近くの派出所から駆けつけた警察に物損事故として処理されたことがあるからだ。

記憶を辿ると、警察に「病院に行くか?」と聞かれ、「骨は折れてないようなので、自分で湿布して治す」と答えたところ、「じゃあ、物損事故として処理する」ということになったのだった。「人身事故にすると、後で呼び出されたりして面倒になることがあるから」と言うのである。

後になってタクシー会社から菓子折と何千円だか入った封筒が届いたので、湿布代は持ち出しならずに済んだが、かなりモヤモヤとした印象が残った。今回のケースでも警察は当事者同士の穏便な処理を期待したのかも知れないが、もし加害者の方に誠意がなかっりしたら、悲惨なことになる。

いずれにしても病院に運ばれて「眼底骨折」という診断まで出ているのだから、「人身事故」として処理するしかなかっただろうにね。

 

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2023年8月18日

「ひやむぎ」と「そうめん」と、「気分の問題」

Livedoor News に【ひやむぎの「ピンク麺」「緑麺」 “手作業”で混ぜる理由は? 「揖保乃糸」販売元に聞いてみた】という、ちょっとだけ興味深い記事がある。結論は要するに、"「色付きの麺が入っているのはひやむぎですよ」と、お客さまに提示するため" なんだそうだ。

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私としても昔から、「色付き麺が入ってたらそれはひやむぎ」と思ってきたので、間違いはなかったわけだ。しかしそれはそれとして、さらなる疑問が残る。「ひやむぎから色付き麺を取り除いたら、とりもなおさずそうめんになっちゃうの?」ってことだ。

試しに「ひやむぎ そうめん 違い」でググって見ると、結構多くのページがヒットした。どれも同じような説明なので、いろいろくどくど書いてあることを要約すると、こんな具合になる。

  • 機械製麺の場合は JAS(日本農林規格)規格に沿い、太さがそうめんは直径 1.3mm未満で、ひやむぎは 1.3mm〜1.7mm未満。ひやむぎの方がやや太いが、その差はせいぜい 1mm の半分以下で、要するに両方とも「いわゆるうどんより、ずっと細い」ってだけのこと。

  • 機械を使わない手延べ製法の場合は、直径 1.7mm未満まで引き延ばせば「手延べそうめん」と「手延べひやむぎ」のどちらでも表示できる。つまり、本質的な違いなんてない。

  • そうめんは生地を細く引き伸ばして作るが、ひやむぎは薄く延ばした生地を細く切って作るという「建て前」があるらしい。つまり「伸ばす」か「切る」かの違い。

  • 原料は同じ小麦粉、水、塩だが、そうめんはそれに少量の油が加わる。ただし最近ではひやむぎにも油が加えられることがあるらしいので、違いがあるようでないようで、さっぱりわからん。

上の 3番目で触れた「生地を引き伸ばしたのがそうめんで、切ったのがひやむぎ」という「建て前」も実はアヤシい。我が家の買い置きの「そうめん」の断面をよく見ると四角っぽく、触った感触もカクカクしているので、引き延ばした生地を細く切ったとしか思われない。かなりいい加減な建て前みたいなのだ。

というわけで、いずれにしてもこれまで通り「色付き麺が入ってたらひやむぎ」と思ってさえいればいいようなのだね。これもまた、日本人の得意とする「気分の問題」でしかないようなので、そのあたりどうぞ

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2023年8月17日

実際の成果より「忙しそうに見せる」ことが重要な日本

「就活」をしたことがない(参照)私の仕事の出発点は、小さな広告代理店だったのだが、そこで社長に教えられたのは「常に忙しそうにパタパタしていれば、仕事は向こうからやってくる」ということだった。「余裕たっぷり」に見せちゃいけないんだそうで、まあ、一面の真理ではあるのだが。

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こんなような半世紀近く前の処世術が今でも堂々とまかり通っていることを、Gigazine の ”日本は「忙しそうに見せるだけの無駄な仕事」に時間を費やしている国トップ 3に入ることが Slack のレポートで発覚” という記事で知った。日本って、「忙しそうに振る舞うこと」が重要な国のようなのである。

ちなみにこの記事の見出しにある「忙しそうに見せるだけの無駄な仕事」というのは、"make it" というサイトの元記事では次のように書かれている(参照)。

Workers in Asia are spending the most time on “performative work” — in other words, focusing on appearing busy more than doing real, productive work

(アジアの労働者たちは実際的かつ生産的な仕事よりも「パフォーマンス的な仕事」、言い換えれば忙しそうに見えるよう専念することに、多くの時間を費やしている)

元記事の "performative work" というのは Gigazaine では「パフォーマティブな仕事」とそのまま書かれているが、私としては「パフォーマンス的な仕事」とする方が直感的に理解しやすいと思うので、そのように訳させてもらった。

で、その「パフォーマンス的な仕事」というのはどんなものかというと、元記事ではこんなこととされている。

Spending a lot of time in meetings where ‘teams present achievements’ rather than making decisions or addressing issues

(意思決定や問題への対処よりも、「チームの成果発表」の会議などに多くの時間を割くこと)

ただ、この程度ならまだ可愛らしいものだろう。実際場面では、どうでもいい仕事にもっともらしく時間をかけているだけなんてこともよく見られる。効率的にさっさと仕上げるより余計な時間をかける方が、いかにも仕事熱心みたいに見てもらえるというのは、日本のビジネス社会の「病気」だよね。

とまあ、こんなことだから日本という国はやたらと残業が好きな割に、実際の生産性が上がらないわけだ。私だったらダラダラと残業なんかしてるヤツより、定時に帰宅するヤツの方を評価するがなあ。

 

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2023年8月16日

江戸の昔と現代では「読み書き」の質が別次元

昨日の記事中、ちょっとした行きがかりで、昔の「袋とじ」和本のウニャウニャした草書と変体仮名は難物で、「英語を読む方がずっと楽」と書いた(参照)。ところが江戸時代の町人は寺子屋であの時代に即した「読み書き算盤」を習っていたから、そんなのを結構スラスラ読んでいたのである(参照)。

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上の画像は江戸時代の金々先生栄花夢』という黄表紙の一部である。庶民向けの絵本みたいな娯楽物なので、文字の分量はかなり少ないのだが、それでも変体仮名のオンパレードなので、現代日本人の大多数にとっては「辛うじてところどころ読める」ということになるだろう。

変体仮名は明治の頃までしっかり残っていて、あの島崎藤村の『夜明け前』自筆原稿の初っぱなは「木曽路すべて山の中である」と読まれがちだ。実は「を」に見えてしまうのは「」という漢字の草書体をもとにした変体仮名で、「は」と読む(参照)。

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蕎麦屋の暖簾なんかにもこの字があるよね(参照)。

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というわけで、いにしえの庶民の平均的日本語読解能力は結構なものだったのだ。現代の我々なんて、ナマの古文書に関しては落語に出てくる八っつぁん、熊さん程度と言っていい。

落語の世界では、その八っつぁん、熊さんが「字を読めない」ということで笑いの対象になっていたのだから、ということは、我々だって江戸の庶民たちに笑われてもしょうがない。下の動画の三遊亭竜楽の落語『手紙無筆』でも、前置きとマクラでその辺りのことがちょこっと語られている。

ちなみに、昔は「読み書きできない」ことを「無筆」と言った(参照)わけだが、この言葉、今ではほとんど通じない。字を読めない人がいなくなったので、言葉自体も使われなくなったからだ。もっとも、由緒ある変体仮名の文書を突きつけられたら、現代日本人のほとんどが「無筆」にほかならないのだが。

というわけで「読み書き」ということの質が、江戸の昔と現代とでは別次元になってしまっているのだね。

 

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2023年8月15日

「袋とじ」の意味が時代とともに変わったらしい

えな鳥 さんという方の tweet(参照)がきっかけで、最近は「袋とじ」というものの意味が違ってきていると知り、愕然としてしまった。私としても「袋とじ」と言ったら、下の写真の「和綴じ」のようにしてしまうだろう。

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えごん さんの tweet(あれ、今は tweet じゃなくて何て言うんだっけ? まあ、とりあえずいいか)はこんな感じ。

「契約書を全部袋とじにしといて」って言われたので国文学科で数々の袋とじ和書を見てきたワイは全部画像みたいにとじて持って行ったんだけど、ビジネス用語の「袋とじ」はなんか全然意味が違うらしくて上司がキャーって悲鳴あげてて面白い

今のビジネス文書の世界で「袋とじ」と言ったら、バックオフィス進化論というサイトによればこんな風になるらしい(参照)。各ページは真ん中から二つ折りなんてことはせずにそのままホッチキスで綴じ、出来上がりの左端を別に作った背表紙で覆う。

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左端の背表紙部分が見ようによっては「袋」に見えるので、こう呼ばれるらしい。昨日話題にした「前向き駐車」といい、「世間の常識」と言われることでも知らないことって結構多いものである。

件の tweet では、「国文学科で数々の袋とじ和書を見てきたワイは・・・」とあるが、和書を見てきたキャリアでは学生時代に「歌舞伎」なんてものを研究していた私も引けを取らない。ちなみに江戸時代の和書というのは下のようなウニャウニャとした草書と変体仮名なので、英語を読む方がずっと楽だった。

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そして提出した修士論文も、当然ながら「和綴じ」である。棚の奥を引っかき回したら、古色蒼然としたカバー付き和綴じの論文が出てきた。ちなみにこのくらい分厚くなってしまうと、フツーのホッチキスで綴じることなんてできない。

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中身は 400字詰め原稿用紙の手書きの 2つ折りである。今どきは手書きで卒論や修士論文なんて提出する学生はいないだろうが、当時はワープロというものが世に出たばかりの頃で、日本初のワープロ、東芝の JW-10 は 630万円もしていた(参照)のだから、別世界の話だった。

いやはや、本当に時代は変わったものである。

 

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2023年8月14日

「前向き駐車」ってどっち向きに停めるのか、わかった

スーパーやファミレスの駐車場で「前向き駐車でお願いします」というような表示が掲げられていることがあるが、これって、どっち向きに停めればいいのか、ずっとわかっていなかった。周りを見回しても、みんなバラバラの向きで停めてあるし。

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先日、あるファミレスの駐車場に入ったら、上のような絵入りの表示がしてあった。この駐車場は周囲に植栽があって、そのせいで看板は見えにくいのだが、その植栽にフロントを向けて停めるように絵が添えられている。つまり、駐車スペースにフロントから突っ込んで停めろってことのようなのだ。

「前向き駐車」って、そういうことだったのか! クルマを降りて通路から全体を眺めれば、停めてあるクルマがみんな後ろから見えるので「後ろ向き駐車」みたいな気もするのだが、その感覚は間違いだったようだ。70歳を過ぎて初めて知った「世間の常識」である。

ところが念のため「前向き駐車 どっち向き」でググってみて、これは必ずしも「世間の常識」というほどのものではないらしいとわかり、妙な意味でちょっと安心した。「前向き駐車って、どっち向きで停めるのか」は、多くの人に理解されていないようなのだ(参照)。

この問題がわかりやすく説明されているのが、Lify.jp の "「前向き駐車」はどっち向きに停めるのが正解?" というページだった。モータージャーナリストの山田弘樹氏の書かれた文章で、「理由が推測できればわかること」として、次のようにある。

つまりスーパーマーケットなどの駐車場で「前向き駐車」をお願いしているのは、排気ガスが塀に掛かってすすけてしまったり、壁の後ろ側にある住宅やお店などに住む方々にマフラーからの排気音が向けられるのを、少し防ぐためですね。

ただ、山田氏自身もこれにはやや疑問をもっておいでのようで、続けて次のようにも書かれている。

ただクルマというのは、前から駐車するのが意外と難しいもの。
なぜならそこには「内輪差」が生じるからなんです。これがわからずに狭い駐車場でずーっと前後している方も、ときどきいますよね。

特に日本の駐車場は、スペース自体は広くても、一台分の枠まで大きく取っていることはなかなかないですから、たとえばアメリカのようにドーン!と前向き駐車しやすい環境ではありません。

というわけで、「前向き駐車」のために何度もハンドルを切り返しながら行ったり来たりする人が少なくないので、排気ガスや排気音は期待ほどには軽減されるわけでもないようなのだ。

要するに、これもまた「気分の問題」なのだね。

 

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2023年8月13日

山に行ってまで、人混みに揉まれたくはないがなあ

テレビ朝日が「富士山 吉田ルートで ”登山規制へ” ・・・ 基準二転三転で混乱も 軽装・弾丸の登山者も・・・」というニュースを伝えている。この登山規制は、既に 11日からスタートしているようだ。

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ニュースに出てくる上のような状況を見ると、 ”登山規制” もしょうがないかというほどの大混雑だ。私は山に行ってまでこんな人混みに揉まれるなんてことは、到底理解できないのだが。

このニュースによれば、山梨県側の「吉田ルート」の混雑がとくにひどいので、5合目から 8合目までのどこかで入山規制することもあるということのようだ。ところが実際問題としては、8合目あたりまで行ってからいきなり通行止めされてもどうしようもない。

そこで、ちゃんとした施設のある 5〜6合目で規制するようにという要望が出されていたというのだが、記者会見での県側の対応はやたらトロくてよくわからない。この制度は詳細が不明確なままで既にスタートしているわけで、かなり心許ない印象だ。

私がよく山に登っていた若い頃はほぼ単独行で、奥秩父、南アルプス、東北の、人が少ない山域をメイン・エリアとしていた。槍や穂高などの北アルプスもなかなか魅力的ではあるが、人が多いので敬遠していたのである。

東京住まい、東京都心勤務だった 30代までの頃は、「とにかく自然に触れたい」という意識で登山していたので、人の多い山域に行きたいとは思わなかった。だから私は、「山の混雑」というのを知らない。

今回の問題に関しても個人的には、わざわざこんな混雑する時期を選んで富士山になんか登らなければいいじゃないかと思うだけの話である。それでも敢えてやって来たというなら、後は何があっても自己責任だから、知ったことじゃない。

とはいえ、まともな情報もなく軽装にサンダル履きで富士山に登るなんていう信じられない人もいる。最初に紹介したニュース映像にも出てくる(中国人のようだ)が、こんなような人が果たして自己責任を取れるのかと言い出す人もいるだろう。

私としては、富士山に登るために必要な情報を得るということも含めて「自己責任」だと思っているので、それもできないようなら本当にもう、知ったことじゃないと言うばかりだ。ただ、そう言って突き放すわけに行かない県や警察の当事者は、気の毒な限りである。

 

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2023年8月12日

台風 7号は、近畿直撃コースらしい

台風 7号は15日頃に紀伊半島から大阪近辺を直撃する可能性が強くなったようだ(参照)。関東、しかもその東端の茨城県住民としては正直言って少し気が楽になったものの、今日の午後 3時の最大瞬間風速が 60m/s という強い勢力なので、交通機関への影響はかなり大きくなるだろう。

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旧盆直前の三連休ということで帰省している人が多いわけだが、週明けには新幹線の「計画運休」もありそうというなら、明日から早々に Uターン・ラッシュが始まりそうだ。ただ、15日を中心に17日頃まで「お盆休み」という企業が多いので、逆に予定を延長して「故郷でのんびり」という人も少なくないだろう。

とは言いながら、台風に直撃されては「のんびり」というわけにもいかず、下手すると「避難指示」が出るなんてことになって、てんやわんやになる可能性だってある。ちょっとした「ギャンブル」で、今月初めの台風 6号(参照)といい、人騒がせな台風の連続となる。

そればかりでなく、太平洋遙か彼方で発生していたハリケーン DORA が、どんどん西に進んで東経域に入ってしまったため、台風 8号になってしまったというニュースまである(参照)。こちらの方は 16日頃には熱帯低気圧に変わる見込みで、日本への影響はほとんどないというからまだマシだが。

ハリケーンが台風になったというのは珍しい話で、5年振りらしい。とにかく今年の気象は油断がならない。

 

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2023年8月11日

テレビがなくても、ネットで NHK に金を取られる?

読売新聞が ”NHK のネット「必須業務」に格上げ方向、新聞協会「新たな費用負担に懸念” という記事を報じている。10日に開かれた総務省の作業部会が、NHK のネット業務を放送と並ぶ「必須業務」に格上げする方向性を確認したんだそうだ。

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これ、より端的に言うと、「テレビを持たない人にも費用を負担してもらうことを条件に地上波の番組を配信できるようにする」ということらしい。

現在の放送法では、テレビを持っている人が(NHK なんて視聴しなくても)受信料を払うことになっている。しかし今後はテレビがなくてもインターネットを活用する人が NHK に金を払うように、放送法を改正する方向にもっていくというのである。

しかし、それってひどい話じゃないか? いくつかの番組を「有料プログラム」と指定して料金を徴収するなら、まだ話はわかるが。

ただ実際には、次のような手続きが必要になると考えられているようで、少しは安心した。

テレビを持たない人の費用負担については、例えばスマートフォンでは、所有だけでは対象とならず、アプリをダウンロードし、必要な情報を入力するなど視聴意思が明確になった場合に対象とする。

そういうことなら、私はそんなアプリはダウンロードしないことに決めた。NHK のネット放送なんか見なくても何の不都合もないしね。そもそもウチはテレビはあるものの、NHK のテレビ放送を全然見てないのだから。

ちなみに私はこれまでこのブログで何度か、ネット上で閲覧できる NHK のニュースに基づいた記事を書いた(例えば これ とか これ とか これとか)が、今後はそうしたことも止めようと思う。こんな構想があると知ったからには、NHK ニュースをネタにするだけで夢見が悪いからね。

 

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2023年8月10日

最近のモロゾフの包装紙、唐草模様の風呂敷みたい

文明堂モロゾフは、仕事やお付き合いで訪問先への手土産が必要な時に、昔からかなり重宝してきた。文明堂のカステラか、モロゾフの洋菓子のどちらかさえ持っていけば、ちゃんと格好がつく。

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実は一昨日、そんなような関連で手土産を持参する必要が生じ、「今回はモロゾフで行こうかな」なんて心づもりで、地元のショッピングモール内の量販店に立ち寄った。しかしモロゾフの詰め合わせ商品の並ぶ棚の前に立って、「ありゃりゃりゃ・・・」となってしまったのである。

以前と包装紙が変わってしまったようで、緑地に白文字の ”MOROZOFF” がゴチャゴチャっと並ぶデザインになっている。白地にナチュラルカラーの文字というデザインは前からあったと記憶するが、この配色だと私なんかどうしても唐草模様の風呂敷を連想してしまうのだよね。

下の写真は東京キッチュのサイトにあるもの(参照)で、「布切れ一枚の大活躍。もう泥棒とは呼ばせません」というキャッチフレーズ付きだ。ただ、そんな風に訴求されてるってことは、やっぱり多くの人の心のどこかに、昭和のマンガでお馴染みのドジな泥棒のイメージ(参照)が存在してるってことだよね。

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それどころか私なんかさらに発展して、正月の獅子舞まで連想してしまったよ。下の写真は川添竹材商店という店の「民芸品 踊る獅子舞 大」という商品だが、かなりイメージが共通してしまうじゃないか。

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というわけで中身のチョコレートやゼリー菓子とのイメージ・ギャップが大きすぎて、「今回は文明堂のカステラにしとこう」と、方針転換をしてしまったのだった。モロゾフさん、ごめんね。

で、一消費者として心から進言申しあげたいのだが、あの緑の包装紙はどう見ても早めに変える方がいい。単体で見る限りはそれほどの違和感じゃないが、店頭に積み重ねられてるのを横から見ると、どうにも唐草模様みたいなのだよね。ちなみに前のデザインだったら、私も変に思いとどまったりしない。

ところで今回ふとした気紛れで関連事項を調べてみて初めて知ったのだが、「文明堂」の名を冠する企業って複数あり(参照)、どれも根っこは長崎の「文明堂総本店」のようなのだ。道理で長崎に行くと、「文明堂のカステラ」がやたら仰々しく売られてると思っていたよ。

【同日 追記】

そういえば、このブログの最近のタイトル画像にも、唐草模様を使っていたんだった。4つの和風伝統柄を組み合わせたデザインだが、こんな意匠の場合、やはり唐草模様は外せない。

 

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2023年8月 9日

Apple Watch のチャージャーが汚れると充電されない

今日の記事は Apple Watch を使ってない人には関係ないかもしれないが、まあ、他のデバイスでも共通する部分があるかもしれないので、ちょっとお付き合い願いたい。何かと言えば、「チャージャーの汚れはこまめに取り除こうね」という話である。

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私は、いや、私に限らず大抵の Apple Watch ユーザーは夜寝ている間に本体部分をチャージャー(上の写真の白くて丸いヤツ)に乗っけて充電するわけなのだが、最近、フル充電にしたと思って装着していた Apple Watch が昼前後にバッテリー切れになるというケースが何度か続いた。

「おかしいなあ、何がいけないんだ?」と不思議に思っていたのだが、ある晩、いつものように Apple Watch をチャージャーに乗っけた時、ちゃんと充電モードになっていないことに気付いた。「こりゃ、接触が悪かったかな?」と、いろいろ乗っけ直したところ、ようやく充電が開始されたのである。

それからは、毎晩慎重に充電モードを確認しながらビミョーな角度なんかにも気を付けながら乗っけるようになった。ところがそのうち、ちゃんと充電モードになっていることを確認しても、途中でそれが解除されることがあるのに気付いた。これじゃ、フル充電までいかないわけだ。

「どうも、チャージャーが壊れてしまったみたいだな」と諦め、Amazon で新品を買おうと思いつつ何気なくチャージャーの丸い部分を見ると、真ん中部分に結構な汚れがこびりついていることに気付いた。何年も掃除もせずに使い続けたので、だいぶゴミが堆積してしまったようなのである。

それで試しに、ウェット・ティッシュでゴシゴシ拭き取ってみたところ、Apple Watch を無造作にポンと乗っけただけで簡単に充電モードに入っちゃうじゃないか!

「何だ、付着した汚れが充電の邪魔をしていただけなのか!」

これで新品を買うための無駄な出費は避けることができたのだが、見れば一目瞭然の汚れに不肖私はずっと気付かず、無造作に使い続けてきてしまったのだね。そんなわけで、モノは大切に、きれいにしながら使うという当たり前のことを、改めて思い知らされたのだった。

 

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2023年8月 8日

私はデスクトップにファイルなんて置かないからね

Togetter に ”「整理する時間のほうが無駄」→知り合いの日本を代表するというプログラマーから見る「雑然としたデスクトップは天才の証」説”  という記事がある。添えられた画像は「妹のデスクトップが完全にADHDでトン引きしてる」という、アヤカ店長@限界博士さんの tweet だ。

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”ADHD” という言葉はお恥ずかしいことに知らなかったが、調べてみたところ「注意欠如・多動症」(Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)ということらしい(参照)。ふぅむ、私にはそんなご大層なことじゃなく、単なる「無精」にしか見えないがなあ。

ちなみに私の Mac のデスクトップはまったくきれいなことに、その日のブログに使う画像ファイルしか置いていない。というわけで、この記事を書いている現時点ではこんな感じである。

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一見してわかるように、この記事に使うための画像ファイル 2つしかない。で、この 2つの画像も記事をアップしてしまったら用がなくなるので、さっさとゴミ箱に捨ててしまう。

最初に紹介した記事には、こんなコメントがついている。

作業中はエディタやらChromeやら常に開いてるし、デスクトップは隙間からしか見えない😅見るものも決まってるし。

自分のデスクトップもぐちゃぐちゃやけど、どうせ見ないしほったらかし

これ、私には不思議な考え方だ。「デスクトップは(作業中画面の)隙間からしか見えない」「どうせ見ないしほったらかし」というが、どうせ見ないものなら置いとくだけ邪魔くさいし、馬鹿馬鹿しいんじゃなかろうか。

ちなみに私の「マイドキュメント」の中身は 30年も前からかなりきれいに整理されていて(当時はそうする意味が本当にあった)、あとは別にことさら手をかけなくても、この整理された状態がそのまま持続している。

私の場合、PC を使った作業の多く(多分 9割以上)は以前に作成したファイルのフォームを踏襲しての中身の更新だ。そのようにして作成したファイルはそのまま「名前を付けて保存」を選択すれば、自動的に同じフォルダ内に落ちつくことになり、面倒な「整理」なんて必要ない。

記事には「まじでデスクトップ整理することにメリットが全く無いのでデスクトップは整理整頓するという大前提を持ってる人の考えがわからん」というコメントまで付いている。しかし、そもそも私のデスクトップにはファイルが置かれてないのだから、デスクトップの「整理整頓」なんていう「大前提」もない。

私は逆に、デスクトップにファイルを置く人の考えがわからない。ファイルをデスクトップに置いたりしたら単純に邪魔くさいし、メモリも食っちゃうので処理速度も多少落ちるだろう。

単に雑然と保存すればいいというなら、保存先を敢えてデスクトップなんかに指定せずに、ごくフツーに「マイドキュメント」に放り込む方がまだマシなんじゃないかなあ。その方がデフォルトだから手数も少ないし、いくらファイルが増えてもスクロールして見ることができる。

 

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2023年8月 7日

「ムードフード」なんていうものがあるらしい

TBS が「熱中症対策にムードフード」というニュースを伝えている。「ムードフード」なんてものがあるとは、このニュースで初めて知った。

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Imidas のサイトで当たってみると、2008年 12月の日付で次のように書かれている(参照)。つまり 15年前ぐらいには新語として存在していたようだ。

気分を明るくする、あるいは落ち着かせる食べ物。抗酸化作用の強いフルーツは人を元気にし、シンプルな味つけの有機野菜の温サラダは鎮静作用があるとか。向精神薬(mood drug)と違って副作用の心配はない。

HiNative のサイトにも次のようにある(参照)から、和製英語ではなく、米国でもちゃんと通じる言葉らしい。

its the type of food that can change your mood. like chocolate can make you happy when you are sad.
(それは気分を変えられるような種類の食べ物です。哀しいときに食べるとハッピーになれるチョコレートのような)

単なる「気分の問題」というだけでなく、お茶やコーヒーなどは含まれる成分にリラックス効果があることがわかっていて、味噌汁、チョコレート、バナナなども同様だ(参照)。

このニュースでは、東京血管外科クリニック心臓血管外科医の榊原直樹医師が次のように述べている。

体温上昇が自律神経失調症をおこし、それが熱中症の引き金となります。熱中症(自律神経)を整えるためには、抗酸化作用のあるものを摂取することが重要ですので、例えば、カカオポリフェノールやバナナのようなものを食べられるのが一番よろしいかと思います。

なるほど、リラックス効果というのは自律神経を整える効果なのだろうから、チョコレートやバナナなどがいいというのもわかる。逆に言えば「モリモリ元気になっちゃう系」の食べ物(肉とか)は、暑苦しい夏場は避ける方がいいのだろうね。

 

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2023年8月 6日

水をめっちゃ飲んでも、熱中症になる時はなる

まいどなニュースに "「熱中症で救急搬送の人、だいたい水分はめっちゃ飲んでる!」医師が明かす「水分摂取」と同時に重要な「熱中症対策」は?" という記事がある。これ、今年の夏を乗り切るには重要な情報だ。

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熱中症対策として重要なのは「こまめな水分補給」と言われていいて、ラジオを聞いていてもしつこいほど「水分をしっかり摂りましょう」と呼びかけられる。しかし実は、それだけでは足りないんだそうだ。なにしろ熱中症で緊急搬送される人の多くは「水分はめっちゃ飲んでる」というのだから。

糖尿病内科医で、運動療法の専門家でもある Osaka さんは「水分摂取しても体が冷えないと熱中症になります。水分摂取が有効なのは脱水症です。ぜひ、身体も冷やしてくださいね!」と警鐘を鳴らす。2リットルの水を飲んでも体が熱せられて 2.5リットルの汗をかいたら、追っつかないというわけだ。

そういえば思い当たる。昨日の記事でも触れた 6月 17日の熱中症でも、私は暑い日向で廃材の焼却処分をしながら、片手に持ったペットボトルの水をグビグビ飲み、しっかり水分補給をしていたのだ。

ところがあまりの熱さに汗がダラダラ流れ、顔が滝になるほどの汗をかいていた。つまり、いくら水を飲んでもそれ以上の汗をかいていたので、結果としては熱中症になってしまった。

そもそも熱中症とは何かというと、『熱中症診療ガイドライン 2015』によれば「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称」なんだそうだ。つまり悪いのは「暑熱環境」である。

ということは、熱中症を避けるために最も大切なのは「体を冷やすこと」だ。「こまめな水分補給」のみを強調し過ぎると、「しっかり水を飲んでるから大丈夫」という見当違いをしてしまいがちだが、それよりもまず大切なのは、暑いところで無理しないことなのだね。

肝に銘じておこう。

 

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2023年8月 5日

今年の流行語大賞はもう、「危険な暑さ」で決まり!

気が早すぎるかも知れないが、年末に発表される流行語大賞は、もう「危険な暑さ」で決定だろうと思ってしまう。もしそうじゃなかったとしたも「熱中症」だろうし、いずれにしてもこの暑さ関連の言葉以外に思いつかない。

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今日は朝からこれまでにも増して暑いと思っていたが、ついに福島県伊達市・梁川で、今年初の 40.0℃ を記録したというニュースが流れた(参照)。全国ベースでも 39℃ 以上を記録した地点がかなり多くあったようだ。

単に数字上での最高気温だけなら、過去にもっと高い数字の出たことがあったが、今年の夏はずっと猛暑日が継続していて、瞬間風速的な数字じゃないので、地面の冷める隙がない。それだけに体にもかなりダメージが溜まっていて、まさに「危険な熱さ」以外の何ものでもない。

明日から甲子園夏の大会が始まるらしいが、今年はそれが驚くほど話題になっていない。たまに話になっても、「このクソ暑さの中で、よくやるよね」とか「選手が気の毒」みたいなことになり、勝敗に関しての興味は驚くほど薄いのだ。

昨日付の「和歌ログ」で、私は次のように書いている(参照)。

外出した帰りに家の玄関で鍵を開けようとすると、背後から強烈な陽射しをまともに浴びることになった。その時の感覚は、日に照らされているというより、何か熱い物を背後から押しつけられているようで、「後頭部が火傷しそう」と言っても大袈裟ではなかった。

本当に、日の当たるところに温度計を置いたら確実に 60℃ ぐらいになっていただろう。暴力的なまでの暑さである。これはもう「熱さ」と書く方がしっくりくるほどだ。

そういえば、2ヶ月近く前の 6月 17日には、自分自身が熱中症になってしまったんだった。この日のブログは ”「熱中症」ってやつになりかけたかも” なんてタイトルにしてあるが、後で考えれば、あれは確実に熱中症だった。

しっかり回復するまでの 3日間ほどは、日中でもとにかくやたら眠かったのを覚えている。この「眠気」というのが、熱中症の主要な症状の一つであるらしく、周囲の熱中症経験者も口を揃えて「ものすごく眠かった」と言っている。1週間以上眠くて堪らなかったという話まで聞いた。

とにかくこの夏は「無理しない」を合言葉に、そろりそろりと乗り切るしかないようなのである。

【9月 15日 追記】

昨夜、阪神タイガースの 18年ぶりのリーグ優勝が決まったのだそうで、世の中では「今年の流行語大賞は、岡田監督の "ARE(アレ)" で決まり!」と盛り上がっているようだ。うぅむ、「危険な暑さ」よりポジティブな言葉みたいなので、それでもいいかもしれない。

【12月 1日 追記】

今年の流行語大賞は、やっぱり「アレ」で決定したようだ(参照)。「危険な暑さ」なんて、全然お呼びじゃなかったようで、人間はいやなことって忘れてしまいたいのだね。

 

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2023年8月 4日

いやはや、人騒がせな台風だ

台風 6号は今月 2日(一昨日)あたりに沖縄に最接近したと報じられ、暴風雨で 2人が亡くなるなどの被害が出た。さらにそれだけでは済まず、通り過ぎてしばらく停滞していたのがにわかに Uターンして再接近し、明日には那覇の北をかすめて奄美直撃みたいなコースになるという(参照)。

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高気圧の影響とやらで動きがやたら遅く、その間も勢力を保ったままなので、かなり厄介だ。奄美大島を通過した後は、南太平洋上を東に去るというわけじゃなく、今度はご丁寧にも北上して九州、四国に向かうというじゃないか。まったく人騒がせな台風である。

昨日は那覇空港からの飛行機便運航が 3日ぶりに再開されたことを受け、早く東京や大阪などに帰らなければという人たちでチケット争奪戦が展開されたらしい(参照)。台風 Uターンでまた飛べなくなるのが確実なので、8時間並んでようやく東京行きチケットを入手できた家族の話が紹介されている。

「どうせ帰れないなら、もうしばらく沖縄でゆっくりしたら?」なんて言う人もいるだろうが、なにしろ台風で大荒れということなのだから、海に行ってリゾート気分なんてわけにもいかず、実家やホテルでおとなしくしているほかないので、ストレスが溜まるばかりだろう。まったくもって気の毒な限りである。

さらに沖縄、奄美を通過した後は九州、四国地域で油断がならない。九州南部では 5日から、北部でも 8日から暴風、大雨、高波への警戒が必要になるという。九州は最近、線状降水帯の大雨に襲われることが多いから、台風の大雨までは勘弁してもらいたいところだろう。

関東は直接の影響を受ける可能性は小さいようだが、それでも来週は雨が多くなるらしい。そのため 35℃ 以上の猛暑は一息つくものの、その代わり湿度が高くなるので、想像したくないような蒸し暑さになるだろう。いずれにしても、体は休まりそうにない。

で、よく考えてみれば今回の台風は「6号」ということで、まだ「一桁」なのである。今後少なくとも 10個以上の台風が発生するだろうから、まだまだ「序の口」と覚悟した方がいい。

とにかく、今年の夏はいろいろと大変な夏になりそうである。

 

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2023年8月 3日

ビッグモーターみたいな時代劇的企業って、あるよね

「ビッグモーター」なんていう中古車屋は今まで意識したこともなかったが、今日、所用でつくばから埼玉まで往復した道すがら、結構何軒もの店があることに気付いて驚いてしまった。どれも結構大規模な店構えなのだが、見たところ閑散として、モロにヒマそうだった。

この中古車屋、顧客の不利益につながるものまで含め、数々の不祥事が広く知られるようになってしまったことで、売り上げはかなり落ちてしまうだろう。もしかしたら、企業存亡の危機になるかもしれない。

FNN の報じる "長男・宏一前副社長に大声あいさつ 動画入手「走って出迎えないと 0点」" というニュース(上の動画)を見て、あまりのくだらなさに目が点になったよ。下手な時代劇じゃあるまいし。

社員にこんな馬鹿なことをやらせ、さらに下のように異様な tweet (今は非公開になってるが、リツィートで一部見ることができる)なんかするのを見ても、兼重宏一前副社長というのは、頭のネジの締まり具合がかなり狂ってる人間という気がする。

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"Koichi Kaneshige" の罵倒 tweet に対し、部下たち(画像では名前は隠されている)が必死に謝っている。ただ謝ってはいるものの、自分が悪いとは一言も言わず、一様に至らない部下をちゃんと指導するという形なのが、社風というものだろう。

いずれにしても、部外者がこんな風に簡単にコピーできてしまう Twitter 上で頭の悪い中学生みたいにエキセントリックな tweet をしちゃうというのは、まさに「頭のネジの締まり具合」を疑わせるに充分だよね。彼が私と同じ大学出身ということまで知って、かなりイヤになってしまったよ。

ただ、社長一族が姿を現したり去ったりする度に直立不動で送り迎えしなければならない企業というのは、ウソみたいだが実際にいくらでも知っている。私が昔、繊維業界関連のレポーターをしていた頃は、誰でも名前を知っている大企業から中小企業まで満遍なく存在していた。

それが今でも健在ということに驚いてはしまうが、一方で「まあ、日本の企業なんてそんなものだろうな」という気もする。2年近く前の記事だが、こんな例もあるし。

昭和が遠い昔となり、平成が過ぎて令和の時代になってからも、少なからぬ企業の内部の雰囲気というのは、もろに大名行列のある「時代劇」なのである。

 

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2023年8月 2日

マニュアルをちゃんと読むユーザーって、少ないのだね

Gigazine に "テスラ車のオーナーが「バッテリーが切れて高温になった車の中に閉じ込められた」と訴える" という記事がある。このタイトルを読んで「おいおい、テスラのクルマって、バッテリーがあがるとドアを開けることもできないのかよ ⁉」と驚いたが、よく考えてみればそんなはずはない。

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記事が伝えるのは、アリゾナ州に住むリック・メギソン氏(Rick Meggison)の体験。元記事によれば、73歳らしいこのジイさん、先月の 37℃を超える暑い日に、運転しているテスラのバッテリーが上がってしまい、20分間にわたって車内に閉じ込められてしまったという。

記事によれば「ドアを開けることや窓を開けること、グローブボックスを開けることもできなかった」ということで、最終的に「自身の妹に助けを求め、助手席側の窓を割ってもらうことでようやく車外に脱出」ということになった。しかし、これってフツーにおかしいよね。

記事では、自動車に関する安全の専門家であるノーマ・ヒューベレ氏(Norma Hubele)が「バッテリーなどの電気システムが故障した場合、自動車から脱出するための方法がマニュアルに記載されている」と指摘しているが、「多くのドライバーがその存在に気付いていません」とも言っている。

要するに、クルマに添付されたマニュアルをちゃんと読んでいるドライバーは少ないということだ。そういえば、私も自分のクルマのマニュアルなんてまともに読んだことがない。しかし電気自動車となるとかなり勝手が違ってくるはずだから、一応は読んでおくべきだっただろう。

少なくとも、ドアが開かなくなって救出されるまでの 20分の間に読むことはできたはずだ。そんなケースの対策が、マニュアルに記載されていないはずがないのだから。しかしそれをしなかったために、助手席側の窓ガラスを叩き割ることになってしまった。修復するにはかなりの出費だっただろう。お気の毒に。

アリゾナの人たちって、「理窟よりも腕ずく」というタイプが多いのかなあ。少なくとも、このリックじいさんとその妹は、そんなタイプと思うほかない。ついでに余計なことまで言ってしまうが、トランプの支持者って、こうしたタイプが多い気がするのだよね。

 

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2023年8月 1日

「雨柱」というものと、ゲリラ豪雨

今日、生まれて初めて「雨柱」というものをナマで見た。昼前に用があって車で外出したのだが、途中、田んぼの広がる景色の北西の方角が、真っ黒な雲で覆われているのが見えた。

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思わずクルマを停めて、iPhone のカメラで写したのだが、なんだか様子がおかしい。黒雲と地上とがつながっているように見えるのである。「もしかして、これが噂に聞く『雨柱』というモノか?」と思っているうちにそれがどんどん近付いてきて、30分後にはついに自分のクルマもその中に突入してしまった。

初めは空が暗くなって大粒の雨がボタッボタッとクルマの屋根を打ち始めたのだが、すぐに「ドドド・・・」という滝のような雨音に変わり、辺りはまるで夜のように暗くなった。ヘッドライトを点けてもほとんど視界が効かないので、恐る恐るゆっくりと走る。

路面では水が渦を巻いている。カーラジオが「関東のあちこちでゲリラ豪雨が発生しています」などと言っているが、そのゲリラ豪雨の真っ只中に、まさに自分自身がいるわけだ。結構恐ろしい経験である。

30分近く慎重なノロノロ運転をするうちに、徐々に辺りが明るくなり始め、ついに雨柱の外に脱出することができた。脱出しても完全に雨が止んでいるわけじゃないが、ほとんど別世界じゃないか。

それから 2時間ぐらいのうちに雨はすっかり収まって道路も乾いてしまったのだが、あの雨柱の中を走るのだけはもう御免蒙りたいものである。

 

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