« 「残暑見舞い」に八つ当たり | トップページ | 飲酒運転の危険を実感する、福岡の動画ニュース 3本 »

2023年8月27日

夏痩せ、夏負け、夏バテ、暑さ疲れ、熱中症 などなど

ふと気付いたのだが、最近「夏負け」という言葉をあまり聞かなくなった。代わって多用されるのが「夏バテ」という言葉で、こちらの方がよりインパクトがある。「バ」という破裂音の効果だろうか。

230827

夏負け」というのは昔からある言葉で、かの平賀源内が鰻屋のセールス・プロモーション用に「土用の丑の日うなぎの日 食すれば夏負けすることなし」というキャッチフレーズを考案したという説がよく知られる。少なくともこの言葉、江戸時代には一般的だったということだ。

さらにずっと遡ると、『万葉集』に大伴家持の歌で「石麻呂に吾れもの申す夏痩せによしといふものぞむなぎとり召せ」というのがある。夏痩せには「むなぎ」(「うなぎ」の古語)がいいから、「とり召せ」(摂りなさい)と言っているわけだ、奈良盆地の夏は昔から痩せるほど暑かったのだね。

というわけで、巷間もっともらしく言われる「暑い夏にウナギを食べるのは、平賀源内以後の風習」というのは、「アヤシい以上」のこととわかる。何事も検証というのは不可欠(参照)だ。

ついでに言えば、昔の義務教育では(今はどうだか知らない)『万葉集』の再評価は明治以後のことで、それ以前は忘れ去られていたみたいに言われていたが、江戸時代でもインテリたちは万葉の主な歌ぐらいは知っていたようなのだ。寛永年間に「寛永本」という写本が流布されていたようだし(参照)。

時代はずっと下って「夏バテ」という言葉が登場したのは、養命酒製造の月刊「元気通信」の「夏バテの雑学」(2014年 9月号)によれば「昭和 30年代の高度成長期の頃」であるらしい。昔は「バテる」なんて言葉はなかったから、比較的新しい言い方というのは間違いない(参照)。

しかし昭和 30年代なら、「夏バテ」と言ってもまだまだ生やさしかったような気がする。それからさらに半世紀以上経った今夏は、より具体的な表現として「暑さ疲れ」というのをよく聞くようになった。先日もラジオ・パーソナリティが「もう、『暑さ疲れ』も限界」なんて言っていたし。

体に蓄積した「ぐったりするような疲労感」をシリアスに表現する言葉として、かなりの実感がこもっている。そしてこれがさらに即物的・具体的になると、「熱中症」ということになり、こうなると洒落にならない。そしてこの夏は私の周囲でも、熱中症になってしまったという人がかなり多い。

かく言う私自身も 6月 17日付で ”熱中症」ってやつになりかけたかも” という記事を書いたが、後で思い返すと、あれは「なりかけた」どころか、既に「熱中症そのもの」だったようだ。ひどいだるさと眠気から回復するのに 3日かかり、その後もしばらく本調子には戻れなかったのを覚えている。

いずれにしても今年の暑さは 9月末までは続きそうというのだから、あと 1ヶ月、くれぐれも体調に気を付けて乗り切らなければ。

 

|

« 「残暑見舞い」に八つ当たり | トップページ | 飲酒運転の危険を実感する、福岡の動画ニュース 3本 »

心と体」カテゴリの記事

言葉」カテゴリの記事

コメント

私が子供の頃は日射病って言ってました
(´・ω・`)

投稿: ひろゆき王子 | 2023年8月27日 13:37

子どもの頃、屋外へ出る時に「日射病になるから帽子を被りなさい」って言われましたよね。

熱中症っていつから使われたのかな? 熱中症は屋内・屋外の区別なくかかりますよね。
熱中症の中で、炎天下で発症するのが日射病かな?

投稿: さくら | 2023年8月27日 15:37

ひろゆき王子 さん:

日射病と熱中症の違いは、下記のページで説明されていますね。

https://www.kracie.co.jp/ph/samales/about01.html

要するに、屋外で直接的に日に照らされて体温の上がってしまうのが日射病で、屋内外の区別なく発症するのが熱中症のようです。

つまり、日射病は熱中症の屋外版てことですね。

投稿: tak | 2023年8月27日 18:35

さくら さん:

>熱中症の中で、炎天下で発症するのが日射病かな?

そういうことですね。正解! (^o^)

投稿: tak | 2023年8月27日 18:38

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「残暑見舞い」に八つ当たり | トップページ | 飲酒運転の危険を実感する、福岡の動画ニュース 3本 »