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2023年9月に作成された投稿

2023年9月30日

草書体というものの厄介さ

筆文字工房さんという方が ”これが「わ」でこれが「り」なの納得できない” と、嘆きの tweet をしておいでだ(参照)。添付された画像を見れば、確かに現代日本人の多くが「なんでこれが『わ』と『り』なんだよ!」と憤慨してしまうのも分かろうというものだ。

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種明かしをすれば、左は「和」、右は「利」の字の草書体。といってもほとんど区別が付かないぐらいのものだが、実際場面では文章の続き具合によって「け」(「介」の字の崩しが多い)の次にこんなようなのが来たら「〜けり」と読んじゃってほぼ大丈夫だったりするので、ある種テキトーなものだ。

実は私、学生時代は江戸期の歌舞伎なんてものを研究テーマにしていたので、こうした古文書の訳のわからない草書体には散々悩まされた。下のようなのをいきなり「読め」と言われても、進退窮まってしまうよね。

たとえ振り仮名がついていたとしても、その振り仮名自体が読めそうで読めないんだから、シェークスピアの英文テキストを読む方がまだずっと楽だ。

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平仮名が誕生したのは漢字を崩した「草書体」というものからというのは、誰もが義務教育で教わることだが、そもそも「草書体」そのものに我々はからきし馴染みがない。そんなわけで、昔の「崩し字」を持ってこられてもお手上げになってしまう。

例えば、下の文字を解読できるだろうか? 昔の手紙などの書文にはよく用いられた言い回しである。

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こんなもので勿体ぶってもしょうがないので種明かしをすると、次のようになる。

  • 右:「有之間敷候」(これあるまじくそうろう)
  • 中:「参上可仕候」(さんじょうつかまつるべくそうろう)
  • 左:「金子預り証文」(きんすあずかりしょうもん)

いやはや、こんなのフツーは無理だよね。とくに右なんて、「有之」で「これある」と漢文の返り点みたいな読み方をさせられた後に続くのが、「〜間敷候」で「〜まじくそうろう」と読ませるなんて、今の常識からしたらとんでもない当て字なんだから、「おいおい、勘弁してくれよ」となってしまう。

今年 8月16日の "江戸の昔と現代では「読み書き」の質が別次元" という記事でも書いたように、「現代の我々なんて、ナマの古文書に関しては落語に出てくる八っつぁん、熊さん程度と言っていい」ということになってしまう。これ、大げさでも何でもない。

せめて、蕎麦屋の看板でうろたえないぐらいの準備はしておこう。解説はこちら

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2023年9月29日

カメムシの大量発生も、この暑さが要因らしい

カメムシの大量発生が話題になっている。関西系の MBS NEWS は "「カメムシの臭さでカメムシ自身が死ぬ」は本当! 大量発生中の『カメムシ』は室内で見つけたら「ビンで捕獲」がオススメ 専門家が解説" と伝えている。

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このカメムシ、とくに多く発生しているのは関西のようで、上で紹介した MBS ニュースでも大通りの歩道にいくらでもいると伝えている。夜になると団地の灯りなどに群がってくるので大変らしい。

そういえば先日我が家でも玄関先のポーチでカメムシを発見し、ホウキでそっとちり取りに移して裏の川土手に移動させた。下手に潰したりすると強烈な臭いが残りかねないので、かなり丁重な作業である。

若い頃、服に付いたカメムシを無造作に払いのけようとしたため、ムッとするような臭いに終日悩まされたことがある。瓶に入れたりしておくと、自分の出した臭いでカメムシ自身が死んでしまうというほどだから、あの緑色や茶色の小さな虫には要注意である。

この大量発生の要因はやはり今年の暑さだという。来週はかなり秋らしい気候になるというのだが、何しろ東京都心の今年の「真夏日」(最高気温 30℃以上)が昨日で 90日に達したというのだから、尋常なことではない。

90日と言えばほぼ 3ヶ月で、ということは要するに 1年の 4分の 1 が「真夏日」なのである。さらにその前後の「夏日」(最高気温 25℃ 以上)を入れたら、1年の半分近くが「夏」と言っていいほどではないか。

カメムシというのは暑いのが好きで、気温が高いと卵の孵化も促進されてしまうというから、この夏の大量発生もうなずける。せめて「毒」のないのが救いと言えば救いだが、その代わりにあの「強烈な臭い」があるから、やはりあまり増えてもらいたくはないなあ。

ちなみにカメムシは寒いのが苦手で、成虫が越冬するために家の中に入り込んでくることがあるらしい。もし家の中で発見したら決して潰したりせずに、ニュースで紹介されたように瓶で捕獲して丁重に屋外に移動させる方がいい。くれぐれも心に留めておきたいことである。

 

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2023年9月28日

「ネコにマタタビ」って安全なものらしい

ネコはマタタビですっかりだらしのない「ゴロニャン状態」になってしまうので、昔から「ネコにマタタビ」と言えば「ネコの麻薬」みたいに思われていた。ところが毎日新聞によれば、岩手大学などの研究で安全性が確認されたらしい(参照)。

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岩手大学農学部では、17匹のネコを飼いながらマタタビとの関わりについて研究しているという。その研究室、ずいぶん楽しそうである。

この研究グループは「猫がマタタビに反応すると、幸せを感じた時に脳内で働く物質の血中濃度が上がる」ことを確認したという。さらにその成分を体にこすりつけると、蚊よけの効果もあるらしい。いいことづくめではないか。

毒性がないばかりでなく、さらに依存性もないとの結論に達したらしい。記事には次のようにある。

マタタビに接触したり、反応を示したりした時間は 10分程度にとどまった。時間の経過とともに、次第に興味を失う傾向もあり、グループは依存性はないと結論づけた。

10分程度で飽きてしまうとは、ずいぶん呆気ない。飼った経験のある人ならわかるはずだが、ネコってどんなに可愛がって喜ばせてやっても、すぐに飽きて「知らんぷり」してしまう。これが「ネコって自分勝手」という印象につながりやすいのだが、マタタビに関してもそんなようなものだったのか。

というわけで、「マタタビは無害」とわかったので、ネコをリラックスさせる効果のある「マタタビスプレー」なるものが開発されたのだという。試しに Amazon を覗いてみたところ、結構いろいろな種類のものが販売されているじゃないか(参照)。

このニュースを読んで「人間にも同じような効果のあるスプレーがあったらいいのに」と、ネコがうらやましくなってしまったよ。麻薬なんかじゃないヤツでね。

 

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2023年9月27日

「余計なお世話」とか「余計な表示」とか

「こないだ、この立体だまし絵のせいで転けそうになったから許してない」という tweet がある(参照)。なるほど、下り階段の 2〜3歩手前にこんなだまし絵があるというのは、かえってアブナい気がしてしまう。

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画像を見ただけでも、確かにギョッとして避ける人がいてもおかしくないと思うし、混んでる時つい大げさに避けたりしたら、後ろの人にぶつかられてしまいそうだ。そんなわけで Tweet には多くのコメントが付いているが、下のようなものが代表的だ。

  • この位置では怖いな…
  • 私も池袋駅でコレにビビって転げそうになり、思わず手すりにつかまりました。態々影をつくる労力と費用をかけてまで何の為に!?ってプチイライラしたのでした。
  • マジこれやめたほうがいいやつ

実際に疑問の声のオンパレードだが、中には何のために描かれたのかマジに考えたようなのもある。こんな具合だ。

これって逆走してるひとから見たときに違和感があるやつですよね。
逆走するひとが居なくなれば、このような標示も不要になると思います。

一瞬「なるほどね」と思いかけたが、よく考えるると「なるほど」でもなんでもない。逆方向から見たら不自然で立体に見えにくく、「だまし絵」にならないだろう。

それに「逆走」防止のためだったら、階段を昇りきったところに描かれても意味がない。下の方の昇り始めるところでなければならないのだから、この「推理」はナンセンスだろう。

いずれにしても、世の中には「余計なお世話」とか「余計な表示」というのが少なくないよね。

 

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2023年9月26日

岸田首相のアドバンテージは「顔」というより・・・

自民党の麻生副総裁が福岡市における講演で岸田総理について「誠実そうに、リベラルそうに見える顔が世のなかに受けている」と述べて評価したと、テレ朝ニュースが伝えている(参照)。「顔」で受けているというのは、ずいぶん無茶な言い草だが、あるいはほんの少しだけ言えてるかもしれない。

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というのは「そりゃ、あんたの顔じゃどうしたってウケないもんね」ということで、確かに岸田総理の外見には政治家的な「毒」がないので、妙に揶揄されることがない。ただ、私としては岸田総理のアドバンテージは他のところにあると思っている。

それは「自分が何を言っているのかわかってモノを言っている」ということだ。こんなのは当たり前すぎて「アドバンテージ」というのもおこがましいほどだが、最近の首相経験者の中では珍しいほど、この「当たり前すぎること」ができているのである。

まず行きがかり上、当の麻生さんについて言えば、衆院選に初出馬した際に地元の飯塚駅前での演説で、開口一番「下々の皆さん!」と呼びかけちゃったという伝説化された本当の話がある(参照)。この人の失言はほかにもいろいろありすぎて、枚挙にいとまがない。森喜朗と双璧だ。

以後、民主党政権となったが、鳩山さんの「世襲が日本の政治をゆがめてきた。世襲の私が言うのだから間違いない」という発言には笑ってしまった(参照)。そんなこんなで、ワシントン・ポストに「ルーピー(Loopy: お間抜け)」の名を頂戴してしまったわけだが。

次の菅さん(カン直人さんの方)は「政治の理想は最小不幸社会を作ること」なんて、政治家センスに欠けたことをおっしゃっている(参照)。当人はわかっているつもりのようなのだが、世間には通じないか、あるいは逆アピールに受け取られかねないから、どう見ても別の言い方をする方がよかったよね。

後を継いだ野田さんは割とそっち方面の話題が少ないが、国会答弁で「(喫煙は)18からずっとやめたことがなく・・・」と言ってしまい、慌てて取って付けたように「二十歳から」と言い直している(参照)。まあ、ご愛敬と言ってもいい部類ではあるが、せっかくだからタバコは止めた方がいいね。

自民党政権に戻って最初の安倍さんは、内閣総理大臣の自分を「立法府の長」と言ったり(「行政府」と区別できてない)、「云々」を「でんでん」と読んだりで、モロに次元が低過ぎだ。その辺りのことは 4年前に ”安倍さんの「勘違い言葉」に学ぶ” という記事で縷々書いているのでよろしく。

その次の菅さん(スガ義偉さんの方)に至っては、聞く人はもちろんだが、自分でも何を言ってるんだかわかっていなかった(参照)。広島の平和記念式典でスピーチ原稿を読み飛ばしても気付かず参照)、次の長崎では間違えずに読んだだけで褒められた(参照)という、前代未聞の首相だった。

こうして思い返してみると、民主党(現在の立憲民主党)政権時代の鳩山、菅、野田の 3人は、まだそれほどお馬鹿すぎる失言というのはない。それに対して自民党の麻生、安倍、菅の 3人の「言葉知らず」レベルは中学生以下と言っていいよね。

というわけで岸田さん、前の 6人よりずっとマシで、とくに自民党の 3人と比べたら雲泥の差だ。ただそれは「自分で何を言ってるかわかってる」という当たり前すぎることの話であって、その内容についての評価はまったく別の問題なのだが。

 

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2023年9月25日

アイドリングストップ機能は、はっきり言って邪魔

ベストカー Web の ”アイドリングストップは「オフ」のほうがお得か? トヨタは「今後も採用しない方針」” という記事を読んで、軽く衝撃を受けてしまった。私のクルマのスズキ ALTO もこの機能を搭載しているのだが、このクソ暑い夏はずっと「邪魔物」みたいに思ってきたからである。

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というのは、信号などで停止するとエンジンも自動的に停まるので、車内のエアコンの効きが「冷房」から「単なる送風」程度に落ちてしまうのだ。ごくフツーの夏なら信号が青に変わって動き始めればエアコンも再び効き始めてすぐに涼しさを取り戻せるのだが、今年はちょっとわけが違っていた。

交差点でほんの数十秒停車している間にもクルマは強烈な太陽に照らされるので、エアコンの効きが落ちると暑くて頭がボウッとしてしまうのである。それで今年は停車する度にギアをニュートラルに入れ、エンジンがストップしてしまわないようにしてきた。これって、「余計な一手間」に他ならない。

そんなわけで私としては、「快適を追うために、ちょっとガソリンを無駄遣いしているかな?」と、わずかに罪の意識を感じたりしていたのである。ところが冒頭で紹介した記事を読んでみると、僅かな時間のアイドリングストップで節約されるガソリンなんて、ほんの微々たるものでしかないらしい。

微々たる量でも節約は節約なのだが、発進の度にエンジンを再起動しているとバッテリーに負担がかかって劣化し、交換時期が早まってしまうというのである。バッテリー製造に必要なエネルギーまで考えたら、アイドリングストップは「ほぼ無意味」ということになってしまいそうだ。

というわけでトヨタは今後、アイドリングストップを採用しない方針なのだそうだ。私としてもこの機能は「基本オフ」にしようと思った次第なので、なにぶん

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2023年9月24日

糖尿病の呼称を「ダイアベティス」に変える?

日本糖尿病協会が糖尿病の新しい呼称を「ダイアベティス」としたい旨を公表したというのだが、医師などの専門家たちは「分かりにくく、普及は難しいのでは・・・」と疑問を呈しているらしい(参照)。ちなみに「ダイアベティス」(diabetes)は「糖尿病」の英訳だ。

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記事によれば正式な「病名」と「呼称」とは異なるものらしく、「病名」の変更はいろいろと面倒な手続きが必要なので、とりあえずは「呼称」の変更を進めたいということらしい。

もっとも、医師が患者に診断結果を告げるのに「あなたはダイアベティスですね」と言っても「それ何ですか?」となるに決まってるから、「要するに糖尿病です」と言い直すことになるだろう。ということは、こうした場面ではこの呼称変更はあまり意味がない。

呼称を変えたがっているのは実は既存の患者たちのようで、同協会の調査では患者の 8割が変更を希望しているという。「尿」の字を含む病名が「不潔なイメージを与える」とか「恥ずかしい」とかいうことのようで、要するに「分かりにくくしたい」ってことなのだね。

ただ、私はこの病気にとくに偏見はないので、悪いけど「それって患者側の意識過剰じゃないかなあ」と思ってしまうのだが。

この記事を読んで「ダイアベティス」という呼称から最初に連想してしまったのが「ダイアリア (diarrhea)= 下痢」という言葉なので、個人的にはむしろ「糖尿病」と言う方が、下手すると「うんこ」を思わせるよりずっとマシな気がする。申し訳ないけど。

ちなみに言い出しっぺの「日本糖尿病協会」自身は、団体名を「日本ダイアベティス協会」に変更する用意はあるのだろうか。もし変えたら略称は「日ダベ協」になって、ウェブサイトの URL も "https://www.nittokyo.or.jp" から  "https://www.nichidabekyo.or.jp" に変えなきゃ。

蛇足だが、現在の略称の「日糖協」って、どう見ても精糖業界の団体みたいだよね。さらに「日登協」というのもあり、てっきり登山家の協会かと思ったら「日本登録医薬品販売者協会」ということのようだ。へぇ!

病気とか薬とかの世界って、「分かりにくくしたい」という基本的な潜在欲求があるんじゃなかろうか。

 

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2023年9月23日

マクドナルドの CM に見る日米の大きな違い

KAIKORE に "日本マクドナルドの CM がなぜか米国でバズる、「ポリコレ要素がない」ことに驚くアメリカ人続出(海外の反応)" という記事がある。(下の画像クリックで、日米の Mac の CM 動画にリンクする)

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上の左側は、記事で紹介されている米国版 Mac の CM。2020年のものだが、黒人のトランスジェンダー女性がシンプルながら強烈なメッセージとして、”Stop killing us.” (私たちを殺すのを止めて)と呼びかけている。そして右側は日本の「特別じゃない、しあわせな時間」という CM だ。

一見するだけでまったく別世界という印象である。米国版は切実な「ポリコレ」(political correctness)そのものだし、日本版は絵に描いたような(まさに絵に描いてあるわけだが)平凡な幸せだ。マクドナルドに付随するイメージって、日米でこんなにも違うということなのだろう。

2つの CM から読み取れることは、米国では「正しさ」が追求されるが、日本では「フツーで充分」ということだ。ただ私個人としてはこの日本版 CM には日本人ながらちょっとした「気持ち悪さ」を感じてしまうのだが、おかしいかなあ。

日本人は「フツー」でないことからは敢えて目を逸らす。「ジャニーズ問題」などはその典型で、多くの人に薄々、あるいはかなりはっきりと知られていたことなのに、これまで誰も問題にしようとしなかった。

今頃になってジャニーズ事務所所属のタレントを CM に起用しないという動きが広まっているが、それでも昨日時点では、帝国データバンクの調査に「起用しない」と回答しているのは 49% に過ぎない(参照)。米国だったら、そんな事務所のタレントの CM 起用は不買運動を引き起こすだろう。

というわけで、日本という国はいつの場合も「穏やかに、穏やかに」ということのようなのだね。

 

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2023年9月22日

4県で「四国」なのに、7県で「九州」とは?

子どもの頃、「4県で『四国』なのに 7県で『九州』というのは、どうしてなんだろう?」と不思議に思っていた。

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長ずるに及んで、明治以前の九州は「筑前国」「筑後国」「豊前国」「豊後国」「肥前国」「肥後国」「日向国」「薩摩国」「大隅国」という九つの国があったので、「九州」というのだと理解できた。

一方の四国は「阿波国」「讃岐国」「伊予国」「土佐国」がほぼそのまま、徳島県、香川県、愛媛県、高知県になったのでわかりやすい。九州の場合は「筑前国」と「筑後国」で福岡県、「薩摩国」と「大隅国」で鹿児島県になったのに、「肥前国」は佐賀県と長崎県に分かれていて、ちょっとややこしい。

もっとも奈良時代以前は、次の 4つの国しかなかったので、ずっとそのままだったら、「四国」と「四州」になるところだった。

  • 「筑紫国」(後に「筑前」と「筑後」に分かれた)
  • 「豊国」 (同様に「豊前」と「豊後」に)
  • 「火国」 (同様に「肥前」と「肥後」に)
  • 「日向国」(同様に「日向」「大隅」「薩摩」に)

国が分割される時は、都に近い方に「前」、遠い方に「後」という字が付けられた。上の地図を見れば、その原則がしっかり適用されているのがわかる。ちなみに「吉備国」(今の岡山から広島東部)なんかは「備前」「備中」「備後」の 3つに別れている。

さらに細かいことを言うと、昔は対馬が「対馬国」、壱岐島が「壱岐国」という国で、それぞれ今は長崎県と鹿児島県に属しているのだから、それを入れれば「十一州」と言ってもよかったような気がする。ただ、昔から「九州」というのはこの二つの国を含まずに、「メインランド九州」だけだったのだね。

日本の西の方はこうして結構細かく分けられていたわけなのだが、東北ともなると人もまばらな「最果て」だったから、昔は 2つの国しかなかった。日本海側の「出羽国」と、太平洋側の「陸奥国」だけである。それ以上分けても意味がなかったのだろう。

それが分けられたのはなんと明治元年で、「出羽国」が「羽前」と「羽後」に、「陸奥国」が「岩代」「磐城」「陸前」「陸中」「陸奥」になった。太平洋側は 5つに分けられたのだが、日本海側なんてここに至っても 2つに分けさえすればいいということだったようだ。

その後は明治 4年の「廃藩置県」で東北六県になったわけだが、「羽後国」出身の私の性格がかなり大雑把なのは、この辺りに由来しているのかもしれない。

 

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2023年9月21日

「ゼッテリア」の名称には、素直に笑わせてもらった

ロッテ HD がロッテリアを手放したいうニュースは知っていたが、昨日付の "ゼンショー HD に売却されたロッテリア、新ブランド「ゼッテリア」1号店オープン" という記事は、久方ぶりの「見出しだけで笑えるニュース」だった。

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最初の「ゼ」の文字については、当事者的には「ゼンショーの『ゼ』ではなく、看板商品『絶品バーガー」の頭文字」と言ってるらしいのだが、どうにもこうにも「後付けのこじつけ」っぽいよね。ぜってぇ(絶対)にそうじゃないというなら、いっそ「ゼッピ二ア(ZEPPINNIA)」にすればよかったのに。

ゼンショーの展開する外食チェーンというのは「すき家」にしても「はま寿司」にしても、決して「その分野の代名詞」的な店というわけではないのだが、「気付いてみれば結構あちこちで増えている」みたいな印象である。ということは、この「ゼッテリア」にしてもそんな感じになるのかもしれない。

いや、既に「ロッテリア」はそこら中にあるから、そうなるのに長くはかからないだろう。

同社の広報は「既存店舗の名称を変更するかは未定」としているようだが、どう考えても新店舗を作るよりは既存店の名称変更で行く方が楽なのだから、そのうちにあちこちの「ロッテリア」が「ゼッテリア」に変わるのだろう。二枚看板のままより統一する方が、マーケティングも楽だし。

「ゼッテリア」のメニューに関しては、グルメ Watch の「ゼッテリア田町芝浦店、メニュー全貌を紹介!」という記事に詳しい。看板メニューは「店舗の名称にした」というぐらいだから、「絶品バーガー」というものらしい。

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これって、肉食を止めた私にとっては「別にどーでもいい」という類いのニュースではある。ただ、こうした店ばかりが増えて、肉を食わない者が安心して入れる店が減ってしまう現状では、どうしてもちょっと気になってしまうのだ。

ちなみにゼンショー系の「すき家」には牛丼以外に「うな丼」(ただし季節限定)とか「海鮮丼(まぐろが主体)」などのメニューもあるようなのだが、10年前に「当面、ウナギとマグロは食わないことにする」という記事を書いている身としては、この店では「鮭定食」以外には食うものがないなあ。

というわけで実際に入ったことは一度もないが、出張先などでよっぽど食うものに困った時の「緊急用」として候補に挙げてあるので、ゼンショーさん、よろしく。

 

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2023年9月20日

”X" 有料化の可能性があるらしいので・・・

BBC NEWS Japan が ” マスク氏、「X」をすべて課金制にする可能性示す” という記事を伝えている。念のため BBC NEWS 本体の元記事を当たってみると、"Elon Musk: Social media platform X, formerly Twitter, could go behind paywall" というタイトルだ。

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おもしろいのは、日本版が 「X」で済ませているのに対し、元記事は "X, formerly Twitter" (元 Twitter の X)と、なじみ深い ”Twitter” という名称にこだわっていることだ。最近の記事でもあえて ”Twitter” と表記し続けている私なんか、「しかるべし!」と拍手したいぐらいである。

7月 23日の時点で「"X" になった Twitter には未練がないんだが」という記事を書いて、”X" を去ることをほのめかしている私だが、まだ有力な移転先を見つけられずに、今でも ”X” 上でグズグズしている。ただ本当に「有料化」が決定したら、それこそ移転の決定的なタイミングになりそうだ。

金を払ってまでイーロン・マスクに付き合う必要なんて、さらさらない。

イーロン・マスクは有料化の目的は 「bot 対策」としている。ユダヤ人差別などの有害な tweet を撒き散らす bot を駆逐するためには、有料化が有効と考えているらしい。”X" が「ほんの少額の費用」を徴収するだけで、bot の入り込む敷居が高くなるというわけだ。

ただ、有料化すれば確かに有害な bot が駆逐されるかもしれないが、それと同時に私のような「有益」とは言わないまでも「それほど害のないユーザー」も駆逐されるということをしっかりと認識しておいてもらいたい。

有害 bot を駆逐するのはイーロン・マスク側の責任であるはずなのに、それをずっと無料で利用してきたユーザーに押しつけるというのは、いくら「少額の費用」でもお門違いというものだ。

というわけで私としては今、Twitter に代わる SNS を物色中なのである。スマホでしか利用できなかった ”Threads” に web ブラウザー版が登場して、PC でも利用できるようになったらしい(参照)ので、ちょっと注目している。

 

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2023年9月19日

がんになるのは、楽をし過ぎてるからかも

Gigazine が ”「階段を上る」「家事をする」「バスの停留所まで歩く」など 1日 3~4分の日常的な運動でがんのリスクが減少する” と伝えている。まとまった運動をする余裕がなくても、ごく日常的な活動でいいらしい。

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シドニー大学のエマニュエル・スタマタキス(Emmanuel Stamatakis)教授の主導で「これまでにがんと診断されたことがなく、余暇に構造化された運動をしていない 2万 2398人の被験者」の調査が行われたのだが、この結果、がんのリスク軽減にはごく日常的な活動で充分と判明したのだという。

日常的な活動というのは、「バスの停留所やコンビニまでの短い距離を歩く」「階段を上る」「買い物の後で重い荷物を運ぶ」「家事をする」「子どもたちと遊ぶ」といったことなのだそうだ。この程度ならまったく特別のことじゃない。

ところががんになる人は増えている。これはどういうことなのかと考えて思い当たったのは、上述のような日常的活動をしている人って、実は多くないんじゃなかろうかということだ。現代人の多くは楽をし過ぎてるのかもしれない。

短い距離でも歩くことがあまりないし、階段を避けてエレベーターやエスカレーターを使う。家事は自動機器に任せっぱなしで、重い荷物は手に持たず、クルマに乗せて移動する。さらに子どもたちと遊ぶ機会なんてあまりない。

そういえば周囲を見ると、がんにかかった人は「あまり動かないタイプ」という印象がある。とくに多いのは、若い頃はスポーツマン体型だったのに中年過ぎて急に腹が出てきたというタイプだ。運動量が減ったのに、飲み食いの量だけは変わらなかったんだろう。

こう考えると、貧乏性でいつも動き回っていないと気が済まない私みたいな人間は、がんリスクが小さいのかもしれない。エスカレーターに乗っても、つい歩いちゃうしね(褒められたことじゃないが)。

こうした性分は、いくつになっても改めなくていいということのようだ。

 

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2023年9月18日

元気に生きたら、後はフツーに死にたい

TBS テレビが【“10人に1人が80歳以上に” 65歳以上の高齢者は 1950年以降初減少も 3623万人で割合は過去最高 18日は「敬老の日」】と伝えている。3623万人といえばカナダの全人口(約 3800万人)にほぼ匹敵するんだから、日本の年寄りがいかに多いかわかろうというものだ。

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かく言う私も既に 71歳だから、立派に(?)3623万人のうちの一人に数えられるわけだ。自分ではほとんど「高齢者」という気はしないのだが、一昨日の記事に書いたように、長距離運転などをすると若い頃のような無理がきかなくなっているので、そんな時だけ年齢を少しだけ自覚してしまう。

ニュースは高齢者人口について「総人口に占める割合では 29.1%と過去最高で、世界 200の国と地域の中で最も高くなっています」と伝えており、「10人に 1人が 80歳以上」というのも驚きだ。とくに田舎に住んでいると周り中が年寄りだらけだし、家の中や施設で寝たきりという人も少なくないようだ。

寝たきり老人といえば、集英社オンラインが先月 23日付で「日本の寝たきり老人数、推定 300万人以上は世界断トツ 1位! 精神科ベッド数も全病床の 21%で世界一…日本医療制度の欠陥と利権のせめぎ合い」という記事を伝えている。これは恐ろしい数字で、年寄りの 10人に 1人近くが寝たきりということだ。

「寝たきり老人が多いのは、世界で日本だけ」というのはよく言われることである。とくに長寿国の多い北欧でさえ、寝たきり老人というのはほとんどいないという。上述の記事はその理由を、日本の医療制度の特殊性と医療機関の利権を求める体質に求めている。

記事には「日本の場合、親族などが望んでいなくても、一旦、延命治療を開始すると、それを止めることが法律上なかなか難しいのだ」とある。早く言えば、日本では年取ってから入院なんかしてしまうと、延々とムダに生かし続けられてしまう可能性が高いようなのである。

考えるだにヤバい話で、私としては自分がそんなことにならないように、極力医者にはかからずに生きていきたいと考えている。とにかく「元気に生きたら、後はフツーに死にたい」ということで、自力でメシを食えなくなってまで生き延びようとは、決して思わない。

 

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2023年9月17日

タバコは目の前で吸われるのでなくても迷惑

九月という名の私の知らない芸人が、初対面の人と同席する場でタバコを吸うに当たっての「吸ってもいいかどうか」を訊ねる聞き方について tweet している(参照)。一応マナーについての話ということになっているが、吸っていいかと聞くと 8割が「どうぞ」と応えるという。

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こうしたケースで「タバコ吸ってもいいですか?」と聞かれたら、私だったら「ここじゃなく、喫煙専用のスペースでどうぞ」と答える。もし断りもなくいきなり目の前で吸い出されたら、「どうぞごゆっくり」と言って立ち上がり、そいつをその場に置き去りにする。同じ「どうぞ」でも意味合いが違う。

Tweet した 九月当人もそのあたりの事情はわかっているようで、自ら続けて「非喫煙者の前では吸わない方がいい、が前提なんだとも思う」とコメントしている。一応聞いてみるというのは、相手が喫煙者かどうかわからないからということなのだろう。

一昨日の夜に宿泊した福島県郡山市のホテルは、喫煙フロアと禁煙フロアが区別されていた。エレベーターの表示を見ると、フロントや食堂のある 1階をのぞき、喫煙フロアと禁煙フロアが、ほぼ五分五分に分けられていたように記憶する(記憶違いだったらごめん)。

2019年の政府調査では、日本人の喫煙率は男性 27.1%、女性 7.6%、男女計 16.7%となっている(参照)ので、このホテル喫煙フロアはどう見ても多すぎる。もしかしたらオーナーがタバコ好きで、意識としては非喫煙者の方を隔離しているつもりなのかもしれない。

さらに泊まってみた実感としては、フロアを分けただけでは充分じゃないとわかった。朝食のために自分の泊まった最上階の 9階からエレベーターで下る時、喫煙フロアでドアが開いて人が乗り込んでくる度に確実にヤニ臭くなるのだった。

喫煙者が髪の毛や衣服にタバコの煙を染みこませてくるためである。広い場所なら気にならないが、狭いエレベーター内ではかなり臭う。新幹線などで隣の席の客が喫煙ルームから戻ってきた時もヤニ臭くて迷惑だと書いたことがある(参照)が、それと似たケースである。

というわけで、あのホテルはビミョーに喫煙者が泊まりやすいという位置づけなのかもしれない。次に郡山に行く時には、ホテルの選択から最初に外される。

 

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2023年9月16日

二泊三日の強行軍ミッション、終了

山梨県と福島県の 2か所を、自力でクルマを運転して二泊三日で訪問する強行軍の出張ミッションが終了し、無事に帰宅した。走行距離は約 800km。1960年代半ば、『500マイル』(Five Hundred Miles)というアメリカン・フォークソングが流行ったことがあったが、800km は大体 500マイルである。

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若い頃なら何のことなく走っただろうが、70歳を過ぎた身には結構な走破距離だから、さすがに疲れた。ただ、行き先が大阪とか神戸とかだったりしたら阪神タイガースのリーグ優勝騒ぎで大変なことになっていただろうから、まだ東日本の範囲内でよかった。

最初の 2日間は平日だったのでかなり余裕で移動できたが、帰路の今日は三連休初日ということで道路の混雑がハンパじゃなく、休憩を取るにも駐車スペースを確保するのが大変なほどだった。これからは、連休の旅はできるだけ避けることにしたい。せっかくの自由業なんだから。

上の写真は、初日に山梨県を移動する時に撮影した清里付近の谷間の風景。清里まで行けばかなり涼しいと思っていたが、この日の気温は 30℃ 近くになったようだ。9月中旬の高原とは思えない暑さである。

2日目は福島県だったが、さすがに秋雨前線の影響で大雨になることを覚悟していた。しかし屋内で目的の人と会って話している時に土砂降りになったらしいが、それが終わると雨は上がり、結局一度も降られることがなかった。我ながらしぶとい「晴れ男」である。

そして 3日目の今日はピーカンの上天気。ただ、それだけに混雑が酷くなってしまったというのは否めないわけだが。

というわけで、今日の所は早めに寝たいのでこれにて失礼。

 

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2023年9月15日

「心意気」を示してくれる食い物屋を巡る冒険

札幌の「こく一番 ラーメン みどりや」という店は、チャーハンを注文すると「スープ」という名目で勝手にラーメンが付いてくるということで、一部で話題になったことがある。しかもマスターに意識されると、メインディッシュであるチャーハンの量が勝手にどんどん増えてくるらしい。

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咲来さん@エスコン1勝5敗 さんという方が、「完食を繰り返し、マスターに存在をマークされると明らかに量が増えてくるので気をつけよう」と tweet している。添えられた写真を見ると、4枚目(右下)のチャーハンは確かに 1枚目(左上)の 3倍ぐらいのチョーデカ盛りになっている。

このマスターの心意気は素晴らしいと感動してしまった。私も若い頃だったら、4枚目の写真の量をありがたく大喜びでいただいただろう。

ただ、私は数年前から肉食を断ったので、チャーシューが付きもののラーメンは食べない。ということは、札幌に行ったとしてもこの店に行くことはないだろう。私がラーメンを食うのは、鉄道で旅した時に東京駅と上野駅にあるノーミートのラーメンの店、「T's たんたん」に寄った時ぐらいのものだ(参照)。

実は今、昨日の「和歌ログ」に書いたように(参照)、クルマで山梨県と福島県に出張している。こんな時に困ってしまうのは、高速道路のサービスエリアにあるフードコートに立ち寄っても、肉食を絶った私の食える料理を提供してくれる店が本当に少ないということだ。

牛丼とか焼き肉定食とか、ラーメンとかハンバーガーを避けたら、結局のところ、うどんかそばを食うしかなくなってしまう。しかし悲しいことに、こうしたフードコートのうどんやそばは、はっきり言って「高いくせにマズい」ものしかない。

高速道路上では、「味」とか「量」とかに関わらず、しっかりと心意気を示してくれる店というのがほとんどないんじゃないかという印象だ。。旅に出てまともなものを食おうと思ったら、街に出て探すしかないのだろう。やれやれ。

 

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2023年9月14日

ハロウィーンの馬鹿騒ぎが「カッコ悪過ぎ!」になる日

昨日、妻に付き合ってショッピングモールに行ったところ、多くの店で「ハロウィーン」向けのセールをしており、とくに 100均の力の入れ方がハンパなかった。1ヶ月以上も先のイベントでこんなことになるというのは、ハロウィーンが日本の定番イベントになったということなんだろう。

そんなわけで「今年も渋谷で馬鹿騒ぎが繰り返されるのか」なんて思っていたところ、当の渋谷区長が「ハロウィーンで渋谷に来ないで」と呼びかけていると知った。上の YouTube 動画は、TBS ニュースで取り上げられたものである。

そういえば私はもう 5年前になる 2018年 10月 29日付で、「ハロウィーンのバカ騒ぎと 1970年頃までのクリスマス」という記事を書いている。昨今のハロウィーンの騒ぎが、半世紀前のクリスマスの浮かれ具合と共通しているとしたものだ。

戦後まもなく、西洋の風習である「クリスマス」というのが日本にも本格的に入ってきたわけだが、当初はそのちゃんとした意義がほとんど理解されていなかった。日本の大人たちにとってのクリスマスとは、子どもへのプレゼントさえ準備してしまえば、あとは享楽的に楽しむべきイベントだったのである。

それでオッサンたちはクリスマス・イブには会社帰りにキャバレーなんかにどっと繰り出し、一晩中ホステスとチークダンスしたり変な紙帽子をかぶって飲んだくれたりしていたのだった。当時の日本人にとっての西洋文化って、「派手な享楽」を意味していたようなところがある。

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上の写真は withnews というサイトに紹介された、1955年 12月 24日に撮影されたものである(参照)。今の目からみるとかなりダサダサの光景だが、元記事には「昨今のハロウィンの渋谷が、脳裏をよぎりました…」とある。なるほど、今はオッサンが若者に変わっただけかも。

この写真の年、私は 3歳だったが、その後も物心つくまでずっと、オッサンの世界のクリスマスってこんな感じだったようだ。当時家にはテレビがなかったが、冬休みに映画館で見るニュース映像(当時の映画館はニュース・メディアでもあった)に、こんなような浮かれ騒ぎが映し出されていたものだ。

クリスマス・イブって「聖なる夜であって、享楽的なものじゃない」とようやく少しずつ認識され始めたのは、最初の東京オリンピックが開かれた 1964年頃だったと思う。この頃、日本経済は戦後復興からの反動で不況に入りかけ、それが正気を取り戻すきっかけになったようだ。

それから 1970年頃までかかってようやく、日本の社会ではクリスマスの「馬鹿騒ぎ」が下火になった。クリスマス本来の趣旨が日本中に行き渡るまで 15年以上もかかったわけだ。同様に考えれば、ハロウィーンの馬鹿騒ぎが沈静化するにも 15年以上かかるかもしれない。

ハロウィーンが日本で盛んになったのは 2010年ぐらいからだったという印象がある(参照)。ということは、沈静化するのは 2025〜26年よりも後と思っていいんじゃなかろうか。あと 3〜4年で馬鹿騒ぎが廃れ、子供たちが近所でお菓子をもらう日ということに落ちついてくれればありがたい。

あるいは、今は情報化社会だから昔よりずっと早く理解されるはずだと言う向きもあるだろう。しかし「ハロウィーン」というのはある意味とりとめがなくて、「イエス・キリストの誕生日」という明確な意義のあるクリスマスよりずっと理解しにくいイベントだから、このくらいかかっても不思議じゃない。

で、今回の渋谷区長の発言が「ハロウィーンの馬鹿騒ぎ、カッコ悪過ぎ!」という風潮に突入する契機になってくれればいいと私は期待するのだが、はたしてそううまく運ぶかどうか。3〜4年後の秋になってもこの記事を書いたことを忘れていなかったら、ちゃんと検証してみたいと思う。

 

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2023年9月13日

「ハバネロ」より辛いトウガラシはオススメしない

2年ほど前に「ハバネロより辛いトウガラシがあるとは!」という記事で、世界一辛い「キャロライナ・リーパー」というものについてちょっとだけ触れた。私はフツーのトウガラシの何十倍も辛い「ハバネロ」を主原料とした「舞妓はんひぃ〜ひぃ〜」を愛用しているのだが、さらにその 5倍以上辛いらしい。

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このキャロライナ・リーパーを使った激辛スナックを食べた 14歳の少年が数時間後に死亡したという、かなりアブナいニュース(参照)がネット上で注目を集めている。米国マサチューセッツ州での話だ。

ちょっと余談だが、このトウガラシの名称は先にカタカナで知ってしまったので、元の英語は ”Carolina leaper" (キャロライナのぶっ飛び屋)なんだろうと思っていたのだが、実際は "Carolina reaper" なんだそうだ。日本語では ”L” と ”R” の区別が付けられないのでこの辺りが厄介だ。

”Reaper” は直訳すれば文字通り「刈取り機/刈取り人」だが、「死神」という意味もある。手に持った大きな鎌で人間の命まで刈り取ってしまうというとココロなんだろうが、何とそれが現実になってしまったわけだ。

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私は一昨年、世界で 3番目に辛いトウガラシの「ブート・ジョロキア」というのを購入してかなり満足していたのだが、結局は「舞妓はんひぃ〜ひぃ〜」に回帰している。というのは、ジョロキアは確かに少量でしっかりと辛いのだが、手元が狂ってドバッとかけてしまうと、さすがに辛すぎるのだよね(参照)。

そこへ行くと、「舞妓はんひぃ〜ひぃ〜」なら多少多く振りかけてしまっても充分に(私個人の)許容範囲内だから問題なく食えて(私個人には)リスクが小さい。そんなわけで「キャロライナ・リーパー」はもちろん、世界で 2番目に辛いという「トリニダード・モルガ・スコーピオン」の購入も控えている。

「舞妓はんひぃ〜ひぃ〜」の原料である「ハバネロ」は現在のところ世界で 4番目に辛いという位置付けなのだが、4番目で充分だ。それ以上辛いのは、他人にもオススメしない。

ただ、広い世界を見渡せば上には上の「命知らず」がいるもので、キャロライナ・リーパーの生みの親 Smokin’ Ed が主催したチャレンジ・コンテストで、ニューヨークに住むフードファイターが、60秒で 22個のキャロライナ・リーパーを完食したのだそうだ(参照)。

この動画を見てもよい子は決して真似しないようにね。

 

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2023年9月12日

「グルメ」は「建て前」で、「グルマン」が「本音」

前々から気にかかっていることに、「グルメ」と「グルマン」の違いというのがある。一般的には「グルメは美食家で、グルマンは大食家」みたいに言われることが多いが、果たしてそれで言葉の起源からしても正しいんだろうか。

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「グルメ」のキーワードで画像検索をしてみると、いわゆる「オシャレなおフランスのお料理」みたいなイメージからはほど遠い結果になる(参照)。上の画像のように大盛りの「丼物」が圧倒的に目立ち、大阪の「たこ焼き」まで上位にある。日本では「グルメの大衆化」が顕著なようだ。

インターネット、雑誌の「グルメ特集」や「ご当地グルメ」などでは、「高級レストランのお料理」より「大衆的でおいしいもの」を取り上げる傾向が強い気がする。「グルメ」で画像検索した結果がこんな感じになるのも当然だ。

言葉そのものとして論ずるなら、「グルメ(gourmet)」も「グルマン(gourmand)」も元々はフランス語である。ところがネット上ではこの辺りから説き明かしてくれる日本語のページがなかなか見つからない。そして悲しいことに、私はフランス語のページを見てもチンプンカンプンなのである。

仕方がないので Merriam-Webster のサイトを覗いてみると、"'Gourmet' or 'Gourmand'?" というタイトルで、この 2つの「英語圏の外来語」の違いがきちんと論じられているじゃないか。さすがに米国で最も信頼される辞書サイトだけのことはある。

いろいろ事細かに書いてあるのだが、煎じ詰めれば "gourmand" という言葉の方が古く 15世紀から使われていて、「飲み食いが好きな人」という意味合いなのだそうだ。一方、"gourmet" は 17世紀頃からの比較的新しい言葉で、「食べ物に批評的な判断を下せる人」というニュアンスが強いとある。

なるほど、そういうことなら「グルメ」という言葉は「食通」みたいなニュアンスが強く、「美食家」と言うのもほぼ正解に近いと言ってよさそうだ。ただし一度商業的に取り上げられてしまうと上の画像のように、「グルマン」との差が限りなく小さくなってしまう。

「グルメ」をマスでこなそうとすると、元々の理念からはビミョーにあるいは大幅に離れて、むしろ「グルマン的」にならざるを得ないようなのだ。これって「建て前と本音」みたいで、おもしろい現象である。

制御するのが難しい欲望の「食欲」に発する分野だけに、人間の「業」を感じさせられるよね。

 

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2023年9月11日

ヨガの瞑想を「集団殺人」と思い込んでしまい・・・

AFP BB News の "「集団殺害」の通報…実はヨガ教室 英" というニュースに笑わせてもらった。何人もの人が床に脱力状態で横たわりじっと動かないという場面を見たら、西洋人は直感的に「死んでる」と思ってしまいがちなのだろうね。

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元ネタは AFP(フランス通信社)の記事のようだが、私はフランス語は全然ダメだし、そもそも英国の話なので英語の記事を検索したところ、あちらでは結構な話題のようで多くの記事が見つかった。ここではとりあえず The Gardian の記事に沿うことにする。

要するに、集団で横たわって瞑想しているヨガのクラスをガラス越しに見た公共メンバーの一人がてっきり「集団殺人」事件と勘違いして通報したため、警察が駆けつけたという話である。警察は、この通報を ”good intentions" (善意)によるものだとしていて、まあ、善意じゃ仕方ないよね。

動的なエクササイズは見慣れていても、静的な瞑想なんてことに馴染んでいない西洋人には、複数の人間が横たわったままじっと動かないという光景が、非日常的どころかとてつもなく異常な印象を与えてしまったのだろう。文明の違いというのは、結構な勘違いにつながる。

ちなみに冒頭で紹介した AFP BB News の記事は、このヨガ・クラスの会場を「シーサイドカフェ(The Seaside Cafe)」と伝えているが、これは誤りで、正しくは「シースケイプカフェ(Seascape Cafe)」。

この Seascape Cafe は事件の翌日、Facebook に「夕べけたたましいサイレンを聞いた方は、どうぞご安心ください」と写真付きで投稿し、ことの顛末をユーモア交じりに説明している(参照:初めに表示される日本語は下手すぎる自動翻訳なので、オリジナルのデキストを表示させるのがオススメ)。

ちなみに、文中の "We are not part of any mad cult or crazy clubs" (我々は狂ったカルトやクレイジーなクラブの構成員ではありません)というのが泣かせてくれる。英国でもカルトは問題なのだね。

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このカフェは ”Seascape Cafe” の名の通り美しい北海に面する天文台の建物内にあるということで、とてもいいメディテーションができそうな環境だ。結果的にこの「事件」は、むしろ効果的な宣伝になったかもしれない。

最後にちょっとだけおちょくっておくが、AFP が「シーサイドカフェ(The Seaside Cafe)」と伝えてしまったのは、狂信的な集団自殺をも思わせる勘違いが発端だけに "Suicide cafe" (自殺カフェ)という連想に引きずられたのかもしれないね。気持ちはわかるし、私もやっちまいそうだ。

 

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2023年9月10日

PC の自己流操作から抜け出せないって、案外多い

筒井.xls さんという方の tweet がちょっと話題だ(参照)。登場する「後輩」という人物は Excel でファイルを保存するのに、とりあえず「閉じる」という操作から入る以外の方法を知らないみたいなのである。かなりコワい話ではないか。

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Tweet の下に添えられた画像が現れる前に、この「後輩」は多分ツールバーの右端(Mac 版だと左端になるのだが)の「閉じる」ボタンを「ポチッ」とクリックしちゃったのだろう。「一旦保存しましょう」と言った「先輩」としては、いきなりそんなことをされて少なからずギョッとしたに違いない。

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「先輩」が「なんで閉じるの !?」と聞くと、逆に「ここ以外で保存できるんですか?」なんて素っ頓狂なことを聞かれる。

フツーは今さら言うまでもなく、ツールバーの左の方にある「保存」ボタン(今どき、フォロッピー・ディスクのデザインなのだが)をポッチリすればいい。あるいは "Ctrl" + "s" を同時タイプするだけで保存される。世の中にはこっちの方で慣れちゃってる人もいるだろう。

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いずれにしてもこの「後輩」は Excel を使った作業をする場合、作業が終了して「閉じる」ボタンを押すまで「名前を付けて保存」とか「保存」なんてする習慣がないのだろう。ということは、途中で何かのトラブルで落っこちたりしたら、それまでの作業が水の泡になってしまう。

この「後輩」に限らず、PC の自己流操作で時間を無駄に使っている人というのは案外多い。だいぶ前のことだが、操作の間違いをやり直しする際の「アンドゥ/リドゥ」ボタンの使い方をを知らない人がいた。

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この人、文書作成中に誤って消去してしまった部分を復活させるのに、「ご破算で願いましては」的に手入力し直していたのである。「アンドゥ」ボタンをクリックして直前の状態に戻せばいいと教えて上げた時は、「へえ! こんなことができるんだ!」と、目を見開いて感動していた。

ところがその後の彼を見ていても、間違える度にやっぱりイチからやり直ししているみたいなのである。自己流だけで PC に触れていると、後からまともな、あるいはより効率的なやり方を教わっても結局身につかないというのは、本当の話のようだ。

例えばいろいろな「ショートカット・キー」(前述の "Ctrl" + "s" みたいなこと)を教わっても、結局マウス操作に頼る人の方が多い。実を言うと私もその一人で、「切り取り」「コピー」「貼り付け」「スクリーンショット」以外のショートカットはほとんどできない。

まあ、この程度のことならいいが、ファイルを保存するのにいちいち「閉じる」ボタンをクリックするというのは、かなり重症だよね。ファイル作成を継続する場合には、閉じたファイルをまた開き直さなければならない。

 

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2023年9月 9日

すき家 駐車場の貼り紙騒動

Jcast ニュースに昨日付で "すき家、無断長時間駐車に「警告200枚超」張りつけ 異様光景に「やり過ぎ」指摘...広報「明らかに行き過ぎた対応」" という記事がある。目撃情報が Twitter に相次いでいるというので検索してみたら、なるほど、こんなような見事なまでの満艦飾の写真が見つかった。

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このクルマはかなりの常習犯だったらしく、ニュースにはこうある。

広報によると、無断駐車されたのは 9月 2日と 3日。防犯カメラで確認したところ両日 9時~20時半ごろまで停められていたと述べる。

「9時~20時半」といったら要するに「朝から晩まで停めっぱなし」ということだから、いくらなんでも図々しい。店側としてもよほど腹に据えかねたようで、貼り紙の文言はこんな具合にかなり強い言葉だったという。

警告 再三再四にわたる、当店よりの要請にもかかわらず、貴殿は当店駐車場に不当に長時間駐車を繰り返しています。今後善処いただけない場合には、貴殿の車の登録番号により所有者確認を行い、速やかに断固たる法的措置をとることもあります。

「再三再四にわたる」とあるってことは、実際には 2日間だけじゃなく度々のことだったのだろうと想像される。これがニュースにまでなったことで、しばらくは多少の抑止効果が発揮されるだろう。

ちなみに、この tweet のスレにこんなのがあった。フジテレビのニュースショーまで触手を伸ばしたようなのである。

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これには「先ずは正しい日本語学ばれては」とのコメントが付いているが、9月 6日の記事を書いたほどの私としても、ことさらイチャモンつけるほどに「正しくない日本語」とも思われないがなあ。轍鮒の急さんという方は、よほど厳格なスタンダードをお持ちのようだ。(あるいはめざましスタッフの修正済みなのか)

最後に告白するが、この記事につい反応してしまったのは、私自身 2〜3週間前に友人宅を訪ねた時、すぐ隣のすき家の駐車場にクルマを駐めさせてもらったことがあるからだ。食事時ではなくて空いていたし、時間もせいぜい 20分ぐらいのものだったのだが、やっぱりいいことではないよね。

すき家さん、ごめんなさい。私、肉は食べませんが、そのうち鮭定食か何か食わせていただきますので、

Yoroshiku4

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2023年9月 8日

久し振りの「台風直撃」になりそうだ

気象情報サイトの tenki.jp によれば、台風13号は、きょう午後には東日本にかなり接近し、上陸する見込だという(参照)。その後は関東を縦断し、あす 9日までには熱帯低気圧に変わるとみられるが、進路予想図を見ればまさに関東直撃で、明朝につくばのやや西を通過していきそうだ。

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これを書いているのは午後 1時過ぎで、台風は静岡沖を進んでいるはずなのだが、活発な雨雲は台風本体の北東に集中していて、上の雨雲レーダーの画像をみれば、午前 9時前の時点で伊豆諸島から房総半島にかけて、1時間 100mm 以上の雨を表す真っ赤っかだ。そしてつくば周辺も大雨になっている。

さきほどはこの近くの区域で「高齢者避難指示」が出されていたが、我が家の区域はそこまでは行っていないようだ。この大雨はもうすぐピークを過ぎて、明日には止んでしまうというのだが、洪水にならなければいいなあ。

台風 2号による 6月 2日から3日の夜中までの大雨では、下の「和歌ログ」の画像(参照)のようにほぼ 20年ぶりの洪水になって驚いたが、今回ももしかしたらこのくらいのことになってしまうかもしれない。でもまあ、明日はどこにも出かける予定がないから、水が引けるまで待てばいいか。

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それにしても、今年の天気はメチャクチャな猛暑といい、20年振りの洪水といい、本当に極端である。この先も何があるかわからないから、警戒していよう。

【同日 午後 8時 追記】

予報によれば台風 13号は、上陸前に熱帯低気圧に変わってしまうらしい。というわけで、この記事のタイトルにある「台風直撃」ということにはならない模様。つくば周辺の雨は止んで、今はすっかり静かになっている。

【9月 9日 夜 追記】

関東では房総から茨城の鹿嶋、日立にかけての海岸線で洪水被害が大きかったようだ。私の知り合いの家も床上浸水になったという。私の家も床下浸水になったことがあるが、床上となるとかなり厄介である。

 

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2023年9月 7日

「地下鉄サーフィン」は人を殺す!

米国ニューヨークでは、動いている地下鉄の屋根の上に乗って粋がっちゃうのを 「地下鉄サーフィン」(sabway surfing)というらしい。"「地下鉄サーフィン」、NY で若者の死亡相次ぐ 動画拡散の影響も" というニュースで初めて知った言葉である。

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このニュースはさらに、同市で「地下鉄サーフィンは殺す」というキャンペーンが展開されると伝えている。かなり物騒なタイトルのキャンペーンだ。

一瞬、「そんなヤバいことをするやつは、事故で死ぬ前に殺してやる」という極論かと驚いたが、オリジナルの英語は ”Subway surfing kills.” なので、文字通り地下鉄サーフィンという行為が人を殺すということだ。なるほど、昨日の記事で触れたように、英語は主語と述語が明確である。

そもそもの発端は地下鉄サーフィンでの死亡事故が相次いでいることだという。なるほど、キャンペーン・ポスターに ”Ride inside, stay alive”(中に乗って、生き続けろ)とあるわけだ。

下の動画を見れば如実にわかるが、地下鉄サーフィンというのはかなりヤバい。こんなのはスマホのゲームだけにとどめておくべきだろう。

ちなみにこの記事を呼んで、私には「アメリカの地下鉄サーファーたちって、どうして『地下鉄』だけでやるんだろう?」というあまり立派じゃない疑問が湧いてしまった。電車は地下鉄だけじゃないだろうに。

しかしこの疑問は、ちょっと考えてすぐに解けた。「そうか、地下鉄ではレールから電力が供給されるから、屋根に邪魔モノのパンダグラフがないからかもね」 

だったら、ニューヨーク市では 2029年までに路面電車を復活させる計画があるらしい(参照)が、絶対にトラディショナルなパンダグラフ方式にするべきだろう。そうでないと「路面電車サーファー」(street car surfers)だらけになってしまいそうだ。

そう言えば、つくば近くをチョーのどかに走る関東鉄道常総線というのは、今どき電化されてなくてディーゼル・エンジンで走るので、車両にパンダグラフというものがない。

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茨城県が日本の「ディーゼル・サーフィン」のメッカなんてことにならないよう、マジで祈りたい。今のうちに断っておくが、この路線はずいぶんゆったりと走るので、やってもあまり粋がれないからね。

 

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2023年9月 6日

「英語ができないのは、日本語ができないから」に納得

下の写真は「イオンモールつくば」というショッピングモールの、レストラン街と映画館の入り口近くに設置されていた看板である。「映画を見るなら つくばにオトクにグルメ !!」というのだが、何かの洒落でもなさそうだし「意味不明の日本語」というほかない。

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映画を見るならオトクにグルメ !!」ならわかる。レストランと映画館のコラボ企画だからね。ところがそこに「つくばに」が入ると、途端に「!!」どころか「??」になってしまう。あるいはもしかしたら「つくばオトクに・・・」と言いたいのかなあ。いずれにしても、この看板の日本語感覚はメチャクチャだ。

このメチャクチャな日本語を見て思い出したのが、Q&A サイト Quora の「日本人の英語が上達しない最大の原因は何ですか?」という質問への、元日仏英通訳、Ikeda Koji さんの回答だ。冒頭で敢然とこうおっしゃっている(参照)。

最近気づいた日本人の英語が上達しない究極の原因が、私も含めてほぼ全ての日本人がまともに日本語を話せていないからです。

日本では主語も目的語もないようなやりとりが多いと、Ikeda さんは言う。例に挙げているのは「何を困っているのですか?」という質問の言葉だ。主語がないので、スマホの自動翻訳が機能しなかったというのである。

それを言うなら、「映画を見るなら つくばにオトクにグルメ !!」はもっと訳せないよね。主語も目的語もへったくれもない。

主語云々の問題で言えば、ちょっとしたセレモニーなどでの日本人のスピーチは、複文節になると必ずといっていいほど主語と述語が混乱する。例えばこんな具合だ。

あの時〇〇さん親切に教えていただいたことを忘れません。

断言してもいいが、こんな妙な日本語を口にしてしまって自分で気持ち悪くならないような人は、英語だって決して上達しない。このフレーズ、言うまでもなく次の 2通りのどちらかであるべきだ。

  • あの時〇〇さん親切に教えてくださったことを忘れません。
  • あの時〇〇さん親切に教えていただいたことを忘れません。

ただ、この類いの複文節がらみのフレーズをきちんと言える日本人というのは、実は信じられないほど少ない。私の印象では多分 3割にも満たないほどだ。

こんな具合で、多くの日本人は頭の中で言葉がまともに論理立っていないので、同じ内容を英語にしようとすると、"親切:kind"、"教える:teach"、"忘れる:forget" ぐらいの受験英語的単語を辛うじて知っていても、フレーズとしてまとめることができない。

要するに「英語が苦手」という以前に、日本語も含めての「言語センスが未熟」ってことなんだろうね。

【9月 7日 追記】

せっかくだから、「映画を見るなら つくばにオトクにグルメ !!」を無理矢理英訳してみた。

If you see movies, do gourmet creating benefits for Tsukuba.

もしあなたが映画を見るなら、つくばにオトクをもたらしつつグルメしなさい」と、言葉を補った上でのものなので

Yoroshiku4

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2023年9月 5日

あの英国でも、紅茶よりコーヒーが優勢に

あの英国でも紅茶よりコーヒーが飲まれるようになったと伝える、The Guardian の記事を見つけた(参照)。ただ、ことさらのように上品なミルク・ティーの写真が添えられていることから察すると、筆者の Coco Kahn さんはこの現象に少なからずムカついているようなのである。

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記事のタイトルは ”Coffee is nudging tea aside in the UK’s affections. What can this civilisational shift mean?” で、"nudge 〜 aside" というのはちょっとビミョーで訳しにくいが、「〜を軽く押して脇をすり抜ける」みたいな感じかなあ。英国に限らず、決して行儀のいいことじゃない。

というわけで、「英国は嗜好品として、コーヒーが紅茶をすり抜けて前に出ている。この文明的な変化は何を意味する?」というお話になっているわけだ。このお行儀のよくない変化は Kahnさんにとって飲み物の問題にとどまらず、文明論的一大事のようなのである。

Kahn さんはマークス・アンド・スペンサー・カフェで母親とお茶しながら、「最近、カップとお皿が使われなくなってるのに気付いてる?」と聞いたという。こんな話になったのは、このカフェで飲み物の提供に使われる容器が変わってしまったからのようだ。

以前は上品な模様の付いた陶器のカップと皿のセットだったのだが、”And now it was a mug. A mug!” (この時は、マグだったのよ、マグ!)と、憤慨したように書かれている。うぅむ、私としてはスターバックス的な大きめのマグはむしろ歓迎なんだがなあ。

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飲み物の容器の変化は、当然の如く中身の変化も意味する。とくに若い層が、他の欧州人のように気軽にコーヒーを飲むようになったと、彼女は指摘している。これって、ライフスタイル全般の変化と関連していると言いたいようなのだ。

そういえば 1990年代初めに英国系の団体に勤務していた頃、給湯室にコーヒーマシンが置いてあって飲み放題だったので、コーヒー党の私は 1日に少なくとも 5〜6杯は飲んでいた。ところが英国から出張してくるジョンブルたちは「日本人と米国人はコーヒー飲みすぎ」と、嫌味っぽいことを言うのだった。

こんなことを言うほどに、あの頃の英国人はコーヒーより紅茶を好んでいたように思う。ところが 30年経った今、彼らの嗜好は逆転して、調査によればフツーに紅茶を飲むと答えたのが 59%だったのに対し、コーヒーを飲むという回答は 63%だったというのである。

ただ、30年前でも英国の若い連中の中には「本当は私もコーヒーが好きなんだけどね」とこっそり打ち明けるのがいた。「コーヒーの方が気軽だし飲みやすいし、それに第一おいしいし、当然だよね」とは、大きい声では言えなかったが、今なら言っても良さそうだね。

ここでそもそもの話をすれば、英国に紅茶が入って来たのは 17世紀後半で、既存の「コーヒーハウス」で提供されていたというのが定説だ。つまりコーヒーの方が先だったわけで、しかもその紅茶が庶民にまで広がったのは 18世紀後半の産業革命以後だったと言われている(参照)。

紅茶を飲むなんて 10年に 1度もない私にしてみれば、英国では 100年かけて広まった紅茶からコーヒーに回帰するのに 300年近くかかったということの方がずっと驚きなのだよね。Kahn さんには悪いけど。

 

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2023年9月 4日

アメザリを踏みつぶすことと、「いじめ」の心理

Togetter に "外来種は殺していい?観察会で「駆逐してやる」とアメザリを踏みつぶす子どもがいた…→ 「外来生物の防除作業に子どもを関わらせたくない」" という記事がある。「外来種は殺していい?アメザリ踏みつぶす子ども 観察ガイドの思い」という記事を紹介したものだ。

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発端は、多摩川を中心に生き物観察ガイドをしている川井希美さん(39)の、今年 4月の SNS への投稿であるらしい。こんな内容だったようだ。

本心としては外来生物の防除作業に子どもを関わらせたくない。
外来生物の防除をするよりも、子どもにはたくさんの生きものと触れ合う自然体験をしてほしい。

この投稿のきっかけは、講師を務めるサイエンス塾の授業で、子どもたちにアメリカザリガニ(アメザリ)を見せた時に、「こいつらは殺してもよい」という声が聞こえたことだという。観察会では「駆逐してやる」とアメザリを踏みつぶす子どももいたという。

アメザリは本来の生態系を乱す侵略的外来種として、各地で駆除も行われている。そのためあこうした外来種の命を軽視するような言動は、小学校低学年くらいの子に見られたというのである。

この記事が Togetter に紹介されると、いろいろなコメントが付けられた。ただ見たところ、「たとえ外来種でも、命の大切さを教えていかなければ」とか、「人それぞれの立場や視点を踏まえると、判断が難しい」というような、「外来種駆除」に関する直接的な反応がほとんどである。

ところが私としてはこの記事を読み、直感的に「いじめ問題」にまで思いを馳せてしまった。

「いじめ」に走るような子というのは、外来種を見て何の疑いもなく「殺してしまえ」と言って踏みつぶすような子と共通しているという印象だからである。彼らの意識としては、決して残酷なことをしているわけじゃないと思っているようなフシがあるのだ。

「いじめ」をする子というのは、「ゴーマンな正義感」を抱いているように感じられることすらある。彼らにとって、いじめられる子は「異質な存在」であり、自分はマジョリティを代表して「異質な存在の排除」を行っていると錯覚しているようにも受け取れるのだ。これって、かなり危険なメンタリティである。

そんなわけで私は、自然観察会のような機会を通じて「たくさんの生きものと触れ合う自然体験をしてほしい」という川井さんに共感してしまう。「外来種」も「異質な存在」も同様に大切でかけがえのないものだということを知れば、「いじめ」も自然に減るだろう。

私自身、「日本社会のマイノリティ」という自意識をずっと抱いてきた。個人的には「いじめ」のようなことに対しては常にきっちり反撃・撃退してきたのだが、世の中にはそうできない子も多いから難しい。

【同日 追記】

ここでは本来の生態系を乱す侵略的外来種を駆除するなと言っているわけではなく、川井さんにしても同様だと思うので、念のため

Yoroshiku4

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2023年9月 3日

崎陽軒の CM ソング、ずっと誤解してた

かの有名な崎陽軒のシウマイの CM ソング、私はずっと誤解してしまっていたようだ。テレビで見れば一目瞭然なのだが、私はテレビなんてほとんど見ないので、ラジオの音声でしか知らなかったのである。

この CM ソングの歌詞は次のようなものだ。

🎵本当は今すぐ食べたいけれど
  大好きなおじいちゃんへのお土産だから
  我慢我慢 🎵

ところが実際には「大好きなおじいちゃんへのお土産だから」の「への」の部分が早口で歌われるので、「大好きなおじいちゃんのお土産だから」に聞こえてしまい、ずっとそのように思っていたのである。ラジオの場合は画像による情報がないから、早口の歌やセリフは正しく伝わりにくいことが多い。

というわけで私は、「大好きなおじいちゃんからもらったお土産なら、我慢なんかしないで目の前で食べる方が喜んでもらえるのに」と、ずっとモヤモヤした気分でいた。目の前で食べるのを我慢するように親に教育されたんだとしたら、それは「変な親」である。

このモヤモヤをは、web の動画をみた途端にあっさりと解消した。そうか、「これからおじいちゃんに持っていくお土産」だったのか! それにしても CM 制作者って、テレビを前提にしすぎていて、ラジオで聴く者への配慮を軽視してるんじゃないかなあ。

似たようなことは「ブンセンの海苔佃煮 アラ」って商品の CM にも言える。ラジオの 30秒 CM ではその 3分の 2の 20秒近く 「🎵 ア〜ラアラアラアラ・・・」と『でんでん虫』の替え歌が騒々しく流れるばかりで、「それ、一体何なの?」と思う前に疲れてしまう。

Twitter を見ると、同様に思っている人もいるようだ。

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テレビ画面で見ればアラという佃煮が画面に現れるから、音声と画像の情報が並行するのだが(参照)、ラジオの場合は単にわけのわからない「アラ」の繰り返しに過ぎず、「速く終わってくれよ」と思うばかりだ。CM 制作者って、「ラジオ感覚」というものをあまり理解していないように思われる。

話は戻って崎陽軒のテレビ CM 関連で一応触れておくが、土手の上をランニングしているラグビー選手たち、あれって、ワセダのジャージだよね。

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それで少々気になって崎陽軒の社長の経歴を調べてみたら、ありゃりゃ、先代も現社長も慶応卒じゃないか(参照 1参照 2)。だったら素直にタイガー・ジャージにしとけや。

いや、もしかしたらあのラグビー選手たちは女の子の視点からは大切なシウマイを狙う「悪役」に見えてしまうから、敢えてワセダのジャージにしたのか?(これ、考えすぎであってもらいたい)

それともう一つ。崎陽軒がシューマイを「シウマイ」と表記するのは、初代社長が栃木県人で「シューマイ」と発音できなかったからという俗説が広まっている(参照)が、これに関しては 2015年 2月 19日付の ”崎陽軒のシューマイは、なぜ 「シウマイ」 と表記される?” という記事で論破しているのでよろしく。

 

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2023年9月 2日

東京の 8月は 31日間すべて「真夏日」だったそうだ

ウェザーニュースが「東京 8月は全て 30℃ 以上の真夏日に 31日連続は観測史上初」というニュースを伝えている。8月は真夏日にならなかった日がなかったということで、しかも 30℃ とか 31℃ とかいうレベルじゃなく、31日も余裕で(?)34.1℃ だった(参照)のだから、もう洒落にならない。

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「ものは試し」と前月(7月)のデータを見ると、月間通して 最高気温 25℃ 以上の夏日で、6日以後はずっと真夏日(参照)だから、それを足せば 57日連続真夏日になっていたとわかる。さらに 9月 1日の最高気温が 33.4℃ だった(参照)というから、58日連続も確定。

そして日曜日までは気温が下がりそうにないから、60日連続で最高気温が 30℃ を上回る真夏日になるのもほぼ確実だ。いやはや、70年以上生きてきて、こんなことは聞いたことがない。バテるわけである。

東京ばかりではなく我が地元のつくば周辺も同様で、気象庁のページでつくば(館野)のデータを見ても、8月は見事に 31日間ずっと「真夏日」が記録されている(参照)。そして 7月 15日以後の連続 17日(参照)を足せば 48日連続だ。東京ほどではないが、50日連続も確実である。

「真夏日」だけでなく、最高気温 25℃ 以上の「夏日」ということまで入れてしまうと、近頃は 1年で 130日ぐらい(つまり 4ヶ月以上)はそれに当てはまる。四季が 1年の 4分の 1ずつ(つまり 3ヶ月ずつ)ということじゃなくなっているわけだ。

ざっと言ってしまえば、結構暑い初夏と真夏、晩夏を合わせて 1年の半分弱ぐらいが夏で、冬が 3ヶ月。そして残りの 3ヶ月ちょっとを辛うじて春と秋が分け合っているといった印象だ。天気が極端化して、ちょうどいい季節が短くなってしまっている。

さらに冬にしても昔ほどの寒さじゃなくなった。この地に移転してきてからずっと、冬から初春にかけて何度か雪が積もり雪かきをしていたものだが、ここ 3〜4年は雪かきスコップの出番がない。

春と秋の気持ちのいい日が少なくなっているのは、本当に悲しい話である。

【9月 3日 追記】

この記事で予測した通り、東京では連続真夏日 60日を記録したようである。ウェザーニュースの記事「東京は連続真夏日が 60日に 大阪では 9月の過去最高を更新」を参照していただきたい。

 

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2023年9月 1日

道路の「ゼブラゾーン」を巡る冒険

もう月が変わってしまったので、先月付のニュースになってしまい恐縮だが、TBC 東北放送のニュースに ”道路の「ゼブラゾーン」車で走行するのは交通違反? 警察に聞いて見ると意外な事実が 「県で違っていた」” というのがある。宮城県ではゼブラゾーンの走行は交通違反なんだそうだ。

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「ゼブラゾーン」というのは、道路でよく見られる「シマシマ」のゾーンで、正式には「導流帯」と言うんだそうだ。このゾーンを通っていいかどうかは、「企業の交通事故対策専門の社労士」という看板を掲げておいでの沖真一社会保険労務士事務所のサイトによれば、次のようなことになる。(参照

『道路標識、区画線及び道路標示に関する命令』には、『車両の安全かつ円滑な走行を誘導するために設けられた場所であること』と規定されています。よって、規制された標示ではないため、導流帯を走行しても違反にはなりません。(中略)

『違反にはならないが、走行すべきでない部分』ということなので、通らないように走行することが原則となります。

要するに「通っても違反というわけじゃないが、なるべく通らないようにしようね」ということのようなのである。ただ、日常でも時々遭遇する下の図のような場合にはちょっと面倒だ。

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左側の図では、律儀すぎる右折車(水色のクルマ)がゼブラゾーンを避けるためにガラ空きの直進車線をふさいで止まってしまっている。こんな時、その後ろの直進車(赤いクルマ)はかなりイライラしてしまう。

沖真一社会保険労務士事務所のサイトでは、こんな場合は右側の図のように、ゼブラゾーンに侵入して停車する方が「直進車などの渋滞を防ぐため、道路の安全と円滑につながります」と指摘している。私としてもこんな場合、ためらうことなく右側の図のようにしている。

ところが冒頭で紹介した TBC のニュースによれば、宮城県に限ってはゼブラゾーンに侵入することは違反ということになってしまうのだそうだ。いやはや、そんなこととはちっとも知らなかった。

宮城県は妻の実家があるし、仕事でもたまにクルマで行くことがあるので、つまらないことで違反キップを切られないように気を付けよう。

 

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