糖尿病の呼称を「ダイアベティス」に変える?
日本糖尿病協会が糖尿病の新しい呼称を「ダイアベティス」としたい旨を公表したというのだが、医師などの専門家たちは「分かりにくく、普及は難しいのでは・・・」と疑問を呈しているらしい(参照)。ちなみに「ダイアベティス」(diabetes)は「糖尿病」の英訳だ。
記事によれば正式な「病名」と「呼称」とは異なるものらしく、「病名」の変更はいろいろと面倒な手続きが必要なので、とりあえずは「呼称」の変更を進めたいということらしい。
もっとも、医師が患者に診断結果を告げるのに「あなたはダイアベティスですね」と言っても「それ何ですか?」となるに決まってるから、「要するに糖尿病です」と言い直すことになるだろう。ということは、こうした場面ではこの呼称変更はあまり意味がない。
呼称を変えたがっているのは実は既存の患者たちのようで、同協会の調査では患者の 8割が変更を希望しているという。「尿」の字を含む病名が「不潔なイメージを与える」とか「恥ずかしい」とかいうことのようで、要するに「分かりにくくしたい」ってことなのだね。
ただ、私はこの病気にとくに偏見はないので、悪いけど「それって患者側の意識過剰じゃないかなあ」と思ってしまうのだが。
この記事を読んで「ダイアベティス」という呼称から最初に連想してしまったのが「ダイアリア (diarrhea)= 下痢」という言葉なので、個人的にはむしろ「糖尿病」と言う方が、下手すると「うんこ」を思わせるよりずっとマシな気がする。申し訳ないけど。
ちなみに言い出しっぺの「日本糖尿病協会」自身は、団体名を「日本ダイアベティス協会」に変更する用意はあるのだろうか。もし変えたら略称は「日ダベ協」になって、ウェブサイトの URL も "https://www.nittokyo.or.jp" から "https://www.nichidabekyo.or.jp" に変えなきゃ。
蛇足だが、現在の略称の「日糖協」って、どう見ても精糖業界の団体みたいだよね。さらに「日登協」というのもあり、てっきり登山家の協会かと思ったら「日本登録医薬品販売者協会」ということのようだ。へぇ!
病気とか薬とかの世界って、「分かりにくくしたい」という基本的な潜在欲求があるんじゃなかろうか。
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コメント
呼称の変更は、それを望まれている方が多いのならその様に。
当事者の方々には深刻なことなのかもしれませんし。(おかげさまで肝臓と血圧と懐以外は問題なさそうです)
記事後半の「比較と列挙」には、頭が下がります。
「にっとうきょう」だけで、どんだけあんねん?(まだあるんかしら?)
しかも予想外の展開に。
投稿: 乙痴庵 | 2023年9月27日 17:28
乙痴庵 さん:
>「にっとうきょう」だけで、どんだけあんねん?
ググってみた限りでは、あんまり出てこないんですよね。ないことはないんでしょうけど、どうなってるんだろう?
この世界、よくわかりません。
投稿: tak | 2023年9月27日 18:54